消防設備士4類の試験では、感知器の設置個数の計算問題が繰り返し出題されます。一般室の設置個数は感知面積の表を使いますが、廊下・階段・エレベーター昇降路は別の計算基準が適用されます。
この記事では、廊下は歩行距離30m以下ごとに1個、階段は垂直距離15m以下ごとに1個という基準の根拠となる条文を整理し、試験で問われる場面を具体的に説明します。
廊下・通路への感知器設置基準
廊下・通路に設置する感知器は、消防法施行規則第23条第4項第七号ホに規定されています。設置する感知器の種別と間隔の基準は次のとおりです。
| 感知器の種別 | 歩行距離の上限 |
|---|---|
| 1種煙感知器・2種煙感知器 | 30m以下ごとに1個 |
| 3種煙感知器 | 20m以下ごとに1個 |
「歩行距離」とは、廊下を実際に歩いたときの距離です。平面図で廊下の長さを測る場合も、曲がり角がある場合はその折れ線の合計距離で計算します。
廊下・通路では熱感知器を使わず、煙感知器を設置することが義務付けられています。煙は火災の初期段階で廊下に広がりやすく、避難経路でもある廊下に確実な検知が必要なためです。
廊下の設置個数の計算手順
廊下への設置個数を求めるときは、次の手順で計算します。
- 廊下の歩行距離の合計を求める
- 使用する煙感知器の種別(1・2種か3種か)を確認する
- 歩行距離を基準距離(30mまたは20m)で割り、端数は切り上げる
例として、廊下の歩行距離が45mで1種または2種の煙感知器を使う場合、45m ÷ 30m = 1.5 → 切り上げて2個が必要になります。
歩行距離が30m以下の場合は1個で足りますが、30mを超える場合は2個以上必要になります。試験では「歩行距離が○mの廊下に必要な感知器の最小個数は」という形で出題されます。
階段・傾斜路への感知器設置基準
階段・傾斜路への設置基準は、消防法施行規則第23条第4項第七号ヘに規定されています。廊下と異なり、「歩行距離」ではなく「垂直距離」を基準に計算します。
| 感知器の種別・条件 | 垂直距離の上限 |
|---|---|
| 1種煙感知器・2種煙感知器 | 15m以下ごとに1個 |
| 3種煙感知器 | 10m以下ごとに1個 |
| 特定一階段等防火対象物 | 7.5m以下ごとに1個 |
「垂直距離」とは、階段が上下に延びる実際の高さです。傾斜路の場合も水平距離ではなく垂直方向の高さで計算します。
特定一階段等防火対象物とは
特定一階段等防火対象物は、地階または3階以上の階に特定用途(店舗・飲食店・旅館など)があり、屋内階段が1つしかない建物です。避難経路が限られるため、7.5m以下ごとに1個という厳しい基準が適用されます。
試験では「特定一階段等防火対象物の階段への設置基準はどれか」という選択肢問題で出題されることがあります。15mと7.5mを混同しないよう注意が必要です。
階段の設置個数の計算例
地上1階から5階まで1フロアあたり3mの建物で、2種煙感知器を設置する場合を考えます。
- 垂直距離の合計:3m × 4フロア分 = 12m
- 12m ÷ 15m = 0.8 → 切り上げて1個
垂直距離が15m以下なので1個で足ります。同じ建物が10階建てで垂直距離が27mなら、27m ÷ 15m = 1.8 → 切り上げて2個必要になります。
エレベーター昇降路への感知器設置基準
エレベーターの昇降路(かごが上下する縦の空間)への設置基準は、消防法施行規則第23条第4項第七号に規定されています。
昇降路の最上部に煙感知器を1個設置します。廊下や階段のような距離ごとの計算は行いません。昇降路はかごが動く縦穴であり、最上部に熱や煙が集まりやすい構造のため、最上部に1個設置することで早期検知できます。
エレベーターの機械室も同様に、最上部または機械室内に1個設置します。昇降路と機械室が連続している場合は、機械室側の1個で代替できる場合があります(設計上の条件による)。
煙感知器が義務になる場所の一覧
廊下・階段・エレベーター昇降路以外にも、施行規則第23条第4項第七号では煙感知器の設置が義務になる場所が定められています。
| 場所 | 設置基準の概要 |
|---|---|
| 廊下・通路 | 歩行距離30m以下ごと(3種は20m) |
| 階段・傾斜路 | 垂直距離15m以下ごと(3種は10m・特定一階段等は7.5m) |
| エレベーター昇降路・機械室 | 最上部に1個 |
| パイプシャフト・パイプダクト | 最上部に1個 |
| 天井の高さが15m以上の場所 | 炎感知器または1種煙感知器 |
| その他の場所で煙が集まりやすい場所 | 煙感知器または炎感知器を選択 |
天井高15m以上の場所は熱感知器では検知が困難なため、煙感知器(1種)または炎感知器を設置します。20m以上の場合は炎感知器のみが使用可能です(施行規則第23条第4項第一号の表)。
1種・2種・3種の感知器の違いと使い分け
廊下・階段の設置基準は感知器の種別によって距離が変わります。感知器の種別は感度(煙濃度に対する応答性)で区分されています。
| 種別 | 感度 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 1種 | 最も高感度 | 廊下・階段・エレベーター等の特殊区域(義務設置) |
| 2種 | 中程度 | 一般室・廊下(1種と同じ距離基準で使用可) |
| 3種 | 低感度 | 廊下・階段(距離基準が短くなる) |
試験では「廊下に設置する感知器の種別はどれか」という問いに対して、「煙感知器」が正解です。「熱感知器」を選ぶと誤りになります。廊下・階段への熱感知器の設置は認められていません。
一般室との設置基準の違い
一般室(居室・事務室など)は感知面積の表を使って設置個数を計算します。感知面積は耐火構造かどうか・取付け面の高さ・感知器の種別の組み合わせで決まります(施行規則第23条第4項第三号ロ)。
廊下・階段・エレベーター昇降路は感知面積の表を使わず、歩行距離・垂直距離・最上部1個という別の基準を適用します。計算方法が根本的に違うため、試験では区別して理解しておく必要があります。
| 場所の区分 | 計算の基準 | 使う感知器 |
|---|---|---|
| 一般室 | 感知面積(m²)÷ 床面積 | 熱・煙どちらも可(場所による) |
| 廊下・通路 | 歩行距離30m(3種は20m) | 煙感知器のみ |
| 階段・傾斜路 | 垂直距離15m(3種は10m) | 煙感知器のみ |
| エレベーター昇降路 | 最上部に1個 | 煙感知器のみ |
試験での出題パターン
廊下・階段・エレベーターへの設置基準は、筆記・実技(鑑別・製図)のいずれでも出題されます。出題パターンを4つ整理します。
パターン1:設置個数の計算
「歩行距離が45mの廊下に1種煙感知器を設置する場合、最小何個必要か」という形式です。45 ÷ 30 = 1.5 → 切り上げて2個が正解です。
パターン2:種別の選択
「廊下に設置する感知器として正しいものはどれか」という形式です。選択肢に「差動式スポット型」「定温式スポット型」「光電式スポット型」が並んだ場合、廊下に設置義務があるのは煙感知器(光電式スポット型)です。
パターン3:距離の正誤
「廊下に1種煙感知器を設置する場合、歩行距離○m以下ごとに1個設置しなければならない」という穴埋め形式です。正解は30mです。20mと混同しないよう注意が必要です(20mは3種の基準)。
パターン4:特殊条件の適用
「特定一階段等防火対象物の階段に煙感知器を設置する場合の垂直距離の基準はどれか」という形式です。通常の15mではなく7.5m以下ごとが正解です。
製図での廊下・階段の描き方
甲4の製図問題では、廊下に感知器を配置する問題が出題されます。平面図に廊下が描かれている場合は、歩行距離を実寸で測り、30m以下ごとに感知器(煙感知器)の記号を書き込みます。
系統図では、廊下の感知器は一般室の感知器と同じ回路に組み込むことができます。共通線1本につき7警戒区域以下の制限は廊下・階段の感知器にも適用されます(施行規則第24条第1号ヘ)。
まとめ
廊下・階段・エレベーター昇降路への感知器設置基準を整理します。
- 廊下:歩行距離30m以下ごとに1個(3種は20m)・煙感知器のみ(施行規則第23条第4項第七号ホ)
- 階段・傾斜路:垂直距離15m以下ごとに1個(3種は10m・特定一階段等は7.5m)・煙感知器のみ(同号ヘ)
- エレベーター昇降路:最上部に煙感知器1個(同号)
- 一般室とは計算基準が異なる(感知面積の表は使わない)
試験では距離の数値と感知器の種別の組み合わせを正確に覚えておくことが重要です。特に「30m」「15m」「7.5m」「20m」「10m」の5つの数値と、それぞれどの条件に対応するかを整理しておいてください。
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※本記事の内容は消防法施行規則(e-Gov)の条文に基づいています。法令は改正される場合があるため、試験前に消防試験研究センターの最新情報と消防法令の現行版を確認してください。


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