小規模多機能型居宅介護の令和6年報酬改定。基本報酬と加算の変更点。

小規模多機能型居宅介護の令和6年報酬改定。基本報酬と加算の変更点。 介護

令和6年介護報酬改定では、小規模多機能型居宅介護の基本報酬が見直され、処遇改善加算が一本化されました。4月施行の基本報酬改定と6月施行の加算一本化の2段階で変更が行われています。この記事では改定の変更点を令和5年度(改定前)との比較表で整理します。

令和6年改定の概要

令和6年度の介護報酬改定は、以下の2段階で施行されました。

令和6年改定のスケジュール
施行日 主な変更内容
令和6年4月1日 基本報酬・各種加算の見直し
令和6年6月1日 処遇改善加算3種類の一本化(介護職員等処遇改善加算)

全体の改定率は介護報酬プラス1.59%(処遇改善加算分を除く)で、小規模多機能型居宅介護の基本報酬も全体的に引き上げられました。

基本報酬の変更:要介護度別の単位数

令和6年4月改定後の基本報酬(同一建物以外・通常規模)と改定前(令和5年度)の比較です。

基本報酬の改定前後比較(同一建物以外)※改定前の数字は令和3年度改定後〜令和6年3月末の告示ベース。最新情報は厚生労働省の告示で確認を
要介護度 令和5年度(改定前) 令和6年4月〜(改定後) 増減
要支援1 3,374単位 3,450単位 +76単位
要支援2 6,834単位 6,972単位 +138単位
要介護1 10,273単位 10,458単位 +185単位
要介護2 15,065単位 15,370単位 +305単位
要介護3 21,922単位 22,359単位 +437単位
要介護4 24,191単位 24,677単位 +486単位
要介護5 26,697単位 27,209単位 +512単位

要介護度が高いほど単位数の増加幅が大きく、要介護5は512単位増加しました。1単位10.45円で換算すると、要介護5の場合は月約5,350円の増収になります。

同一建物減算の変更

同一建物(事業所と同じ建物または隣接する建物)に居住する利用者が登録者に占める割合が一定以上の場合に適用される「同一建物減算」も令和6年改定で単位数が見直されました。

同一建物減算適用後の単位数(令和6年4月〜・要介護1の場合)
区分 単位数
通常(同一建物以外) 10,458単位
同一建物減算(2割超の場合) 9,423単位

同一建物の利用者が多い場合は10%程度の減算が適用されます。高齢者向け住宅(サービス付き高齢者向け住宅・住宅型有料老人ホーム等)に併設する形で開業する場合は、この減算が収支に影響します。

処遇改善加算の一本化(令和6年6月〜)

令和6年6月以降、処遇改善に関する加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。

処遇改善加算の一本化前後の比較
一本化前(令和6年5月まで) 一本化後(令和6年6月〜)
介護職員処遇改善加算(最大Ⅰ:13.1%相当) 介護職員等処遇改善加算Ⅰ:14.9%
介護職員等特定処遇改善加算(最大Ⅰ:2.3%相当)
介護職員等ベースアップ等支援加算(1.4%相当)

一本化後の加算率は最大14.9%(区分Ⅰ)で、一本化前の3種類を合算した最大水準と同程度になっています。取得要件は「賃金改善要件」と「職場環境等要件」の充足で、区分ⅠとⅡの違いは職場環境等要件で実施する取り組みの数・内容の差です。

その他の主な加算の変更

令和6年改定では、基本報酬・処遇改善加算の他にも以下の点が変更されました。

令和6年改定における加算・要件の主な変更
区分 変更内容の概要
BCP(業務継続計画)の策定・研修・訓練 令和6年4月から完全義務化(令和3年度改定からの経過措置が終了)
身体的拘束等の禁止 記録の整備・定期的な検討義務の強化
虐待防止委員会・研修の義務化 令和6年4月から完全義務化(令和3年度改定からの経過措置が終了)
感染症・食中毒対策の義務化 令和6年4月から完全義務化(令和3年度改定からの経過措置が終了)
LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出 一部加算で要件化

BCP・虐待防止・感染症対策については、令和3年度改定で義務化が決まり、3年間の経過措置が令和6年3月末で終了しました。令和6年4月以降は完全義務として、記録・研修・委員会の実施が求められます。

改定の収支への影響

令和5年度から令和6年4月以降への変化を、登録者20人(要介護3中心)の事業所で試算すると以下のとおりです。

改定前後の月額収入の変化(試算・登録者20人・要介護3中心の場合)
時期 月額収入の目安(処遇改善加算Ⅰ込み)
令和5年度(改定前) 約605万円(21,922単位×20人×10.45円×処遇改善加算込み)
令和6年4月以降(改定後) 約624万円(22,359単位×20人×10.45円×処遇改善加算込み)
増加分 月約19万円・年約228万円

※試算は目安です。地域区分・加算の取得状況・利用者の要介護度構成によって実際の数字は異なります。

BCP等の義務化は未対応の場合、指導・指定取り消しのリスク

令和6年4月以降、BCP(業務継続計画)・虐待防止委員会・感染症対策の義務化は完全施行です。これらに対応していない場合、実地指導での指摘・改善勧告・最終的には指定の更新が認められないリスクがあります。

既存事業所は令和6年4月以前に対応を完了していることが前提ですが、開業後まもない事業所はこれらの体制整備を速やかに行う必要があります。

令和6年改定後の単位数・処遇改善加算を含めた収支計画は、小規模多機能型居宅介護 収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省・2024年1月)
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号・令和6年改定)
  • 介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和6年3月通知)

この記事は2026年11月時点の法令・告示に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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