泡消火設備(開放型フォームヘッド方式)は、自動火災報知設備の感知器が火災を検知し、制御盤を経由して一斉開放弁を開くことで全ヘッドへ泡を放射します。この「感知器→制御盤→一斉開放弁→フォームヘッド」の連動フローは甲2の構造機能・起動装置の出題頻度が高い範囲です。手動起動装置との違い、非常電源の要件(30分以上)、一斉開放弁の開放時間(加圧水式60秒・気体圧式15秒)とあわせて整理しておきましょう。
泡消火設備の自動起動フロー(5ステップ)
開放型泡消火設備の自動起動は次の順序で動作します。各ステップで何が起きているかを理解すると、試験の「誤りを含む選択肢」を見抜きやすくなります。
| 順序 | 動作 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| ①感知器作動 | 防護区画内の感知器が火災の熱・炎・煙を検知 | 消防法施行規則第19条 |
| ②制御盤への信号 | 感知器の信号が受信機・制御盤に伝達。制御盤が起動信号を出力 | 同規則第19条第1項 |
| ③一斉開放弁の開放 | 制御盤からの信号で該当防護区画の一斉開放弁が開く(60秒以内または15秒以内) | 一斉開放弁省令第5条 |
| ④加圧送水装置の起動 | ポンプが自動起動し、泡消火薬剤混合水を配管に加圧送水 | 施行規則第19条 |
| ⑤フォームヘッドから放射 | 防護区画内の全フォームヘッドから泡を一斉放射。消火活動が始まる | 同上 |
試験では「フォームヘッドが作動したあと感知器が作動する」「ポンプが起動してから一斉開放弁が開く」といった順序を逆にした誤りの選択肢が出ます。5ステップの順番をしっかり覚えましょう。
感知器の種類と泡消火設備への適用
泡消火設備のトリガーとなる感知器は、防護区画の火災リスクに応じて選定します。甲2試験では「泡消火設備の防護区画に設置する感知器として適切でないものはどれか」という選択問題が出ることがあります。
- 差動式スポット型感知器:温度の急激な上昇(温度上昇率)を検知。一般的な区画に使用されます
- 定温式感知器:一定温度(60℃・75℃等)で作動。熱源のある場所・駐車場等で使用します
- 炎感知器(紫外線・赤外線式):光を検知。ガソリンや引火性液体が存在する危険物施設向けです。火炎が出た瞬間に素早く検知できるため、泡消火設備が設置される駐車場・ガレージに向いています
- 煙感知器:泡消火設備の防護区画(駐車場・危険物倉庫等)では一般的に使用しません。ガソリン蒸気や排気ガスで誤作動するリスクがあるためです
手動起動装置の役割と設置基準
自動起動が使えない状況や自動連動が遅れた場合のために、手動起動装置(起動押しボタン)の設置が消防法施行規則第19条第1項第5号で義務付けられています。
- 設置場所:防護区画ごとに、防護区画の外の操作しやすい位置・床面から1.5m以下の高さに設置
- 誤作動防止:誤って操作されないよう防護カバー(透明なカバー)を設けることが多い。試験ではこの誤作動防止措置が問われます
- 動作:押しボタンを押すと一斉開放弁が開き、ポンプが起動して泡を放射する。自動起動と同じ流れを手動で始める操作です
- 設置数:防護区画ごとに1か所以上。区画が複数ある場合は各区画に設置します
試験では「手動起動装置の設置高さは床面から何m以下か」「起動押しボタンの誤作動防止措置は何か」が問われます。高さ1.5m以下という数値は暗記してください。
非常電源の要件(30分以上)
泡消火設備の起動・制御に使う非常電源(非常電源専用受電設備または自家発電設備)は、消防法施行規則第19条第1項第7号により30分以上の容量が必要です。
- 根拠:消防法施行規則第19条第1項第7号「非常電源は30分以上の容量を有すること」
- 対象機器:制御盤・加圧送水装置(ポンプモーター)・一斉開放弁の電気制御部など、設備の起動・維持に必要な全機器が対象です
- 試験での注意点:「30分以上」という数値は頻出。スプリンクラー設備の非常電源(60分以上)と混同しないことが重要です。泡消火設備は30分・スプリンクラーは60分と覚えましょう
- 非常電源の種類:自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のいずれかが認められています
一斉開放弁の開放タイミングと作動時間
一斉開放弁は「一斉開放弁の技術上の規格を定める省令(昭和50年自治省令第19号)」で規格が定められています。起動方式によって開放時間の基準が異なります。
| 起動方式 | 開放時間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 加圧水式(加圧水で弁を開く方式) | 60秒以内に完全開放 | 一斉開放弁省令第5条 |
| 気体圧式(圧縮ガスで弁を開く方式) | 15秒以内に完全開放 | 一斉開放弁省令第5条 |
試験では「60秒以内か15秒以内か」は起動方式によって異なります。問題文に「気体圧式」「加圧水式」のどちらが書かれているかに注目してください。気体圧式の方が応答が速いという理屈で覚えると混乱しません。
閉鎖型スプリンクラー型との連動フローの違い
閉鎖型スプリンクラー型泡消火設備は、開放型とは連動フローが根本的に異なります。試験では「どちらの方式か」を見極めてから解くことが重要です。
- 開放型(フォームヘッド方式):感知器→制御盤→一斉開放弁→全ヘッド同時放射。一斉開放弁が必要です
- 閉鎖型(スプリンクラー型):ヘッドが熱で単独開放→ポンプ起動→そのヘッドだけ放射。一斉開放弁は不要です。感知器や制御盤との連動も不要で、ヘッド単体で起動します
「一斉開放弁が必要な方式はどちらか」という問いに対しては「開放型フォームヘッド方式」が正解です。閉鎖型には一斉開放弁はありません。
連動試験(総合点検)での確認事項
泡消火設備の総合点検(年1回以上)では、連動動作の確認が必須項目です。甲2の実技(鑑別問題)でも点検手順が出題されることがあります。
- 感知器の作動試験:試験器を使って感知器を作動させ、制御盤への信号伝達を確認します
- 一斉開放弁の開放確認:感知器信号から一斉開放弁の開放までの時間を計測し、基準時間(加圧水式60秒・気体圧式15秒)以内であることを確認します
- ポンプの起動確認:一斉開放弁開放後にポンプが自動起動するか・起動圧力が規定値以上かを確認します
- 泡の放射試験(3〜5年に1回):実際に泡を放射して泡の品質(発泡倍率・25%還元時間)・到達距離を確認します
甲2試験での出題パターン(連動・起動装置)
- 「開放型泡消火設備の自動起動フロー。次の順序のうち正しいものはどれか」→ 感知器→制御盤→一斉開放弁→ポンプ→フォームヘッド
- 「手動起動装置(起動押しボタン)の設置高さとして正しいものはどれか」→ 床面から1.5m以下
- 「泡消火設備の非常電源の容量として正しいものはどれか」→ 30分以上(60分以上と混同しない)
- 「加圧水式一斉開放弁の開放時間として正しいものはどれか」→ 60秒以内(気体圧式は15秒以内)
- 「閉鎖型スプリンクラー型泡消火設備に一斉開放弁は必要か」→ 不要(開放型フォームヘッド方式のみ必要)
連動フロー・起動装置に関するよくある疑問
- Q:感知器が誤作動した場合、泡が放射されてしまうのですか? A:感知器が誤作動しただけでは放射されません。一般的に「感知器が2回連続して作動(またはA・B2回路の作動)」した場合に一斉開放弁が開く連動方式(2信号制)が採用されています。誤放射の防止策として重要な仕組みです
- Q:停電時でも泡消火設備は作動しますか? A:非常電源(蓄電池設備または自家発電設備)が設置されているため、停電時でも30分以上の作動が可能です(消防法施行規則第19条第1項第7号)
- Q:一斉開放弁が開いた後、止める方法はありますか? A:制御盤の停止スイッチ(または手動閉止弁)で停止できます。火災でない場合(誤作動・訓練)はすぐに停止操作を行います。ただし停止操作は訓練・点検で確認しておくことが重要です
- Q:一斉開放弁は防護区画ごとに1個ですか? A:原則として防護区画ごとに1個の一斉開放弁が設置されます。複数の防護区画がある施設では、それぞれの区画に対応した一斉開放弁が設置されます
- Q:感知器と泡消火設備は別系統ですか? A:感知器(自動火災報知設備)と泡消火設備は設備として別ですが、連動して起動します。感知器からの信号を泡消火設備の制御盤(または受信機)が受け取り、一斉開放弁を開く指令を出します。甲2試験では「連動させる自動火災報知設備の感知器の種類」も出題されます
- Q:加圧送水装置はポンプ方式だけですか? A:消防法施行規則第19条では、ポンプ方式のほかに圧力水槽方式・高架水槽方式も認められています。ただし実際の泡消火設備ではポンプ方式が最も一般的です。試験では3つの方式の違いが問われることがあります
起動装置の設置基準まとめ(試験頻出ポイント)
| 項目 | 基準値・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 手動起動装置の設置高さ | 床面から1.5m以下 | 消防法施行規則第19条第1項第5号 |
| 非常電源の容量 | 30分以上 | 消防法施行規則第19条第1項第7号 |
| 一斉開放弁の開放時間(加圧水式) | 60秒以内 | 一斉開放弁省令第5条 |
| 一斉開放弁の開放時間(気体圧式) | 15秒以内 | 一斉開放弁省令第5条 |
泡消火設備の連動フローは甲2試験で繰り返し出題される核心テーマです。5ステップの順序・非常電源30分・一斉開放弁の開放時間(加圧水式60秒・気体圧式15秒)・手動起動装置の設置高さ(1.5m以下)という4点セットを確実に押さえておきましょう。問題演習で実際の問題形式に慣れることが合格への近道です。開放型と閉鎖型の起動方式の違いも同時に整理しておきましょう。
出典:消防法施行規則第19条・一斉開放弁の技術上の規格を定める省令(昭和50年自治省令第19号)(e-Gov)


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