消防設備士4類の試験には、第二種電気工事士(または第一種電気工事士)の免状を持っている場合に利用できる科目免除の制度があります。免除を使うと問題数と試験時間が変わるため、申込み前に「何問になるのか」「時間はどれだけ短くなるのか」を把握しておくことが重要です。
この記事では、電気工事士免状による科目免除の対象科目・免除後の問題数・試験時間の変化を乙4と甲4のそれぞれについて整理します。免除のメリットとデメリットも合わせて解説します。
科目免除制度の前提
消防設備士試験の科目免除は、消防法施行令第4条の3の規定に基づいて設けられています。電気工事士の免状を持つ場合、4類試験の「電気に関する基礎的知識」の科目について免除を申請できます。
免除申請に使える免状の種類
電気工事士の免除に使える免状は次の2種類です。
- 第一種電気工事士免状
- 第二種電気工事士免状
1種と2種で免除される科目の範囲に違いはなく、どちらを持っていても同じ免除を受けられます。1種を持っているからといって2種より多く免除されるわけではありません。
免除申請のタイミング
科目免除は自動的に適用されるものではなく、試験の申込み時に申請が必要です。インターネット申込みの場合は申込みフォームで「免除あり」を選択し、書面申込みの場合は申請書の該当欄に記入します。いずれも免状の写し(コピー)の提出が必要です。
申込み後に「やはり免除を使わない」と変更することは原則としてできないため、申込み前に免除を使うかどうかを決めておく必要があります。
乙4における電気工事士免除の内容
乙4(乙種第4類)の筆記試験は通常30問です。電気工事士の免状による免除を使うと、「基礎的知識(電気)」の5問が免除対象となります。
乙4の免除前後の科目構成
| 科目 | 免除なし | 電工免除あり |
|---|---|---|
| 消防関係法令(共通) | 10問 | 10問 |
| 消防関係法令(第4類) | 7問 | 7問 |
| 基礎的知識(電気) | 5問 | 免除 |
| 構造・機能・整備(電気) | 9問 | 9問 |
| 構造・機能・整備(規格) | 6問 | 6問 |
| 実技(鑑別) | 5問 | 5問 |
| 合計 | 42問(筆記30+実技5) | 37問(筆記25+実技5) |
筆記問題が30問から25問に減り、試験時間は1時間45分から1時間になります。
なお、実技(鑑別)の5問は免除の対象外です。また、構造・機能・整備(電気)の9問は電気に関する内容ですが、こちらは免除されません。「基礎的知識(電気)」だけが免除の対象です。
乙4の合格基準と免除の関係
乙4の合格基準は「各科目40%以上かつ全体60%以上」です。科目免除を使うと免除科目は合格基準の計算から除外されます。残りの科目でそれぞれ40%以上、かつ全体(残り科目)で60%以上を取る必要があります。
問題数が少なくなるため1問あたりの配点の重みが増します。基礎知識が苦手で電工を持っているなら免除を使うのが合理的ですが、基礎知識で得点を取れる自信があれば免除なしのほうが全体スコアを稼ぎやすくなる場面もあります。
甲4における電気工事士免除の内容
甲4(甲種第4類)の筆記試験は通常45問です。電気工事士の免除を使うと、「基礎的知識(電気)」と「構造・機能・整備(電気)」の一部が免除され、問題数が大幅に変わります。
甲4の免除前後の科目構成
| 科目 | 免除なし | 電工免除あり |
|---|---|---|
| 消防関係法令(共通) | 8問 | 8問 |
| 消防関係法令(第4類) | 7問 | 7問 |
| 基礎的知識(電気) | 10問 | 免除(一部または全部) |
| 構造・機能・整備(電気) | 12問 | 免除(一部)+残り |
| 構造・機能・整備(規格) | 8問 | 8問 |
| 実技(鑑別) | 5問 | 5問 |
| 実技(製図) | 2問 | 2問 |
| 合計(筆記のみ) | 45問 | 約23問(センター資料で確認) |
免除後の試験時間は3時間15分から2時間30分になります。
甲4の免除は乙4より免除問題数が多く、筆記が大幅に減ります。正確な免除後の科目別問題数は、消防試験研究センターの公式サイトで公開されている「試験科目及び問題数」(最新版)で必ず確認してください。センターの資料が最も信頼できる数値の根拠です。
甲4の合格基準と免除の関係
甲4も「各科目40%以上かつ全体60%以上」が合格基準です。免除科目はこの計算から除外されます。筆記問題が45問から大幅に減るため、残った法令・構造機能・規格・実技の各科目でバランスよく得点する必要があります。
製図2問は免除の対象外のため、甲4受験者は免除の有無に関わらず製図対策を行う必要があります。
電気工事士免除のメリット
免除を使う主なメリットは次の3点です。
- 勉強範囲が狭くなる:基礎的知識(電気)はオームの法則・合成抵抗・コンデンサ・交流回路など電気理論の計算問題が中心です。電工の試験範囲と重複しているため、電工合格者には得意な人も多い反面、時間が経って忘れた場合は再学習のコストが発生します。免除を使えばこの科目に時間をかけなくて済みます。
- 試験時間が短くなる:乙4は1時間45分→1時間、甲4は3時間15分→2時間30分と、試験時間も減ります。長時間の集中が苦手な場合は免除のほうが受験しやすいこともあります。
- 甲4では免除問題数が多い:甲4は基礎知識(電気)と構造機能(電気)の両方が部分的に免除されるため、筆記問題数が約半分になります。法令と規格に集中して対策しやすくなります。
電気工事士免除のデメリット
免除を使うと生じるデメリットもあります。
免除科目で得点を積み上げられない
科目免除を使うと、その科目の問題が出ません。つまり、基礎知識(電気)が得意な場合でもその問題で点を取れません。全体60%以上の合格基準を満たすには、残った科目でしっかり点数を取る必要があります。
基礎知識(電気)を得意としている人にとっては、免除を使わずに全科目受験するほうが全体スコアを稼ぎやすいケースがあります。
一部の科目で得点源が増やせない
乙4の場合、構造機能(電気)9問は免除されないため、電気回路に関する問題は引き続き出題されます。基礎知識5問だけを免除したことで「電気は全部免除した」と誤解しないよう注意が必要です。電気に関する学習が完全に不要になるわけではありません。
電工1種と2種で免除範囲は変わるか
第一種電気工事士と第二種電気工事士で免除される科目の範囲は同じです。消防試験研究センターの試験情報では、電気工事士の免除は「第一種または第二種電気工事士免状の交付を受けている者」を対象としており、取得した種類によって免除範囲が変わるとは記されていません。
1種を持っているからといって2種より多くの科目が免除されることはありません。電工1種・2種どちらの免状を使っても、4類で受けられる免除は同じです。
免除を使うかどうかの判断基準
免除を使うかどうかは、自身の得意不得意と勉強の方針で判断します。次の点を目安にするとよいでしょう。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 電気の計算が苦手、電工取得から時間が経った | 免除を使う |
| 電気の計算が得意、電工合格からあまり時間が経っていない | 免除なしで全問受験を検討する |
| とにかく早く試験を終わらせたい | 免除を使う(試験時間が短くなる) |
| 法令・規格が苦手で電気は自信がある | 免除なしで電気問題で得点を確保する |
いずれの場合も、試験申込み後の変更は原則としてできないため、申込み前に決めておくことが大切です。
免除申請に必要な書類
試験申込み時に科目免除を申請するには、免状の写し(コピー)を提出します。具体的な書類の形式(コピーのサイズ・白黒可否など)は消防試験研究センターの申込み案内で確認してください。インターネット申込みとCBT試験では画像ファイルのアップロードで対応できる場合があります。
書面申込みの場合は申請書の所定欄に必要事項を記入し、コピーを添付して郵送します。詳細な手順は試験申込みの案内記事も参考にしてください。
まとめ
- 電気工事士(1種・2種)の免状で「基礎的知識(電気)」が免除される
- 乙4:筆記30問→25問、試験時間1時間45分→1時間
- 甲4:筆記45問→約23問、試験時間3時間15分→2時間30分(詳細はセンター資料で確認)
- 1種と2種の免除範囲は同じ
- 実技(鑑別・製図)は免除対象外
- 構造機能(電気)は乙4では免除されない(甲4は一部免除)
- 免除するかどうかは得意不得意と勉強の方針で判断する
科目免除の全体像(電工2種以外の免除の種類)については消防設備士4類の科目免除の種類と手順をご覧ください。試験の申込み手順の詳細は試験申込みの方法と必要書類を参考にしてください。
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試験範囲の理解を深めるには、実際に問題を解くのが効果的です。消防設備士4類 AI問題集では、法令・構造機能・規格・鑑別・製図の各科目について繰り返し練習できます。1日3問まで無料で利用できます。
4類の詳細は消防設備士4類(甲4・乙4)のご案内をご覧ください。
出典
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」(最新版は公式サイトで確認)
- 消防法施行令第4条の3(試験の科目の免除)
本記事の問題数・試験時間は消防試験研究センターの公式資料に基づいています。制度変更がある場合があるため、受験前に公式サイトで最新情報を確認してください。


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