訪問介護の身体介護と生活援助の違い。単価と使い分けの基本。

介護

訪問介護の介護報酬は、提供するサービスの種類(身体介護・生活援助・通院等乗降介助)と時間によって異なります。同じ1回の訪問でも、身体介護と生活援助では単価が異なり、組み合わせることもできます。

開業時の収支計画では、訪問の種類と時間の構成が収入に直結します。この記事では、身体介護と生活援助の違い・それぞれの単価・組み合わせのルールを整理します。

身体介護は利用者の身体に触れるケア、生活援助は家事援助が中心

身体介護と生活援助の違いは、「利用者の身体に触れるかどうか」だけではなく、「利用者の生活能力の維持・向上に直接働きかけるかどうか」で区別されます。

区分 主なサービス内容
身体介護 入浴介助・排泄介助・食事介助・移動・移乗介助・体位変換・清拭・整容・服薬介助(口に入れる等)・外出介助など、利用者の身体に直接関わるケア
生活援助 掃除・洗濯・調理・買い物・薬の受け取りなど、利用者の日常生活を支援する家事的サービス。利用者が自分でできる場合や、同居家族が行える場合は原則算定できない
通院等乗降介助 通院・外出時の乗り降り介助(介護タクシー等との組み合わせ)

令和6年度の基本報酬単価(単位数)

訪問介護の基本報酬は時間区分ごとに定められています。単位数に地域区分の単価(1単位あたりの金額)を掛けたものが報酬額になります(令和6年厚生労働省告示第86号)。

サービス種別 時間区分 単位数
身体介護 20分未満 163単位
20分以上30分未満 244単位
30分以上1時間未満 387単位
1時間以上1時間30分未満 567単位
1時間30分以上(以降30分ごとに加算) 649単位+82単位
生活援助 20分以上45分未満 179単位
45分以上 220単位
通院等乗降介助 — 97単位

地域区分の単価は、1級地(東京23区など)11.40円〜その他地域10.00円です。1単位10円の地域では、例えば身体介護30〜60分は1回3,870円が基本報酬(利用者負担は1割)になります。

「20分未満の身体介護」は一般的な事業所では算定が難しい

20分未満の身体介護(163単位)は算定に要件があります。指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(老企第25号)に基づき、週5日以上の頻回の訪問・定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所との一体運営(または連携)などの要件が課されています。一般的な単独の訪問介護事業所では算定できない場合が多いため、収支計画には含めないのが安全です。

身体介護と生活援助の組み合わせ(身体1+生活)

1回の訪問で身体介護を行った後に生活援助を続けて行う場合は、「身体介護に引き続き生活援助を行う場合」の算定方法(身体1+生活)が適用できます。

サービス種別 単位数
身体介護1(20〜30分)+生活援助(25分) 309単位

身体介護と生活援助を別の訪問として算定するより効率的な場合があります。ただし身体介護の要件を満たしていることが前提です。

生活援助は「同居家族がいる場合は原則算定できない」

生活援助は、利用者が一人暮らしか、同居する家族が障害・疾病などで家事ができない場合に限り算定できるのが原則です(平成30年度改定で、生活援助の回数が多い場合はケアプランへの検証が求められるようになりました)。同居家族がいる場合は生活援助を算定できないか、算定回数に制限がかかる場合があるため、利用者の状況確認とケアマネとの連携が重要です。

収支計画でどう使うか:訪問1回あたりの単価を決める

開業時の収支試算では、「1回の訪問の平均単価」を設定することが重要です。全国平均では、1回の訪問で3,855円の収入(令和7年度介護事業経営概況調査・令和6年度決算)があります。

訪問の種類・時間構成を想定して、1回あたりの平均単価を試算してみます。例えば、身体介護30〜60分(387単位)が主体の場合、その他地域(10.00円)で3,870円が基本報酬です。夜間・早朝加算や特定事業所加算を取得すれば単価が上がります。

訪問介護 開業向け収支シミュレーター(https://fufumumu-design.com/houmon-kaigo-keikaku/)では、地域区分・訪問の時間帯・加算の取得状況を入力して、月次の収入・費用・収支差を36か月分試算できます。Pro版(9,800円買い切り)では感度分析(訪問単価や利用者数が変わったときの影響)も確認できます。

あわせて読みたい:訪問介護の開業資金はいくら必要か。

あわせて読みたい:訪問介護の特定事業所加算とは。要件をわかりやすく整理します。

この記事で確認した根拠

  • 指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造(令和6年厚生労働省告示第86号)
  • 指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(老企第25号)
  • 厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査」(令和6年度決算・訪問介護)

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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