第二種衛生管理者 労働生理 疲労・ストレスのしくみ|フリッカー値・乳酸・コルチゾール

第二種衛生管理者の労働生理で出題される疲労・ストレスのテーマでは、「産業疲労の分類(身体的疲労・精神的疲労)」「疲労の指標(フリッカー値・乳酸など)」「ストレスの生理的反応(視床下部-下垂体-副腎系)」が頻出です。このページでは試験に出る疲労とストレスのしくみをまとめます。

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産業疲労の種類と分類

職場での疲労(産業疲労)は原因と現れ方によって以下のように分類されます。

分類の基準 種類 内容・例
原因による分類 身体的疲労(筋肉疲労) 肉体的な作業による筋肉の疲れ。乳酸の蓄積・筋グリコーゲンの枯渇
原因による分類 精神的疲労(神経疲労) 精神的・認知的な作業による疲れ。VDT作業・判断作業・感情労働
継続時間による分類 急性疲労 一時的な疲労。休息で回復できる
継続時間による分類 慢性疲労(過労) 蓄積した疲労。休息だけでは回復しにくい。過労死のリスク

疲労の測定・指標

疲労を客観的に測定する方法として、以下の指標が試験に出ることがあります。

指標 内容 疲労との関係
フリッカー値(CFF) 点滅する光が融合して見える最低の点滅頻度(Hz) 疲労すると低下する(精神的疲労の指標として使われる)
乳酸(血中乳酸値) 無酸素運動で筋肉に蓄積する代謝産物 激しい運動後や筋肉疲労で増加
尿中17-ケトステロイド 副腎皮質ホルモン(コルチゾール等)の代謝産物 精神的ストレス下で変動

フリッカー値は精神疲労の評価に使われる測定法として試験に出ます。「疲労すると上昇する」という誤りに注意してください。正しくは「疲労すると低下する」です。

ストレスとは:一般適応症候群

ストレスとは「外部からの刺激(ストレッサー)に対して体や心が示す反応(ストレス反応)」です。ハンス・セリエが提唱した「一般適応症候群(GAS)」は試験に出ることがあります。

段階 名称 身体の状態
第1段階 警告反応期(ショック相・反ショック相) 急激なストレスに体が驚いて一時的に抵抗力が低下、その後急上昇
第2段階 抵抗期 ストレスに適応して抵抗力が高まった状態が続く
第3段階 疲弊期 長期のストレスで適応力が尽きる・抵抗力が低下・疾病のリスクが増大

ストレスの生理的反応:視床下部-下垂体-副腎系

ストレスを感じたときの体の反応は、脳の視床下部から始まる連鎖反応(HPA軸)によって引き起こされます。

  1. ストレッサーを認知 → 視床下部が反応
  2. 視床下部から下垂体へ「コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)」が分泌
  3. 下垂体から「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」が分泌
  4. 副腎皮質から「コルチゾール(ストレスホルモン)」が分泌
  5. コルチゾールが血糖上昇・免疫抑制・抗炎症作用などを引き起こす

試験では「ストレスが続くとコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の分泌が増える」「視床下部が関与する」という点が問われます。「ストレスに反応するのは交感神経系と副腎系」という流れを押さえておくと多くの問題に対応できます。

過労・疲弊の健康影響

疲労が蓄積すると様々な健康影響が現れます。

  • 免疫機能の低下(風邪などの感染症にかかりやすくなる)
  • 睡眠障害(疲れているのに眠れない・眠りが浅い)
  • 消化器症状(食欲不振・胃痛・過敏性腸症候群など)
  • 精神的症状(意欲の低下・集中力の低下・不安感)
  • 循環器への影響(血圧上昇・不整脈)

労働安全衛生法で月80時間超の長時間労働者への面接指導が義務化されているのは、このような疲労の健康影響を予防するためです。

疲労・ストレスの頻出ひっかけパターン

よくある誤り 正しい内容
フリッカー値は疲労すると上昇する 誤り。疲労すると低下する(光の点滅が融合して見える閾値が下がる)
ストレスに対するホルモン反応の中枢は下垂体 不完全。視床下部→下垂体→副腎の連鎖で起きる(起点は視床下部)
乳酸は精神的疲労の指標として使われる 誤り。乳酸は身体的疲労(筋肉疲労)の指標。精神的疲労はフリッカー値等

疲労の客観的指標

産業疲労を客観的に測定する指標として、試験で最も頻出なのは「フリッカー値」です。

指標の名称 内容 疲労との関係
フリッカー値(CFF:臨界融合頻度) 点滅する光がちらつきから一定の光に見える最低の点滅周波数 疲労すると低下する(正常値:40〜45Hz程度)
乳酸値(血中乳酸) 筋肉の無酸素代謝(解糖系)で産生される代謝産物 身体的疲労が強いほど血中乳酸値は上昇する
VAS(視覚的アナログ尺度) 本人の主観的な疲労感を線上で示す 主観的な疲労感の評価に使用(客観指標ではない)
グリコーゲン量 筋肉に貯蔵されているエネルギー(グルコースの重合体) 激しい運動・身体作業で枯渇すると疲労が増す

試験では「フリッカー値は疲労が増すと上昇するか低下するか」という形で出題されます。答えは「低下」です。

ストレスの生理的反応のしくみ

ストレス刺激に対して、体内では神経・内分泌系を介した反応が起きます。

  1. ストレス刺激(ストレッサー)を認知する
  2. 大脳皮質から視床下部に信号が送られる
  3. 視床下部が自律神経系(交感神経)を活性化させる→アドレナリン・ノルアドレナリンが副腎髄質から分泌される
  4. 視床下部がCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌→脳下垂体前葉からACTHが分泌→副腎皮質からコルチゾールが分泌
  5. コルチゾールが血糖値上昇・免疫抑制・抗炎症作用等を引き起こす(ストレス反応)

慢性的なストレスが続くとコルチゾールが長期にわたって高い状態になり、免疫機能の低下・メンタルヘルス不調・生活習慣病リスクの上昇に繋がります。

過労・長時間労働と健康障害

長時間労働・過重労働が続くと、「過労死(脳・心臓疾患による死亡)」や「過労自殺(精神障害による自殺)」のリスクが高まります。

  • 時間外労働と過労死の関係:月80〜100時間超(いわゆる「過労死ライン」)の時間外労働が続くと脳卒中・心筋梗塞のリスクが著しく上昇するとされる
  • 長時間労働者への面接指導義務:月80時間超の時間外・休日労働者で申し出があった場合は医師の面接指導が義務(100時間超の場合は申し出なくとも実施義務)

疲労・ストレスに関するよくある試験の問い

  • 「フリッカー値は精神的疲労が増すと上昇するか低下するか」→低下する
  • 「精神的疲労の主な指標はフリッカー値か乳酸値か」→フリッカー値(乳酸は身体的疲労の指標)
  • 「急性ストレス反応で副腎髄質から分泌されるホルモンは何か」→アドレナリン・ノルアドレナリン
  • 「慢性ストレスで長期にわたって分泌が続くコルチゾールはどこで産生されるか」→副腎皮質
  • 「長時間労働者への面接指導の義務ラインは月何時間か」→月80時間超の時間外・休日労働(申し出があった場合)

疲労・ストレスのテーマは第二種試験の「労働生理」科目で毎回出題される重要テーマです。フリッカー値(精神的疲労の客観指標)・ストレスホルモン(コルチゾール・アドレナリン)の産生部位(副腎皮質・副腎髄質)を確実に覚えることで、この分野の問題に確実に対応できます。

産業疲労の回復と休憩の効果

産業疲労を効果的に回復させるためには、適切な休憩の取り方が重要です。

  • 積極的休憩(アクティブレスト):軽い運動・ストレッチなど身体を動かすことで血流を促進し疲労回復を早める
  • 消極的休憩(パッシブレスト):何もせず横になる・睡眠。重度の身体的疲労回復に効果的
  • 精神的疲労に対しては環境を変える・好きなことをする等の気分転換も有効

疲労と睡眠の関係

睡眠不足は疲労の蓄積を加速させます。日本人の睡眠に関する主な課題:

  • 慢性的な睡眠不足:6時間以下の睡眠が続くと認知機能・判断力が低下(作業ミスや事故のリスク上昇)
  • 睡眠負債:不足した睡眠は休日に多少補えるが、完全な補填は難しい
  • 交代制勤務:夜勤・交代制は概日リズム(体内時計)を乱し、慢性疲労・睡眠障害のリスクが高い

試験では「フリッカー値は精神的疲労の指標・乳酸は身体的疲労の指標」「ストレスホルモン(コルチゾール)は副腎皮質から分泌」「長時間労働と脳・心臓疾患(過労死)の関係」というポイントが頻出です。疲労のメカニズムを正しく理解して、試験での得点につなげましょう。

ストレス反応の種類(生理・心理・行動)

ストレス(ストレッサー)に対する反応は3種類に分類されます。

分類 具体例
生理的反応 血圧上昇・頻脈・消化器不調(胃痛・食欲不振)・免疫機能低下
心理的反応 不安・抑うつ・怒り・集中力低下・意欲低下
行動的反応 飲酒量増加・喫煙増加・遅刻・欠勤増加・作業ミスの増加

疲労・ストレスのテーマは試験の労働生理科目の頻出テーマです。フリッカー値(精神疲労の客観指標)・コルチゾール(副腎皮質から分泌されるストレスホルモン)・ストレス反応の3分類(生理・心理・行動)を確実に覚えることで、この分野の問題はほぼ網羅できます。過去問での練習を積み重ねることで合格に近づいてください。

疲労は「身体的疲労(筋肉の疲れ・乳酸蓄積)」と「精神的疲労(神経の疲れ・フリッカー値低下)」に分類されます。どちらも放置すると慢性疲労・過労死につながるリスクがあります。ストレスによるコルチゾール(副腎皮質)の長期分泌も健康に悪影響を与えます。疲労のメカニズムを理解した上で、試験の過去問で繰り返し問われるポイント(フリッカー値は疲労で低下・乳酸は身体的疲労の指標)を確実に覚えて合格してください。

疲労管理は個人の体調管理だけでなく、事業者が職場環境・労働時間・業務量を適正に管理することでも大きく改善できます。衛生管理者として疲労の早期発見と対処を組み合わせることが重要です。

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出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「衛生管理者免許試験 試験案内」(2026年11月時点)。法令の数字は労働安全衛生法・同施行令・安衛則の条文に基づきます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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