「訪問介護」は介護保険法に基づくサービスで要介護者が対象、「居宅介護」は障害者総合支援法に基づくサービスで障害者が対象です。名前が似ているため混同されやすいですが、根拠法・対象者・保険者がすべて異なります。開業を検討する事業者が押さえておくべき違いを整理します。
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訪問介護と居宅介護:制度の根本的な違い
2つのサービスの基本的な違いを対比します。
| 項目 | 訪問介護 | 居宅介護 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 介護保険法 | 障害者総合支援法 |
| 対象者 | 要介護1〜5の高齢者(一部要支援も含む) | 障害支援区分1以上の身体障害者・知的障害者・精神障害者・難病患者等 |
| 保険者・給付元 | 市町村(介護保険) | 市町村(自立支援給付) |
| 指定権者 | 都道府県(地域密着型は市町村) | 都道府県(地域密着型は市町村) |
| 利用計画を作る者 | 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 相談支援専門員(または本人によるセルフプラン) |
| サービス内容 | 身体介護・生活援助・通院等乗降介助 | 身体介護・家事援助・通院等介助・行動援護等 |
| 報酬の根拠 | 介護報酬(厚生労働大臣告示) | 障害福祉サービス等報酬(厚生労働大臣告示) |
なぜ混同されやすいのか
混同される理由は主に3つあります。
- 名前が似ている: 「訪問介護」「居宅介護」は漢字2文字が重なる
- サービス内容が重なる: どちらも自宅での身体介護・家事援助が含まれる
- 従業者資格が共通する場合がある: 介護福祉士・実務者研修修了者等が両方で働ける
行政や業界団体の資料でも「訪問系サービス」としてまとめて記載される場合があり、個別の制度を調べる際は根拠法を確認することが重要です。
訪問介護の指定を持っていれば居宅介護も取れるか
2018年(平成30年)4月から「共生型サービス」の仕組みが始まりました。これにより、訪問介護の指定を受けている事業所は、通常より簡略化された手続きで共生型居宅介護の指定を受けられる場合があります。
共生型サービスの仕組みの概要です。
- 訪問介護(介護保険)の指定を持つ事業所は、共生型居宅介護(障害福祉)の指定を申請できる
- 居宅介護の指定基準の一部について、訪問介護の指定基準を満たしていることで代替できる特例がある
- 同様に、居宅介護(障害福祉)の指定を持つ事業所は、共生型訪問介護(介護保険)の指定を申請できる
詳細な指定要件・申請手続きは都道府県の指定担当課でご確認ください。共生型サービスの基準は都道府県によって異なる場合があります。
両制度に対応するメリットとデメリット
訪問介護と居宅介護の両方の指定を取得して運営する場合の実務上の特徴です。
メリット
- 高齢になって要介護認定を受けた障害者が、同じ事業所のサービスを継続して使える
- 利用者の状態が変化した場合でも対応できる(障害が重くなって介護保険に移行する場合など)
- 地域内での障害福祉・介護の両方の需要に応えられる
デメリット
- 請求システムが異なる: 介護報酬(国保連経由)と障害福祉サービス等報酬(国保連経由だが別請求)
- 加算・減算の体系が異なるため、スタッフへの教育コストが増える
- 指定の更新・変更届出の管理先が2制度にまたがる
開業時にどちらを選ぶか
どちらを選ぶかは、地域の需要と自身の経験・人脈によります。
- 高齢者の多い地域・ケアマネとのつながりがある場合: 訪問介護(介護保険)から始める
- 障害福祉の支援経験がある・相談支援専門員とのつながりがある場合: 居宅介護(障害福祉)から始める
- 両方の需要がある地域: 共生型サービスとして両方取得する選択肢もある
開業当初は1つの制度に集中して体制を整え、運営が軌道に乗ってからもう1つを追加する流れが一般的です。
なおこの記事は制度の概要の紹介です。指定要件・算定基準・共生型サービスの詳細は都道府県の指定担当課・厚生労働省の告示・通知でご確認ください。
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参照した資料
介護保険法(平成9年法律第123号)。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)(平成24年法律第51号)。共生型サービスに関する省令(平成30年)。数値は令和8年10月時点。


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