就労移行支援のBCP、就職活動と企業実習を止めないための事業継続計画。

就労移行支援のBCP、就職活動と企業実習を止めないための事業継続計画。 就労移行支援





就労移行支援のBCP、就職活動と企業実習を止めないための事業継続計画。

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就労移行支援のBCP(業務継続計画)は、感染症と自然災害の発生時にサービスを継続するための計画です。策定・研修・訓練の実施が義務とされています。

就労移行支援のBCPには、他の障害福祉サービスと異なる固有の課題があります。利用者が「就職する」という期限のある目標に向けて動いているため、サービスが止まると就職活動の進捗、企業実習のスケジュール、求職者登録の更新など、時間的に巻き戻しにくいプロセスが影響を受けます。この記事では、就労移行支援のBCPが扱うべき内容を整理します。

BCP義務化の根拠

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)では、就労移行支援に第184条で準用される第33条の2において次が義務とされています。

  • 感染症および非常災害の発生時においてサービスの提供を継続するためのBCPを策定すること
  • BCPに従い必要な措置を講じること
  • 従業者への周知・定期的な研修の実施
  • 定期的な訓練の実施
  • BCPの定期的な見直し

BCPは「感染症BCP」と「非常災害(自然災害)BCP」の2種類を策定します。

就労移行支援のBCPが持つ固有の課題

就職活動のスケジュールが止まる

就労移行支援の利用者は、求職活動・書類選考・面接という一連のスケジュールを進めています。感染症の集団発生や大規模災害でサービスが停止すると、ハローワークでの求職登録の更新、書類作成の支援、面接練習といったプロセスが中断します。

就職活動が進んでいた利用者が、サービス停止によって求職意欲を落としたり、採用機会を逃したりするリスクを踏まえ、BCPには「就職活動中の利用者への代替支援の方法(電話・オンライン面談等)」を含めることが実務上重要です。

企業実習先・受入企業への影響

就労移行支援では、企業での職場体験(職場実習)を組み込んでいるケースが多くあります。感染症や自然災害で急に実習を中止・延期しなければならない場合、受入企業への連絡と調整が必要です。BCPには「実習先企業の連絡先一覧・実習中断の連絡手順・再調整の方法」を盛り込んでおくと現場が動きやすくなります。

利用期間の上限と支援継続の問題

就労移行支援の標準利用期間は2年(最大3年)です。サービスが長期停止した場合、利用期間が消費される一方で就職活動が進まないという問題が生じます。BCPでは「停止期間中の利用者の状況把握と、再開後の支援計画の迅速な見直し」についても方針を定めておきます。

感染症BCPの内容

感染症BCPには次の内容を含めます。

  • 感染疑いの利用者・職員が出た場合の初期対応(帰宅指示・医療機関への誘導・保健所への報告)
  • 事業所内の消毒・換気の方法と頻度
  • 感染者が複数出た場合の規模縮小・休業の判断基準
  • 休業中の利用者への連絡頻度と方法(電話・オンラインツールの使用方針)
  • 就職活動中の利用者への代替支援の方法(オンライン面談・書類の郵送対応等)
  • 企業実習先への連絡と実習中断の手順

非常災害BCPの内容

非常災害(自然災害)BCPには次の内容を含めます。

  • 事業所のハザードマップ確認(洪水・土砂・地震)と避難場所の設定
  • 利用者が在所中に大地震が発生した場合の初期対応(安全確保・保護者または本人への連絡・帰宅の手順)
  • 送迎を行っている場合の車両での対応(車中での災害時の行動基準)
  • 建物・設備の損傷で使用不能になった場合の代替拠点の検討
  • 就職活動書類・個別支援計画等の重要書類・データのバックアップ保存と復旧手順

研修で職員が把握すること

BCP研修では、BCPの内容を全職員が把握していることを目的とします。研修で確認する主な内容は次のとおりです。

  • 感染症発生時・自然災害発生時の自分の役割と行動手順
  • 緊急連絡先の確認(利用者本人・家族・実習先企業・ハローワーク・保健所・指定権者等)
  • 利用者の安否確認の方法と自分が担当する連絡先のリスト
  • 休業の判断基準と報告の手順
  • 就職活動中の利用者への対応方針の確認

研修・訓練の回数

BCP研修・訓練は、それぞれ年1回以上の実施が義務です。新規採用時は、別途BCPに関する研修を行うことが望ましいとされています(解釈通知 第三の3の(23))。実施した研修・訓練は記録に残します。

非常災害の避難訓練(第70条)は定期的な実施が義務で、BCPの訓練(第33条の2)とは別カウントです。BCPの訓練と避難訓練を同じ機会にまとめて実施することは可能ですが、記録はそれぞれ目的と内容を分けて残します。

訓練の内容

訓練は、実際に機能するかどうかを確認するための内容を設定します。

  • 感染症対応訓練:「利用者1名が体調不良で感染疑いとなった」というシナリオで、帰宅対応・消毒・実習先企業への連絡・他の利用者への周知の手順を確認する
  • 安否確認訓練:「大地震が発生した」想定で、全利用者への一斉連絡を実際に行ってみる。何分で連絡できたか・繋がらなかった場合の次の手順を確認する
  • 避難訓練:年2回以上実施が求められる避難訓練と合わせて実施する

BCPの見直し

BCPは定期的な見直しが義務です。職員の入れ替わり・利用者の変化・実習先企業の変更・ハザードマップの改訂に合わせてBCPを更新します。訓練で見つかった課題も見直しの内容に反映します。

まとめ

就労移行支援のBCPは、感染症と自然災害の2種類を策定します。研修・訓練はそれぞれ年1回以上が義務で、実施した内容を記録に残します。就労移行支援固有の課題(就職活動の中断・企業実習先への対応・利用期間の上限)を意識した内容をBCPに盛り込むことで、いざというときに動ける体制をつくることができます。

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出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第33条の2(第184条で準用)・解釈通知(障発第1206001号)第三の3の(23)・厚生労働省「障害福祉サービス事業所等における業務継続ガイドライン」(令和3年度)。記録の保存期間の詳細は指定権者の案内で確認してください。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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