飲食店の立地選びで最初に確認すべき数字は、商圏の昼間人口・通行量・競合店密度・賃料坪単価・ターゲット客層の5つです。これらを確認せずに「雰囲気がいい」「家賃が安い」だけで物件を決めると、開業後に客数が確保できずに資金難に陥るリスクがあります。公庫の記入例(洋風居酒屋・25席)では月次客数1,625人(25席×2.5回転×26日)が損益分岐点の前提です。この客数が確保できる立地かどうかを、物件契約前に数字で検証することが重要です。
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立地確認① 昼間人口・通行量
飲食店の売上は「そこに来る人がいるか」に直結します。住宅街に夜の居酒屋を出しても昼間人口が少なく帰宅ルートが通らなければ集客は難しいです。
昼間人口・通行量の確認方法:
| 確認方法 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 国勢調査・住民基本台帳の公開データ | 市区町村・町丁目単位の昼間人口・夜間人口。国勢調査のデータは総務省が公開 | 無料 |
| 現地での通行量カウント | 開業予定の物件前で、ターゲット時間帯(昼・夜)に15〜30分間通行人数を数える。曜日・天候別に複数回実施 | 無料(時間は必要) |
| Googleマップ(混雑する時間帯) | 近隣の飲食店の「混雑する時間帯」グラフで、エリアの需要ピーク時間帯を把握できる | 無料 |
居酒屋・ダイニング系では夜のターゲット時間帯(18〜22時)の人の流れを確認します。ランチ主体の業態では昼間(11時30分〜13時)の通行量・周辺の勤務者数がポイントになります。
立地確認② 競合店密度
同業態の競合店が多いエリアは、すでに需要が実証されている一方で、パイを奪い合う関係になります。競合店が少なすぎるエリアは需要自体がない可能性があります。
競合店の調べ方:Googleマップで「居酒屋」「カフェ」等のキーワードで物件周辺を検索します。半径500m・1km圏内の同業態の店舗数と、各店舗のクチコミ数(人気・集客力の目安)を確認します。
| 競合の状況 | 意味 | 立地としての特性 |
|---|---|---|
| 半径500mに同業態が10店舗以上 | 飲食需要が高いエリア | 差別化が必要。同質の業態では苦戦しやすい |
| 半径500mに同業態が3〜5店舗 | 適度な需要あり | 差別化ポイントを明確にすれば選ばれる可能性がある |
| 半径500mにほぼ競合なし | 需要の実証がない | 先行者メリットの可能性がある一方で、需要自体がない可能性も。慎重に判断 |
立地確認③ 賃料坪単価と売上の関係
飲食店の「家賃比率は月商の10%以内」という目安がありますが、より正確には「払える家賃 = 月商 × 限界利益率 − 家賃以外の固定費 − 目標利益」で逆算します。
公庫の記入例(限界利益率65%・家賃以外の固定費140万円・目標利益20万円)で試算すると:
払える家賃の上限 = 月商 × 65% − 140万円 − 20万円
| 月商の水準 | 払える家賃の上限 | 記入例(家賃20万円)との比較 |
|---|---|---|
| 200万円 | −30万円(赤字) | 月商200万円では家賃20万円でも赤字 |
| 248万円(損益分岐点) | 約1.2万円(ほぼゼロ) | 損益分岐点ちょうどでは家賃をほぼ払えない |
| 322万円(記入例・軌道後) | 約49万円 | 記入例の家賃20万円はかなり余裕がある水準 |
| 400万円 | 約100万円 | 高単価・高回転の業態では賃料の高い立地も可能 |
立地を選ぶ際は「この家賃を払っても利益が出るか」を先に計算します。賃料坪単価の高い一等地では集客力は高いですが、月商が計画を下回ると家賃の重さが致命的になります。
家賃と月商の関係の詳細は、飲食店の家賃は、売上の何%まで払えるかで確認できます。
立地確認④ ターゲット客層との一致
業態とターゲット客層が、立地のエリアの来客者層と合っているかを確認します。
| 業態 | 向いている立地 | 向かない立地 |
|---|---|---|
| 居酒屋・ダイニングバー | 駅近・オフィス街・繁華街。帰宅ルート上 | 住宅街の奥・駐車場のない郊外ロードサイド |
| ランチ主体のカフェ・定食 | オフィスビルが多いエリア・大学・病院の近く | 住宅街で昼間人口が少ないエリア |
| ファミリーレストラン系 | 郊外ロードサイド・駐車場あり・住宅密集地 | 駅ナカ・ビジネス街 |
| 高単価コース料理 | 繁華街・駅近・接待需要のある商業地 | 学生街・ファミリーエリア |
立地確認⑤ 物件の「見えない条件」の確認
賃料・通行量だけでなく、物件固有の条件も確認が必要です。
| 確認事項 | 内容 | 問題があった場合のリスク |
|---|---|---|
| 用途地域 | 商業地域・近隣商業地域か確認。住居系用途地域では深夜営業が禁止になることがある | 深夜営業ができない。開業後に発覚すると営業時間を変更せざるを得ない |
| 排気・換気の可否 | 厨房の排気ダクトを外壁・屋上に出せるか。ビルの管理規約で制限がある場合がある | 換気設備の増設が困難で、調理メニューが制限される |
| 電気容量 | 厨房設備に必要な電力量が確保できるか(60A以上推奨) | 電気容量が不足すると増設工事が必要で数十〜百万円の追加費用が発生 |
| ガスの引き込み | プロパンか都市ガスか。都市ガスの引き込みの可否 | プロパンはランニングコストが都市ガスより高い |
| 水道・排水の容量 | 厨房規模に見合う水道・排水の容量があるか | 排水管の増設が必要になる場合がある |
これらの条件は、物件の内見時と保健所への事前相談(無料)の場で確認できます。契約前に内装業者に現地確認を依頼すると、工事可能かどうかの判断をもらえます。
物件が確定したら、開業資金・内装工事費・収支計画を飲食店の開業 収支シミュレーターで試算することをおすすめします。
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本記事の内容は公庫の創業計画書記入例(洋風居酒屋・2025年4月版)および国土交通省・総務省の公開情報をもとにしています。立地の適否は業態・ターゲット・競合状況によって異なります。物件契約前に所轄の保健所・消防署・警察署に手続きの確認を行ってください。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。


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