就労移行支援を利用できるのは、就労を希望しながらも単独では就労が困難な方です。年齢は原則65歳未満ですが、65歳前から継続してサービスを利用していた方は65歳以降も利用できます。障害者手帳の種類は問わず、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病に対応しています。生活介護とは異なり、障害支援区分の認定は不要です。利用期間は原則2年間です。
出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号)別表第12の注1、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第6条の8
就労移行支援の対象者は、告示の注1に定義されている。
就労移行支援を利用できる方の定義は、告示523の第12の1の注1に定められています。その内容を要約すると次のとおりです。
「就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得、就労先の紹介その他の支援が必要な65歳未満の者(または65歳以上の者であって特例に該当する者)、あるいは通常の事業所に雇用されている者であって、労働時間の延長または休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とするものに対して算定する。」
ここから、対象者の要件は「就労を希望していること」「単独では就労が困難であること」「年齢が原則65歳未満であること」の3点にまとめられます。
就労を希望していること。意欲が前提。
就労移行支援は、利用者本人が一般就労を希望していることが利用の前提です。就労に向けた支援を受ける意欲がなければ、サービスを開始したとしても個別支援計画に「就労に向けた目標」を記載することができません。
利用申請の段階では、市区町村の障害福祉窓口でサービス等利用計画の作成を行い、相談支援専門員とともに就労移行支援が適切かどうかを確認します。利用者本人の希望を確認した上で、支給決定が行われます。
なお、就労を希望する気持ちがあっても、現時点では就労移行支援よりも生活訓練や就労継続支援B型のほうが適している場合は、相談支援専門員がその選択肢を提案します。就労移行支援の担当者も、利用者の状態を見て適切なサービスへつなぐことが省令(省令171第180条第2項)で義務として定められています。
単独では就労が困難であること。「困難」の判断は幅広い。
「単独で就労することが困難」とは、自分一人でハローワークへ行って求職登録し、就職活動を行い、採用されて継続就労するという一連の過程を、支援なしに進めることが難しいことを指します。
困難の理由には、障害特性(コミュニケーション・遂行機能・体力・精神的安定性など)が一般就労の場面で課題になること、就職活動の経験が少ないこと、職場での合理的配慮の交渉に不安があること、など様々な要因があります。
「困難かどうか」の判断は、相談支援専門員・市区町村・事業所の三者が利用者の状況を踏まえて行います。手帳の等級や障害支援区分の数値だけで機械的に決まるわけではなく、利用者の日常生活の状況・就労経験・本人の意思を総合的に見ます。
年齢は原則65歳未満。ただし65歳以降も継続できる特例がある。
就労移行支援は65歳未満の方を対象とするサービスです。告示523の注1には「65歳未満の者」と明記されています。
ただし、65歳に達する前から継続してサービスを利用していた方については、65歳以降も引き続き利用できます。具体的には「65歳に達する前5年間(やむを得ない事情で利用できなかった期間を除く)引き続き障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたもので、65歳に達する前日において就労移行支援に係る支給決定を受けていた者」が対象です。
65歳を超えてから新たに就労移行支援の利用を希望する場合は、原則として対象外となります。65歳前に申請・支給決定を受けておくことが重要です。
障害の種別と手帳の有無。手帳がなくても利用できる。
就労移行支援は特定の手帳の種類を要件としていません。支給決定を受けることができれば、次のいずれかに該当する方が利用できます。
- 身体障害者手帳の交付を受けた方(身体障害)
- 療育手帳(都道府県によって名称が異なります)の交付を受けた方(知的障害)
- 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた方(精神障害・発達障害を含む)
- 自立支援医療(精神通院)の受給者証を持つ方
- 指定難病(障害者総合支援法第4条第1項に規定する難病等)の方
「手帳がないと利用できない」という誤解がありますが、発達障害や難病など手帳がない状態でも、医師の診断書をもとに市区町村に支給申請し、支給決定を受けることで利用が可能です。
ただし、支給決定を行うかどうかは市区町村が判断します。診断書の内容・日常生活の状況・本人の意思などを確認した上で決定されます。
障害支援区分の認定は不要。就労移行支援は訓練等給付費。
就労移行支援は「訓練等給付費」に分類されるサービスです。同じ障害福祉サービスでも、生活介護・短期入所・施設入所支援などの「介護給付費」は障害支援区分の認定が必要ですが、就労移行支援には区分認定は不要です。
就労継続支援A型・B型・就労定着支援・自立生活援助・共同生活援助なども、就労移行支援と同様に区分認定は不要です。
区分認定が不要なため、手続きは「申請→サービス等利用計画の作成→支給決定→契約・利用開始」という流れになります。申請から利用開始まで数週間〜2か月程度かかる場合があります。
利用期間は原則2年。特例で延長できる場合がある。
就労移行支援の標準利用期間は2年間です(施行規則第6条の8)。2年間で就職を目指すというスケジュールが前提になっています。
標準利用期間を超えて継続利用することは、市区町村が必要と認めた場合に限り可能です。延長が認められる期間については市区町村が判断します。あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の資格取得が目的の場合、標準利用期間は施行規則第6条の8のただし書きにより3年または5年に延長されます。
延長が認められるには、「就労の見込みがあること」「延長が就労に向けて必要であること」という理由が必要です。2年間の利用で就職先が決まらなかった場合、延長が必ず認められるわけではありません。残りの利用期間を無駄にしないよう、利用開始から早い段階で就職活動を進めることが大切です。
在職中の方も利用できる場合がある。復職・労働時間延長の支援。
就労移行支援は求職者だけが使うサービスではありません。告示523の注1には、「通常の事業所に雇用されている者であって、労働時間の延長若しくは休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とするもの」も対象と定められています。
休職中の方が復職に向けて就労移行支援を一時的に利用する、あるいはパートタイムから正規雇用・フルタイムへの移行に向けて支援を受けるといった使い方が想定されています。ただし、「一時的に必要とするもの」という条件があるため、長期にわたる利用は想定されていません。
あん摩・はり・きゅうの資格取得が目的の場合は就労移行支援(Ⅱ)。
告示523の第12の1のロには、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の免許を取得することで就労を希望する方を対象とした「就労移行支援サービス費(Ⅱ)」が設けられています。
この区分は、盲学校など専門の養成施設での学習を就労移行支援として位置づけるもので、通常の就労移行支援とは別の報酬体系になっています。利用期間も3年または5年と長くなります。
利用を希望する方が申請する窓口と手続きの流れ。
就労移行支援の利用を希望する場合、申請先は居住する市区町村の障害福祉担当窓口です。手続きの概要は次のとおりです。
- 市区町村の窓口で利用申請を行う(診断書・手帳などを持参)
- 相談支援専門員がサービス等利用計画案を作成する(または本人がセルフプランを作成)
- 市区町村が支給決定を行う(支給決定通知書・受給者証が交付される)
- 利用する事業所と契約を結び、サービスを開始する
就労移行支援事業所への見学・体験利用(試し通い)を支給決定前に行うことも多く、事業所によっては複数回の体験を受け入れています。
事業所を選ぶ際は、対応している障害種別・訓練内容・就職実績・職場定着支援の体制を確認することが大切です。
→ 就労移行支援 開業向け収支シミュレーターは、就労移行支援の開業を検討している方向けのツールです。利用者として就労移行支援の仕組みを詳しく知りたい方は、お住まいの市区町村の相談窓口または相談支援事業所にご相談ください。

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