消防設備士4類の試験では、R型受信機の出題に合わせて「中継器」が問われることがあります。P型受信機の系統図には登場しない機器ですが、R型システムを理解する上で中継器の役割は欠かせません。
この記事では、中継器の定義・種類・設置基準・接続できる感知器の数・P型との使い分けの観点から整理します。試験対策として押さえるべき出題パターンも末尾にまとめています。
中継器とは何か
中継器は、R型受信機と感知器の間に設置して信号を中継する機器です。規格省令(自動火災報知設備の感知器等の規格に関する省令)第2条では、「中継器とは、感知器または発信機からの信号を受信し、これを他の機器に伝達する機能を有する機器」と定義されています。
P型受信機は、警戒区域ごとに独立した回線で感知器と直結します。そのため中継器を必要としません。一方、R型受信機はアドレス式の信号方式を採用しており、個々の感知器にアドレス(番号)を割り当てて管理します。このアドレス信号の中継・変換を行うのが中継器の役割です。
中継器が必要な理由
R型受信機と感知器は、直接接続すると配線本数が膨大になる場合があります。中継器を経由させることで、受信機から中継器までは少ない配線(信号線)で済ませ、中継器から各感知器へはアドレス付きの信号を分配できます。大規模な建物や複合施設で特に有効な構成です。
| 項目 | P型受信機 | R型受信機 |
|---|---|---|
| 信号方式 | 共通信号(回路単位) | 個別アドレス信号 |
| 中継器 | 不要 | 必要(アドレス変換) |
| 主な用途 | 小〜中規模建物 | 大規模・複合建物 |
| 配線規定 | 回路抵抗50Ω以下・共通線7以下 | 中継器経由で個別管理 |
中継器の種類
中継器にはいくつかの種類があります。試験で頻出の区分を整理します。
R型用中継器
R型受信機専用の中継器です。感知器のアドレス信号をR型受信機が認識できる形式に変換して伝達します。R型システムの標準的な構成要素です。
GP型用中継器(GR型対応)
GP型受信機(P型とガス漏れ火災警報設備の複合型)やGR型(R型とガス漏れの複合型)に対応した中継器です。ガス漏れ検知器からの信号も中継できます。
複合型中継器
自動火災報知設備と他の設備(非常放送設備など)を連動させる場合に使用します。複数の信号を1台で処理できる構成です。
中継器の設置基準
中継器の設置については、消防法施行規則第24条の規定に基づき、以下の点が求められます。
- 点検・操作がしやすい位置に設置すること
- 電源を確保すること(受信機から供給または独立電源)
- 腐食性ガス・水蒸気・粉塵などの影響を受けない場所に設置すること
- 衝撃・振動を受けにくい場所であること
感知器の設置禁止場所(施行規則第23条第4項)に準じた環境を避けることが基本です。点検口の近くや電気室の隅など、維持管理しやすい位置が選ばれます。
電源の確保
中継器は動作するために電源を必要とします。受信機から配線で供給する方式と、中継器に独立した電源を設ける方式があります。設置計画の段階で電源の引き回しも含めた検討が必要です。
接続できる感知器の数
中継器1台あたりに接続できる感知器の数は、機器のスペックによって異なります。試験では「接続できる感知器の数の上限は何台か」という形で出題されることもありますが、具体的な台数は中継器の規格によって定まるため、問題文で与えられた条件を使うのが基本です。
P型受信機の「1回線に接続できる感知器の数」に相当する概念ですが、R型では1台の中継器が複数のアドレスを管理する構成になっています。
系統図での描き方
甲4の製図問題では、R型システムの系統図が出題されることがあります。中継器はR型受信機と感知器の間に配置し、信号線で接続します。P型の送り配線と混同しないよう注意が必要です。
| 記号の位置 | P型系統図 | R型系統図 |
|---|---|---|
| 受信機 | P型(1級/2級) | R型 |
| 途中の機器 | なし(直結) | 中継器 |
| 末端 | 発信機・終端器 | 感知器(アドレス付き) |
| 配線方式 | 送り配線(断線検出) | 信号線(アドレス管理) |
P型との違いと使い分け
P型受信機とR型受信機(中継器あり)の使い分けは、建物の規模と管理の複雑さによって決まります。
小規模建物はP型が多い
警戒区域が少なく、感知器の管理もシンプルな場合はP型が適しています。P型は回線単位で管理するため、設備がシンプルで設置・保守のコストを抑えやすいのが特徴です。P型2級は5警戒区域以下の建物に使用できます。
大規模建物はR型が多い
商業施設・ホテル・病院など感知器の台数が多い大規模建物では、R型システムが採用されます。アドレス式のため、どの感知器が作動したかを受信機で個別に特定できます。火災発生箇所の迅速な確認と対応が可能な点が大きなメリットです。
また、大規模建物では中継器を各フロアや各ゾーンに分散設置することで、信号線の総延長を抑えることができます。
試験での出題パターン
消防設備士4類の筆記・実技で中継器が問われる主なパターンは次の4種類です。
パターン1:中継器の定義を選ぶ
「次のうち中継器の説明として正しいものはどれか」という形式です。「R型受信機と感知器の間に設置して信号を中継する機器」という定義が正解になります。「P型受信機でも使用する」「送り配線の末端に設置する」などの誤った選択肢と区別できるようにします。
パターン2:中継器が必要な受信機の種別
「中継器が必要なのはP型とR型のどちらか」という出題です。R型が正解です。P型は回路単位の共通信号を使用するため、アドレス変換の中継器は不要です。
パターン3:R型とP型の系統図の違い
製図問題でR型の系統図を描く際に中継器の有無・位置を問われます。受信機と感知器の間に中継器を配置するのがR型の基本構成です。
パターン4:中継器の設置に関する正誤判断
「中継器は点検しやすい位置に設置しなければならない」「腐食性ガスが発生する場所でも設置できる」などの選択肢の正誤を判断します。設置基準の基本(点検しやすい位置・悪環境を避ける)を押さえておけば対応できます。
中継器と感知器・受信機の関係をまとめる
試験対策として、P型とR型の構成機器の違いを整理しておくと混乱しにくくなります。
| 機器 | P型システム | R型システム |
|---|---|---|
| 受信機 | P型(1/2/3級) | R型 |
| 中継器 | 不要 | 必要 |
| 感知器 | アドレスなし | アドレス付き |
| 信号 | 回路単位の共通信号 | 個別アドレス信号 |
| 断線検出 | 送り配線・終端器で検出 | アドレス信号の途絶で検出 |
P型の回路抵抗50Ω以下・共通線7以下・送り配線の義務はP型固有の規定です。R型では中継器を経由するため、これらの規定は適用されません。試験での混同に注意してください。
まとめ
中継器はR型自動火災報知設備に使用される機器で、受信機と感知器の間でアドレス信号を中継・変換します。P型には不要です。設置基準として、点検しやすい位置に設置すること・悪環境を避けることが求められます。試験では定義・必要な受信機の種別・系統図での配置・設置基準の正誤判断の4パターンが出題されます。
R型受信機の全体的な仕組みについては「R型受信機の仕組み。アドレス式の信号方式・中継器の役割・P型との違いを整理する。」で詳しく解説しています。
P型受信機の規格(1級・2級・3級の違いと回線数)については「P型受信機の1級・2級・3級の違い。規格省令から試験での判断方法を整理する。」を参照してください。
感知器・受信機の整備手順(試験に出る整備の流れ)については「感知器・受信機の整備手順。消防設備士4類の試験で問われる整備の流れを整理する。」で解説しています。
出典・根拠
- 自動火災報知設備の感知器等の規格に関する省令(規格省令)第2条(中継器の定義)
- 消防法施行規則第24条(自動火災報知設備の設置・維持の技術上の基準)
- 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」(最新情報はセンター公式サイトを確認)
本記事は試験対策を目的とした解説です。実際の設備設計・施工にあたっては、専門の消防設備士・設備メーカーの指示に従い、最新の法令・告示・メーカー仕様を確認してください。
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試験概要・問題集の案内ページは「消防設備士4類(甲4・乙4)試験対策」をご覧ください。


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