居宅介護支援事業所が作成・保管する義務がある記録は、省令(平成11年厚生省令第38号)第29条に基づき各事業年度の終了後2年間の保管が必要です。記録の種類は多岐にわたり、ケアプラン・アセスメント記録・モニタリング記録・サービス担当者会議記録・苦情記録・事故記録・加算に関する書類などが含まれます。この記事では記録の種類と保管期間・保管方法のポイントを整理します。
保管期間:各事業年度の終了後2年間
省令第29条では「指定居宅介護支援事業者は、従業者・設備・備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない」として、具体的には「各事業年度の終了後2年間保存しなければならない」と規定されています。
省令では「各事業年度の終了後2年間」の保存が定められていますが、実務上は「その利用者への居宅介護支援サービスが終了した後、2年間」と解釈するのが一般的です。利用者が継続してサービスを利用している間は記録は保持し続け、サービス終了後に2年間の保管義務が発生します。
| 状況 | 保管開始のカウント |
|---|---|
| 利用者がサービスを終了した(他の事業所へ移行・施設入所・死亡等) | 終了日から2年間 |
| 事業所が廃止・休止した | 廃止・休止の日から2年間(廃止後も保管義務は継続) |
| 利用者が継続してサービスを利用している | 保管期間はカウントされない(記録は保持し続ける) |
保管が必要な主な記録の一覧
居宅介護支援事業所が保管する記録を種類別に整理します。
| 記録の種類 | 主な内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 居宅サービス計画(ケアプラン) | 第1表〜第7表(居宅介護支援経過記録を含む)。全バージョン(変更前のものも含む)を保管する | 省令第13条 |
| アセスメント記録 | 課題分析(アセスメント)の結果。法定の課題分析標準項目(23項目)に基づくもの | 省令第13条第7号 |
| モニタリング記録 | 月1回の居宅訪問・面接の記録。訪問日時・確認内容・目標達成状況 | 省令第13条第14号 |
| サービス担当者会議の記録 | 開催日・参加者・検討内容・結論。照会の場合は照会した日時・先・内容 | 省令第13条第9号 |
| 重要事項説明書・同意書 | サービス開始時の説明・利用者の署名。変更があれば変更後の書類も保管 | 省令第4条 |
| 苦情受付・対応記録 | 苦情の内容・対応経緯・結果。市区町村・国保連への報告書類 | 省令第26条 |
| 事故記録 | 事故の内容・状況・初期対応・市区町村への報告書・再発防止策 | 省令第35条 |
| 給付管理票・介護給付費請求書 | 毎月の給付管理票・国保連への請求書類 | 省令第29条 |
| 処遇改善加算に関する書類 | 加算の算定要件・賃金改善計画・実績報告(令和8年6月から居宅介護支援に新設) | 省令別表・加算告示 |
| 特定事業者集中割合の届出 | 集中割合が80%超となった場合の届出・利用者への説明記録 | 省令・解釈通知 |
保管方法:紙・電子データいずれも可
記録の保管は紙(印刷・ファイリング)と電子データ(ケアプランソフト・電子ファイル)のいずれでも認められています。電子データで保管する場合は、以下の要件を満たすことが求められます。
- 見読性の確保:記録内容をいつでも閲覧・印刷できる状態を保つ
- 真正性の確保:記録の内容が作成後に改変されていないことを担保できる管理体制
- 保存性の確保:記録が保管期間中に消失・破損しないよう、バックアップ等を行う
ケアプランソフト(介護ソフトウェア)を利用している場合、ソフト上でのデータ保管に加えて、外部ストレージへのバックアップを定期的に行うことが安全です。
紙記録の保管場所
紙の記録は、鍵のかかるキャビネット・書庫に保管します。利用者の個人情報を含む記録は、閲覧できる者を制限し、施錠管理することが個人情報保護の観点からも必要です。廃止後も2年間の保管が必要な場合は、記録の保管先(倉庫委託・別室での保管等)を廃止前に確保してください。
実地指導で記録の保管が確認されるポイント
実地指導では、指定された期間内の記録が揃っているか・記録の内容が省令の要件を満たしているかが確認されます。
| 指摘パターン | 対応策 |
|---|---|
| モニタリング記録がない月がある | 特段の事情(入院中等)がある場合も理由を記録する。「特段の事情なし」の月は必ず記録を作成する |
| アセスメント記録が法定様式(23項目)に対応していない | 法定の課題分析標準項目(23項目)を網羅した様式を使用する |
| ケアプランの第6表(サービス利用票)の写しがない | 毎月の給付管理票・第6表の写しを利用者ごとにファイリングする |
| 重要事項説明書の同意書に署名がない | 利用開始時に必ず署名を得る。電磁的方法の場合は同意取得の記録を残す |
| 苦情記録・事故記録がない | 苦情・事故が「ない」場合も様式を整備し、「なし」の記録を年1回程度確認する |
記録の廃棄:保管期間終了後の対応
保管期間(2年間)が終了した記録は廃棄できますが、個人情報を含む書類・電子データは適切な方法で廃棄する必要があります。
- 紙の記録:シュレッダー・専門業者による溶解処理
- 電子データ:記録媒体の物理的な破壊・専門ソフトによる消去
居宅介護支援事業所の開業から3年間の収支変化の試算は、居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)収支シミュレーターで確認できます。
参考・出典
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条・第26条・第29条・第35条
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年老企第22号通知)
この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。詳細は事業所所在地の市区町村に確認してください。
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