乙1(第1類危険物)の危険等級別まとめ。I・II・IIIの品目と指定数量一覧。

危険物取扱者 乙種第1類(乙1)の試験で確実に問われるのが「危険等級」と「指定数量」です。第1類(酸化性固体)の9品目は危険等級I・II・IIIの3つに分類されており、それぞれ指定数量が異なります。この記事では、危険等級ごとに品目を整理し、試験で問われやすいポイントをまとめます。

危険等級とは

危険等級とは、危険物の危険性・有害性を総合的に評価して I・II・III の3段階に分類した区分です。消防法施行令別表第三に規定されており、危険等級 I が最も危険性が高く、III が相対的に低い分類です。

出典:危険物の規制に関する政令第一条の三・別表第三

危険等級は運搬容器の表示や包装基準にも影響します。乙1の試験では「この品目の危険等級はいくつか」「指定数量は何kgか」という形で直接問われます。

第1類(酸化性固体)の危険等級別一覧

危険等級 品名 指定数量 代表物質
I
(最高危険性)
塩素酸塩類 50kg 塩素酸カリウム(KClO₃)
過塩素酸塩類 50kg 過塩素酸カリウム(KClO₄)・過塩素酸アンモニウム
無機過酸化物 50kg 過酸化ナトリウム(Na₂O₂)・過酸化カリウム・過酸化バリウム
亜塩素酸塩類 50kg 亜塩素酸ナトリウム(NaClO₂)
臭素酸塩類 50kg 臭素酸カリウム(KBrO₃)
II 硝酸塩類 300kg 硝酸カリウム(KNO₃)・硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)
ヨウ素酸塩類 300kg ヨウ素酸カリウム(KIO₃)
過マンガン酸塩類 300kg 過マンガン酸カリウム(KMnO₄)・暗紫色
重クロム酸塩類 300kg 重クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)・橙赤色
III その他のもの・政令で定めるもの 1,000kg ジクロロイソシアヌル酸(DCCA)等

出典:消防法別表第一(第一類)・危険物の規制に関する政令別表第一・別表第三

危険等級 I(指定数量50kg)の5品目の特徴

危険等級 I の5品目はすべて指定数量50kgで、第1類の中で最も危険性が高いグループです。

塩素酸塩類(代表:塩素酸カリウム KClO₃)

塩素酸カリウムは硫黄・木炭・有機物との混合で非常に鋭感性が高く、わずかな衝撃・摩擦でも爆発する危険があります。煙火・マッチの原料としても知られています。消火方法は大量の水。

過塩素酸塩類(代表:過塩素酸カリウム KClO₄)

塩素酸塩類より安定しています(鋭感性が低い)。過塩素酸アンモニウムはロケット推進剤の酸化剤として使われます。消火方法は大量の水。

無機過酸化物(代表:過酸化ナトリウム Na₂O₂)

第1類の中で唯一の「水厳禁・二酸化炭素(CO₂)厳禁」品目です。水と激しく反応して酸素を発生し発熱します。消火方法は乾燥砂・膨張ひる石のみ。試験で最も問われやすい例外品目です。

亜塩素酸塩類(代表:亜塩素酸ナトリウム NaClO₂)

酸と反応して二酸化塩素(ClO₂)を発生します。二酸化塩素は有毒・爆発性があります。消火方法は大量の水。

臭素酸塩類(代表:臭素酸カリウム KBrO₃)

有機物・硫黄との混合で発火・爆発の危険があります。消火方法は大量の水。

危険等級 II(指定数量300kg)の4品目の特徴

危険等級 II の4品目は指定数量300kgで、危険等級 I より取り扱いリスクが低い分類です。ただし強力な酸化剤であることは変わりません。

硝酸塩類(代表:硝酸カリウム KNO₃・硝酸アンモニウム NH₄NO₃)

硝酸アンモニウムは大量・密閉空間での加熱で爆発する危険があります(ANFO爆薬の原料)。硝酸カリウムは火薬・肥料の原料です。消火方法は大量の水。

ヨウ素酸塩類(代表:ヨウ素酸カリウム KIO₃)

比較的安定した品目です。ヨウ素強化食塩の原料に使われます。消火方法は大量の水。

過マンガン酸塩類(代表:過マンガン酸カリウム KMnO₄)

暗紫色が特徴。酸・還元剤との接触で危険。水溶液は脱色反応で化学分析にも使われます。消火方法は大量の水。

重クロム酸塩類(代表:重クロム酸カリウム K₂Cr₂O₇)

橙赤色が特徴。六価クロムを含む有毒物質です。有機物との接触・加熱で発火の危険があります。消火方法は大量の水。

危険等級 III(指定数量1,000kg)の「その他」品目

「政令で定めるもの」と「その他のもの」が危険等級 III に相当します。指定数量1,000kgは第1類の中で最も多い量です。ジクロロイソシアヌル酸(DCCA)などがこのグループに含まれます。消火方法は大量の水。

指定数量の覚え方

第1類の指定数量のパターンは「50・300・1,000」の3段階だけです。危険等級 I は50kg・II は300kg・III は1,000kgと、危険等級に対応します。

  • 危険等級 I = 50kg(5品目すべて)
  • 危険等級 II = 300kg(4品目すべて)
  • 危険等級 III = 1,000kg

例外は一切なく、危険等級と指定数量が1対1で対応しているため、危険等級を覚えれば指定数量も自動的に覚えられます。

指定数量の倍数計算(法令問題での使い方)

危険物を複数種類貯蔵・取り扱う場合、各危険物の「倍数」(実際の数量 ÷ 指定数量)の合計が1以上になると各種規制が適用されます。乙1の法令問題では倍数計算がよく問われます。

例:塩素酸カリウム(指定数量50kg)を100kg、過マンガン酸カリウム(指定数量300kg)を150kg貯蔵する場合の倍数の合計は?

100 ÷ 50 + 150 ÷ 300 = 2.0 + 0.5 = 2.5倍

出典:消防法第10条(危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合の数量)・危険物の規制に関する政令第1条の11

試験対策:危険等級で問われやすいポイントまとめ

  • 危険等級 I の5品目(塩素酸・過塩素酸・無機過酸化物・亜塩素酸・臭素酸)はすべて指定数量50kg
  • 危険等級 II の4品目(硝酸・ヨウ素酸・過マンガン酸・重クロム酸)はすべて指定数量300kg
  • 無機過酸化物だけが「水厳禁・CO₂厳禁」→ 乾燥砂のみ
  • 過マンガン酸塩類 = 暗紫色、重クロム酸塩類 = 橙赤色
  • 硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)= 密閉空間での大量加熱で爆発危険

乙1の問題演習は危険物乙1 AI問題集で。性消100問の中に危険等級・指定数量に関する問題が含まれています。

乙4・乙6・甲種の問題集は危険物取扱者の問題集まとめからどうぞ。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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