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グループホーム(日中サービス支援型)の入居率は、収支差率に直結する指標です。福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)から、GH日中型の入居率の参考値と収益への影響を整理しました。
日中サービス支援型とは
グループホームには「介護サービス包括型(包括型)」と「日中サービス支援型(日中型)」の2種類があります。
日中サービス支援型は、日中(昼間)も事業所内でサービスを提供する形態です。行動障害等により日中も手厚い支援が必要な利用者を対象に、夜間支援に加えて日中支援も同じ事業所で行います。
包括型は利用者が外出・他の事業所のサービスを利用している間の居場所を提供し、帰宅後の夜間支援が中心です。日中型は日中の支援員が追加で必要なため、収入は高いですが人件費も高くなります。
WAMの入居率参考値は86.0%
福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)では、GH日中型の入居率参考値は86.0%です。包括型(85.7%)とほぼ同水準です。
| 指標 | GH包括型 | GH日中型 |
|---|---|---|
| WAM入居率参考値 | 85.7% | 86.0% |
| 平均定員(R6) | 16人 | 15人 |
| 平均年収入(R6) | 3,990万円 | 5,803万円 |
| 収支差率(平均R6) | 6.9% | 5.1% |
| 収支差率(中央値R6) | 5.3% | 5.9% |
| 人件費率(R6) | 61.7% | 66.1% |
日中型は同規模(定員15〜16人)でも年収入が5,803万円と包括型(3,990万円)の約1.5倍です。日中サービスの基本報酬が加算されるためです。ただし人件費率も66.1%(包括型61.7%)と高く、収支差率の平均は包括型より低い水準(5.1%)です。
入居率が収入に与える影響の試算
調査事業所の平均データ(定員15人・年収5,803万円・令和6年度)をもとに、入居率変化の影響を試算します。
| 入居率 | WAM参考値比 | 収入試算(年) | 収支差試算(年)※ |
|---|---|---|---|
| 95% | +9.0pt | 約6,403万円 | 約584万円 |
| 86.0%(WAM参考値) | ±0 | 約5,803万円 | 約296万円(R6実績) |
| 80% | ▲6.0pt | 約5,397万円 | ▲110万円(赤字) |
| 75% | ▲11.0pt | 約5,059万円 | ▲448万円(赤字) |
※収支差試算は人件費率66.1%・その他費用が固定という前提の簡易計算です。参考値です。
入居率が86.0%から80%に下がると(定員15人なら約0.9人分の空き増加)、収支が赤字に転落する計算です。包括型より損益分岐稼働率が高く(86.0%に近い水準で赤字リスクがある)、入居率の管理がより重要です。
GH日中型の職員構成と人件費の特徴
GH日中型は包括型と比べて人件費率が高い(66.1%対61.7%)理由は、日中の支援員が追加で必要なためです。WAMの経営分析参考指標(2023年度)から、GH日中型の職種別月給参考値を確認します。
| 職種 | 常勤月給(参考) | 非常勤月給(参考) |
|---|---|---|
| 施設長・管理者 | 350,287円 | 156,537円 |
| サービス管理責任者 | 321,972円 | 141,986円 |
| 生活支援員 | 251,097円 | 129,552円 |
| 世話人 | 231,407円 | 109,181円 |
| 夜間支援従事者 | 222,603円 | 115,898円 |
日中型では生活支援員(日中サービス担当)と世話人(夜間・日常生活担当)の両方を配置する必要があります。これが包括型より人件費がかさむ主な理由です。人件費を抑えるには非常勤職員の活用が有効ですが、常勤換算の配置基準を満たしながら行う必要があります。
日中型で入居率が低下しやすい場面
GH日中型は包括型より人件費コストが高いため、入居率が少し下がるだけで収支が悪化します。入居率が下がりやすい場面には次のようなものがあります。
- 行動障害が強い利用者の退所後、新規利用者の受け入れ前のマッチング期間が長期化する
- 医療的ケアが必要な利用者の入院・施設移転による長期欠如
- 開設後の初期フェーズで定員に対して入居者が少ない状態が続く
日中型の利用者は支援ニーズが高いため、入居前のアセスメント・体験利用・相談支援専門員との連携に時間がかかります。空き居室ができた場合は早めに相談支援事業所・行政に情報共有することが重要です。
包括型と比べて日中型は新規利用者のマッチングに時間がかかる傾向があります。退所の見込みが立った時点で早めに次の入居者の検討を始め、空き期間を最小限に抑える体制を整えることが、入居率の安定につながります。行政(市区町村の障害福祉担当)に空き状況を定期的に伝えることで、行政からの紹介につながるケースもあります。
GH日中型の経営診断で確認すべき指標
- 入居率:86.0%(WAM参考値)と比較する。80%を下回っている場合は空き居室解消が優先
- 人件費率:全国平均66.1%と比べて10ポイント以上高い場合は、夜間支援員・日中支援員のシフト管理に改善余地がないか確認する
- 夜間支援等体制加算の取得状況:GHでは夜間支援等体制加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)の取得により収入が増加する。日中型では特に夜間支援員の配置要件を満たしているか確認する
- 重度障害者支援加算:行動障害等の重度利用者が多い日中型では、この加算を取得できるか確認する。取得要件(強度行動障害支援者養成研修修了者の配置等)を満たしているかを見直す
GH日中型は収入規模が大きい(平均年収5,803万円)一方で、損益分岐稼働率が包括型より高く、入居率の管理が経営安定の鍵です。入居率・人件費率・加算の3点を定期的に確認し、問題が起きる前に対処することが重要です。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、福祉医療機構(WAM)経営分析参考指標 2023年度決算分。試算値は当方が概算計算したもので、各機関が作成したものではありません。

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