二級ボイラー技士試験【蒸気の性質】飽和蒸気・乾き度・エンタルピ

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二級ボイラー技士試験の「ボイラーの構造に関する知識」では、蒸気の性質に関する問題が毎年出題されます。飽和蒸気・乾き度・エンタルピという用語は、名前だけ覚えてもほとんど得点にはつながりません。「どの状態の蒸気か」「なぜその値になるか」という仕組みを理解することが合格への近道です。

水が蒸気になるまでの4段階

水を加熱したときの状態変化を順に整理します。

状態 説明 乾き度
飽和水(沸点の水) その圧力での沸点に達した水。まだ蒸気にはなっていない。 0
湿り飽和蒸気(湿り蒸気) 蒸発の途中。水と蒸気が混在している状態。細かい水滴を含む。 0〜1の間
乾き飽和蒸気 水分を一切含まない飽和蒸気。蒸発が完了した状態。 1(100%)
過熱蒸気 乾き飽和蒸気をさらに加熱した蒸気。飽和温度より高温で、水分ゼロ。 1(水分なし)

飽和蒸気とは何か

「飽和」とは、ある圧力のもとで水と蒸気が共存できる状態を指します。この温度を「飽和温度」、この圧力を「飽和圧力」と呼びます。大気圧(約0.1MPa)では飽和温度は100℃ですが、圧力が高くなるにつれて飽和温度も上がります。たとえば0.5MPaでは約151℃、1.0MPaでは約180℃が飽和温度です。

飽和蒸気には湿り飽和蒸気と乾き飽和蒸気の2種類があります。どちらも「飽和温度にある蒸気」という点では同じですが、水分の有無が異なります。試験では「飽和蒸気=乾き飽和蒸気」と混同しないように注意が必要です。

乾き度の計算と意味

乾き度(クオリティ)は湿り飽和蒸気の中に占める蒸気の割合を示す指標です。

乾き度=蒸気の質量÷(蒸気の質量+水の質量)

具体例:1kgの湿り蒸気のうち900gが蒸気で100gが水分の場合、乾き度は900÷1000=0.9です。

  • 乾き度0.0:全部が水(飽和水)、蒸気はゼロ
  • 乾き度0.8:蒸気80%・水分20%の湿り蒸気
  • 乾き度0.9:蒸気90%・水分10%の湿り蒸気
  • 乾き度1.0:水分ゼロの乾き飽和蒸気

ボイラーから供給される蒸気の乾き度が低いと、熱交換器や蒸気機器の性能が落ちます。乾き度が高いほど蒸気の品質が高いといえます。

過熱蒸気とは何か

過熱蒸気は乾き飽和蒸気をさらに加熱した蒸気です。同じ圧力の飽和温度より高い温度になっており、完全に水分を含みません。過熱温度は「蒸気の温度-飽和温度」で計算します。

過熱蒸気のエンタルピ(エネルギー量)は乾き飽和蒸気より大きく、蒸気タービンを回すエネルギーが大きいため、発電所や高出力が必要な工程で使われます。過熱器はボイラーで発生した飽和蒸気をさらに加熱する装置で、高温になるため金属材料の耐熱性が求められます。

エンタルピとは何か

エンタルピ(単位:kJ/kg)は物質が持つ熱エネルギーの量を表します。ボイラーの文脈では「蒸気1kgが持っているエネルギーの大きさ」を示す数値です。

  • 過熱蒸気のエンタルピ > 乾き飽和蒸気のエンタルピ > 飽和水のエンタルピ
  • 加熱するほどエンタルピは増加する
  • 水が蒸気に変わるとき吸収する熱量を「蒸発潜熱」という(1気圧で約2257kJ/kg)
  • 蒸発潜熱は圧力が高くなるほど小さくなる

換算蒸発量の計算にもエンタルピが使われます。換算蒸発量(kg/h)=実際の蒸発量×(発生蒸気のエンタルピ-給水のエンタルピ)÷2257 kJ/kg という式で、標準状態(給水100℃・大気圧)に換算した蒸発量を求めます。

圧力と飽和温度・蒸気の比体積の関係

蒸気の比体積(1kgの蒸気が占める体積)は圧力が上がるほど小さくなります。低圧では蒸気は非常に体積が大きく、高圧になると体積が圧縮されます。配管の設計や蒸気タービンの設計に重要な数値です。

圧力(絶対圧) 飽和温度(℃) 蒸発潜熱(kJ/kg)の傾向
0.1MPa(大気圧) 100℃ 大きい(約2257)
0.5MPa 約151℃ 中程度
1.0MPa 約180℃ 小さくなる
22.1MPa(臨界圧力) 約374℃ ゼロ(水と蒸気の区別なし)

試験で間違えやすいポイント

  • 「飽和蒸気=水分ゼロ」は誤り。飽和蒸気には湿り飽和蒸気(水分あり)と乾き飽和蒸気(水分ゼロ)がある。
  • 「圧力が上がると沸点は下がる」は誤り。圧力が上がるほど飽和温度(沸点)は上がる。
  • 「蒸発潜熱は圧力が上がると大きくなる」は誤り。圧力が上がるほど蒸発潜熱は小さくなる。
  • 「乾き度1.0は過熱蒸気」は誤り。乾き度1.0は乾き飽和蒸気。過熱蒸気は飽和温度を超えた別の状態。

この記事のまとめ

  • 蒸気の状態:飽和水→湿り飽和蒸気(乾き度0〜1)→乾き飽和蒸気(乾き度1)→過熱蒸気の順
  • 乾き度は蒸気の質量割合。1.0で水分ゼロの乾き飽和蒸気
  • エンタルピは熱エネルギーの量。過熱蒸気が最大
  • 圧力が上がると飽和温度は上がり、蒸発潜熱は小さくなる

出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題・ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月

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この記事を書いた人

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