危険物取扱者乙種第1類(乙1)の試験は、乙種他類(乙4など)をすでに持っている場合に科目免除が使えます。法令15問・物化10問・性消10問の合計35問から、性消10問だけの受験に減らすことができます。試験時間も短くなり、合格基準は性消で6問以上(60%)です。乙1を効率よく取るには科目免除の仕組みを正確に理解することが重要です。
乙1の試験科目と問題数
乙種危険物取扱者試験の科目と問題数は、危険物取扱者試験の種別ごとに定められています(消防法第13条の3・危険物取扱者試験規則)。
| 科目 | 問題数 | 合格基準 | 免除後 |
|---|---|---|---|
| 危険物に関する法令(法令) | 15問 | 9問以上(60%) | 免除 |
| 基礎的な物理学および基礎的な化学(物化) | 10問 | 6問以上(60%) | 免除 |
| 危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法(性消) | 10問 | 6問以上(60%) | 受験必須 |
出典:危険物取扱者試験規則第10条・第13条
科目免除を使うと性消10問のみの受験となり、合格基準は性消で6問以上(60%)です。試験時間は35分(性消のみ)です。なお、全科目受験(免除なし)の場合の合格基準は「各科目60%以上かつ全体60%以上」で、各科目の基準は法令9問・物化6問・性消6問・全体21問以上です。
科目免除を使える条件
乙1の科目免除は「他の乙種危険物取扱者免状を持っている人」が対象です。乙4・乙2・乙3・乙5・乙6のいずれかを持っていれば、乙1の法令・物化を免除できます。
- 対象:乙種危険物取扱者免状(乙4・乙2・乙3・乙5・乙6のいずれか)を保有している人
- 免除できる科目:「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学および基礎的な化学」
- 手続き:試験申込時に免状番号・交付都道府県を記載する(免状の写しの添付が必要な場合もある)
乙種の複数類を受ける場合は、1回の試験申込で複数類を同時受験(2類まで)できる都道府県もあります(同時複数受験制度)。詳細は各都道府県の消防試験研究センターに確認してください。
乙4取得者が乙1を受験する流れ
すでに乙4を持っている人が乙1を取得する場合の典型的な流れです。
- 各都道府県の消防試験研究センターで試験日程を確認する
- 試験申込書に乙4免状の情報を記載して、科目免除を申請する
- 乙1の性消(危険物の性質・火災予防・消火方法)を集中して学習する
- 試験当日:性消10問のみを受験する(試験時間は35分)
- 合格後:免状書換申請を行い、乙1を追記してもらう
乙4で法令・物化はすでに証明されているため、乙1では性消に専念できます。勉強時間の目安は2〜4週間程度(1日1〜2時間の学習)です。
乙1の性消10問で出題される品目一覧
乙1(第1類:酸化性固体)の性消科目では、第1類の全品目から出題されます。品目と指定数量・危険等級の一覧です。
| 品名 | 指定数量 | 危険等級 | 代表物質・特徴 |
|---|---|---|---|
| 塩素酸塩類 | 50kg | I | 塩素酸カリウム(KClO₃)・有機物との混合で危険 |
| 過塩素酸塩類 | 50kg | I | 過塩素酸カリウム(KClO₄)・塩素酸塩類より安定 |
| 無機過酸化物 | 50kg | I | 過酸化ナトリウム(Na₂O₂)・水厳禁(水と反応→酸素) |
| 亜塩素酸塩類 | 50kg | I | 亜塩素酸ナトリウム(NaClO₂) |
| 臭素酸塩類 | 50kg | I | 臭素酸カリウム(KBrO₃) |
| 硝酸塩類 | 300kg | II | 硝酸カリウム(KNO₃)・硝酸アンモニウム(爆発性) |
| ヨウ素酸塩類 | 300kg | II | ヨウ素酸カリウム(KIO₃) |
| 過マンガン酸塩類 | 300kg | II | 過マンガン酸カリウム(KMnO₄)・暗紫色・酸と反応 |
| 重クロム酸塩類 | 300kg | II | 重クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)・橙赤色・六価Cr毒性 |
| その他(告示で定める) | 300kg | II | 過ヨウ素酸カリウム・三酸化クロムなど |
出典:消防法別表第一(第一類)・危険物の規制に関する政令別表第一・危険物の規制に関する規則別表第3
科目免除で受験する場合の合格戦略
性消10問で6問以上(60%)が合格基準です。10問中4問まで間違えても合格できます。短時間でも確実に得点できる戦略を立てることが重要です。
- 指定数量・危険等級を品目ごとに確実に覚える:50kg(危険等級I)と300kg(危険等級II)の区分は毎回出題される
- 無機過酸化物の「水厳禁」は必須:過酸化ナトリウム・過酸化カリウムは水と反応して酸素を発生→水消火禁止
- 色が特徴的な品目を覚える:KMnO₄(暗紫色)・K₂Cr₂O₇(橙赤色)・KClO₄(白色)・KClO₃(白色)
- 硝酸アンモニウムの爆発性を覚える:大量・密閉・加熱・衝撃で爆発しうる
- 過塩素酸塩類が塩素酸塩類より安定していることを覚える
- 消火方法の原則:「大量の水」が基本。無機過酸化物のみ水厳禁
AIを使って問題を繰り返し解くことで、短期間で得点力を上げることができます。
科目免除なし(全科目受験)との比較
| 比較項目 | 科目免除あり(乙4等保有) | 科目免除なし(全科目受験) |
|---|---|---|
| 受験科目 | 性消のみ(10問) | 法令15問+物化10問+性消10問(計35問) |
| 合格基準 | 性消6問以上(60%) | 各科目60%以上かつ全体60%以上(計21問以上) |
| 学習範囲 | 第1類の性質・消火方法のみ | 法令全体+物化+第1類の性質・消火方法 |
| 学習時間目安 | 2〜4週間(1〜2時間/日) | 1〜2か月(1〜2時間/日) |
| 試験時間 | 35分 | 1時間45分 |
乙種の複数類取得を目指す場合の順番
乙4を最初に取得してから、科目免除を使って他の乙種を取る順番が効率的です。
- 乙4(引火性液体)を取得:最も受験者数が多く、参考書・問題集が豊富
- 乙6(酸化性液体)→乙1(酸化性固体)→乙3(自然発火性・禁水性物質)の順が人気
- 最終的に乙種全6類取得→甲種受験資格を得る(甲種受験には乙種4種以上かつ第1・2・3・5類または第1・3・4・6類の組み合わせが必要)
乙1は性消科目の出題範囲が「酸化性固体(第1類)」のみに絞られているため、科目免除を使えば比較的短期間で取得可能な類です。
乙1取得後の合格証書と免状書換え手続き
乙1に合格したら、既存の免状に乙1を追記するための書換え申請が必要です。
- 合格通知書を受取る(試験後約2〜3週間で郵送)
- 現在持っている乙種免状・合格通知書・申請書・写真・手数料(2,900円程度、都道府県により異なる)を準備する
- 各都道府県の消防試験研究センター支部または指定の窓口に申請する
- 書換え後の免状が交付される(乙4・乙1両方が記載された新しい免状)
申請期限は定められておらず、合格後いつでも申請できますが、早めに申請して業務に活用することをお勧めします。
乙種全6類取得への道筋
乙4→乙1と取得した場合、残りは乙2・乙3・乙5・乙6の4類です。乙種全6類を取得すると甲種の受験資格(乙種4種以上かつ第1・2・3・5類または第1・3・4・6類を含む組み合わせ)が得られます。
| 乙種の類 | 対象危険物 | 指定数量(代表) | 難易度目安 |
|---|---|---|---|
| 乙4(取得済み) | 引火性液体(ガソリン・灯油等) | 200L〜6,000L | 基準 |
| 乙1(取得済み) | 酸化性固体(塩素酸塩類等) | 50kg〜300kg | 比較的容易 |
| 乙6 | 酸化性液体(過塩素酸等) | 300kg | 比較的容易 |
| 乙2 | 可燃性固体(硫黄・マグネシウム等) | 100kg〜1,000kg | 比較的容易 |
| 乙5 | 自己反応性物質(有機過酸化物等) | 10kg〜200L | やや難 |
| 乙3 | 自然発火性・禁水性物質(カリウム等) | 10kg〜300kg | やや難 |
乙4→乙1→乙6→乙2→乙5→乙3の順が一般的に人気のある取得順です。各類の試験で科目免除(法令・物化)を活用することで、学習範囲を性消のみに絞れます。
まとめ
乙4などの乙種免状を持っている場合、乙1の試験は法令・物化が免除され、性消10問(合格基準:6問以上・60%)だけの受験になります。第1類(酸化性固体)9品目の指定数量・危険等級・代表物質の性状・消火方法を集中して学習することで、効率よく合格できます。無機過酸化物の「水厳禁」と、過マンガン酸塩類(暗紫色)・重クロム酸塩類(橙赤色)の色は必ず覚えてください。合格後は既存の免状に乙1を追記する書換え申請を忘れずに行いましょう。
乙1の性消で確実に得点するための学習法
性消10問で6問以上(60%)が合格基準です。科目免除を使う場合、この10問だけに集中できます。効率よく得点するための具体的な学習法です。
- 指定数量と危険等級を表で覚える:50kg(危険等級I)の品目と300kg(危険等級II)の品目を2グループで記憶する。50kg:塩素酸塩類・過塩素酸塩類・無機過酸化物・亜塩素酸塩類・臭素酸塩類(5種)。300kg:硝酸塩類・ヨウ素酸塩類・過マンガン酸塩類・重クロム酸塩類・その他(5種)
- 色が特徴的な品目を視覚的に覚える:KMnO₄(暗紫色)・K₂Cr₂O₇(橙赤色)の2つが色の出題ポイント。他はほぼ白色〜無色
- 消火方法の例外だけ覚える:消火は「大量の水」が原則。唯一の例外が無機過酸化物(水と反応するため水厳禁)
- 硝酸アンモニウムの爆発事故(テキサスシティ・天津・ベイルート)をストーリーで記憶する:具体的な事故例を知っていると記憶に定着しやすい
- 過マンガン酸塩類の「酸との接触が危険」は他の品目にない特徴として記憶する
- 問題を繰り返し解く:知識を定着させるには問題演習が最も効果的
学習の最後にはAIを活用した問題集で実際の試験形式に慣れることをお勧めします。試験まで残り1〜2週間の時期は毎日10〜20問を解いて弱点を確認・補強しましょう。
試験申込から受験当日の流れ
乙1を受験するまでの手続きの流れをまとめます。
- 試験日程の確認:消防試験研究センター(https://www.shoubo-shiken.or.jp)で各都道府県の試験日程を確認する。乙種は月2回程度実施されている都道府県が多い
- 申込書の入手:消防試験研究センターの支部窓口で入手するか、インターネット申請を利用する(都道府県による)
- 申込書の記載:既取得免状(乙4)の情報を記載して科目免除を申請する。受験手数料を納付する(4,500円程度)
- 受験票の受取り:申込後、受験票が郵送される。試験会場・集合時間を確認する
- 試験当日:受験票・身分証明書・筆記用具を持参する。試験時間は35分(科目免除あり)。マークシート方式(5択)
- 合否確認:試験後、合否は消防試験研究センターのウェブサイトで確認できる(試験後約2週間)
試験で注意したいのは「科目免除の申請漏れ」です。申込時に既取得免状の情報を記載しないと科目免除が適用されず、全科目受験になってしまう場合があります。申込書の記載は丁寧に確認してください。
乙1の実際の問題を解いて力をつけるには危険物乙1 AI問題集を使ってください。危険物取扱者の各類まとめは危険物取扱者の問題集まとめをご覧ください。
出典:消防法第13条の3・危険物取扱者試験規則第10条・第13条・消防法別表第一(第一類)

コメント