長年疎遠だった兄弟が「親の財産はどうなっているのか」と急に連絡してきた。または、疎遠の兄弟がいる中で自分だけが介護を担っている。認知症の親の財産管理で「疎遠の兄弟」が絡むケースは、相続への影響・費用負担の問題・後見申立てへの同意など、複数の問題が発生しやすい。
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疎遠の兄弟が関わると起きやすい問題
疎遠の兄弟(介護に参加していない兄弟)が認知症の親の財産管理に絡んでくる場面で起きやすい問題は次の通りだ。
- 法定後見の申立て手続きへの干渉:後見申立て書類には「申立てに同意するか不同意か」を記入する親族照会書が使われる場合がある。疎遠の兄弟が「不同意」と回答した場合、手続きが複雑になる可能性がある(ただし他の申立権者が申立てした場合は必ず同意が必要というわけではない)
- 介護費用の請求・精算を巡るトラブル:自分だけが介護費用を負担してきた場合、相続後に「立替費用の精算」を主張すると対立になりやすい
- 財産の使い込み疑惑:介護に参加していない兄弟から「お金を勝手に使っている」と疑われるケース
疎遠の兄弟の「後見申立てへの同意」は必須ではない
成年後見申立ての際、家庭裁判所は「本人の親族(4親等内)に照会書を送付して意見を確認する」手続きをとることが多い。ここで疎遠の兄弟が「反対」「不同意」と回答した場合に申立てが止まるわけではない。
家庭裁判所は「本人の利益」を優先して判断するため、一部の親族の反対意見で申立てが却下されるケースは少ない。ただし対立が激しい場合は、専門職後見人が選任される可能性が高くなる。
介護費用の「特別寄与料」制度
2019年施行の「特別寄与料制度」(民法第1050条)は、相続人ではない親族(例:長男の配偶者)が被相続人(親)の療養看護に特別な貢献をした場合に、相続人に金銭請求できる制度だ。
直接の相続人(子)が介護に貢献した場合は「寄与分」(民法第904条の2)として、相続分の調整が認められる可能性がある。「自分だけが介護を担って費用を出してきた」場合は、弁護士に「寄与分の主張が可能か」を相談する。
疎遠の兄弟との情報共有の仕組みを作る
疎遠の兄弟との対立を最小化するために、早期から「情報共有の仕組み」を作ることが有効だ。
- 介護の状況・費用支出の記録を定期的に(月一回等)メールやLINEで共有する
- 介護費用の支出は領収書・振込明細をすべて保存して、開示できる状態にしておく
- 成年後見申立ての方針を決める前に、一度兄弟全員が話し合う場を設ける(後から「知らなかった」という主張を防ぐ)
この記事のまとめ
- 疎遠の兄弟が後見申立てに「不同意」でも、申立てが必ず却下されるわけではない
- 介護費用を一人で負担してきた場合は「寄与分」の主張(民法第904条の2)を弁護士に相談する
- トラブルを防ぐには、介護状況・費用の記録を定期的に兄弟全員に開示する仕組みを作る
- 対立が激しい場合は専門職後見人が選任される可能性が高くなる
出典:民法第840条(後見申立て権者)・第904条の2(寄与分)・第1050条(特別寄与料・2019年施行)、家事事件手続法(後見審判の手続き)
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