訪問看護の特別管理加算。対象者の条件と月収入への影響を整理する。

特別管理加算は、医療処置が継続的に必要な利用者に月1回算定できる加算です。介護保険ではIが500単位(その他地域で5,000円)、IIが250単位(同2,500円)の2種類、医療保険では5,000円または2,500円です。受け入れる利用者の医療依存度によって月の収入が変わり、看護体制強化加算の実績要件とも連動します。

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特別管理加算は月1回・利用者ごとに算定する

特別管理加算は、特別な管理を必要とする利用者への訪問看護に対して、1か月に1回算定できる加算です。介護保険ではIとIIの2種類があり、医療保険では重症度に応じて2段階の金額が定められています(令和6年告示第86号・令和8年告示第74号)。

加算は利用者単位で算定します。10人の利用者を受け入れれば、それぞれに加算が発生します。

介護保険の特別管理加算の金額(地域区分別)

介護保険の特別管理加算は、重症度によりIとIIに分かれます。

区分 単位数 その他(10.00円) 1級地(11.40円)
特別管理加算I 500単位 5,000円 5,700円
特別管理加算II 250単位 2,500円 2,850円

出典: 令和6年告示第86号

特別管理加算Iの主な対象者

特別管理加算Iは、高度な医療処置が継続的に必要な利用者が対象です。主な例として次のようなケースが含まれます(正確な要件はすべて告示でご確認ください)。

  • 真皮を越える褥瘡のある利用者
  • 気管カニューレを使用している利用者
  • 留置カテーテルを使用している利用者
  • 人工肛門・人工膀胱を造設している利用者
  • ドレーン管理が必要な利用者

正確な全要件・算定条件は、令和6年告示第86号および厚生労働省の関連通知でご確認ください。

特別管理加算IIの主な対象者

特別管理加算IIは、医師の指示による点滴注射など、IIに分類される医療処置が必要な利用者が主な対象です(正確な要件は告示でご確認ください)。

医療保険の特別管理加算の金額

医療保険の場合は単位数ではなく金額で直接定められており、地域区分の影響を受けません(令和8年告示第74号)。

区分 金額(月1回)
重症度の高い特別管理が必要な利用者 5,000円
その他の特別管理が必要な利用者 2,500円

1利用者あたりの月収入差(試算)

介護保険・30〜60分訪問・月4回・その他地域(1単位10.00円)の利用者に対して、特別管理加算の有無で月収入がどう変わるかを試算します。

パターン 月収入の計算 月収入(円)
加算なし 823単位 × 4回 × 10.00円 32,920
特別管理加算II(+250単位) 32,920 + 2,500 35,420
特別管理加算I(+500単位) 32,920 + 5,000 37,920

1人あたりで月2,500〜5,000円の差が生まれます。

10人受け入れた場合の月収入差

特別管理加算の対象者を10人担当した場合の月収入への影響は次のようになります。

加算の種類 1人あたり 10人合計(月)
特別管理加算II全員 +2,500円 +25,000円
特別管理加算I全員 +5,000円 +50,000円

受け入れる利用者の医療依存度が収入規模に直接影響します。全国平均の月収入が3,476千円(令和7年度介護事業経営概況調査・令和6年度決算・介護保険のみ・有効254事業所)であることを考えると、50,000円の差は無視できない規模です。

看護体制強化加算との連動

看護体制強化加算(介護保険)の算定要件の一つに、前6か月の利用者のうち特別管理加算を算定した割合が20%以上という条件があります(厚生労働省告示第95号・指定居宅サービス等に係る施設基準)。

特別管理加算の対象者を継続的に受け入れていると、この要件を自然に満たしやすくなります。看護体制強化加算I(550単位/月・その他地域で5,500円)またはII(200単位/月・同2,000円)を算定できるようになれば、さらに収入が上乗せされます。

特別管理加算は「1人あたりの加算収入」と「看護体制強化加算への道」の両方に関わる加算です。

開業初期は特別管理加算IIから積み上げる

開業直後は高度な医療処置に対応できる体制が整っていないこともあります。まず特別管理加算IIの対象者(点滴注射など)から受け入れ、体制と経験を積んでからIの対象者へ広げていくという段階的な進め方が現実的です。

医療依存度が高い利用者への対応は看護師の専門性も問われますが、収入面での貢献度が高いことは数値が示す通りです。

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参照した資料
厚生労働省告示第86号(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準・令和6年改定)。厚生労働省告示第74号(訪問看護療養費・令和8年6月1日施行)。厚生労働省告示第95号(指定居宅サービス等に係る施設基準)。令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算・介護保険のみ・有効254事業所)。数値は令和8年10月時点。特別管理加算の算定対象の詳細は告示・通知でご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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