クレーン ワイヤロープの張力と吊り角度の計算【90°で0.707倍・安全係数との関係】

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2本のワイヤロープで荷を吊り上げる際、吊り角度が大きくなるほど各ロープの張力は増加します。吊り角度が90°の場合、各ロープの張力は荷重の約0.707倍(1/√2)になります。この計算問題はクレーン・デリック運転士の力学科目の頻出テーマです。

出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内

吊り角度と張力の基本的な関係

2本のワイヤロープで荷をつり下げる場合、ロープの傾きによって各ロープにかかる張力が変わります。

張力の計算式:T = W ÷ (2 × cos(θ/2))

  • T:各ロープの張力(kgf または N)
  • W:荷の重量(kgf または N)
  • θ:2本のロープが成す角度(吊り角度)

吊り角度別の張力

吊り角度θ 各ロープの張力T(荷重W比) 計算式
0°(2本が並行) W/2(0.5倍) W÷(2×cos0°) = W÷2
60° 約0.577倍 W÷(2×cos30°) = W÷(2×0.866) ≈ W÷1.732
90° 約0.707倍(1/√2) W÷(2×cos45°) = W÷(2×0.707) ≈ W÷1.414
120° W(1.0倍) W÷(2×cos60°) = W÷(2×0.5) = W÷1

吊り角度が0°(ロープが垂直で並行)の場合、各ロープの張力は荷重の半分(W/2)です。吊り角度が大きくなるにつれて張力が増加し、120°でロープ1本あたりの張力が荷重と同じ値になります。

安全な吊り角度の目安

クレーン等安全規則では、玉掛け用ワイヤロープを使用する際の吊り角度は90°以内とすることが安全上の基準とされています(JIS B 8821および安全衛生技術基準に基づく推奨値)。90°を超えると張力が急増し、ロープへの負担が大きくなるためです。

計算問題の解き方のコツ

角度の種類に注意する

試験問題では「2本のロープが成す角度」で表記される場合と、「ロープと垂直方向が成す角度(半分の角度)」で表記される場合があります。問題の図をよく読んで、どちらの角度で与えられているかを確認してから計算します。

主要な角度のcos値を覚える

  • cos 0° = 1.0
  • cos 30° = √3/2 ≈ 0.866
  • cos 45° = 1/√2 ≈ 0.707
  • cos 60° = 0.5

試験問題でよく出る数値

吊り角度90°(各ロープの張力 = W×(1/√2) ≈ W×0.707)と吊り角度120°(各ロープの張力 = W)が特に頻出です。

ワイヤロープの安全係数との関係

吊り角度が大きくなるほど各ロープの張力が増加するため、安全係数(切断荷重÷最大使用荷重)は吊り角度を考慮して選定します。

クレーン等安全規則では玉掛け用ワイヤロープの安全係数を6以上と規定しています(クレーン等安全規則第213条)。吊り角度が大きい場合、張力増加分を考慮して定格荷重以下で使用する必要があります。

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本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

吊り角度の計算問題の解き方のステップ

試験でワイヤロープ張力の計算問題が出題されたとき、次のステップで解くと確実です。

  1. 吊り角度を確認する:問題文または図から「2本のロープが成す角度」または「ロープと垂直方向の角度」のどちらで示されているかを確認する
  2. 公式を選ぶ:T = W ÷ (2 × cos(θ/2))。θが「2本のロープの角度」の場合はθ/2がロープと垂直の角度になる
  3. cos値を代入する:主要な角度(0°・30°・45°・60°)のcos値を使って計算する
  4. 選択肢と照合する:計算結果に最も近い選択肢を選ぶ

よく出る計算問題の例

例題1(吊り角度90°)

2本のワイヤロープで荷重1,000kgfを吊り上げる。2本のロープの成す角度が90°のとき、各ロープの張力はいくらか。

T = 1,000 ÷ (2 × cos45°) = 1,000 ÷ (2 × 0.707) = 1,000 ÷ 1.414 ≈ 707 kgf

→ 各ロープの張力は約707kgf(荷重の約0.707倍)

例題2(吊り角度120°)

2本のワイヤロープで荷重1,000kgfを吊り上げる。2本のロープの成す角度が120°のとき、各ロープの張力はいくらか。

T = 1,000 ÷ (2 × cos60°) = 1,000 ÷ (2 × 0.5) = 1,000 ÷ 1 = 1,000 kgf

→ 各ロープの張力は1,000kgf(荷重と同じ値)

吊り角度を大きくしてはいけない理由

吊り角度が大きくなるほどロープの張力が増大するため、次のリスクが高まります。

  • ワイヤロープの切断リスク(安全係数が実質的に低下する)
  • 荷がつぶれる・変形するリスク(ロープが荷を横から圧迫する)
  • バランスが崩れて荷が傾くリスク

クレーン運転士として実務では吊り角度を90°以内に保つことが基本です。試験でも「吊り角度が大きくなるほどロープにかかる張力は増大する」という知識は頻繁に問われます。

受験者がよく間違えるポイント

「吊り角度」の定義を混同しない

試験問題には「2本のロープが成す角度」と「ロープが垂直方向と成す角度(半角)」の2通りの表記があります。同じ吊り状態でも表記が異なります。例えば「吊り角度が60°」という表記で「2本のロープの角度」を指す場合と「各ロープの垂直からの傾き」を指す場合では、計算結果が変わります。問題の図と文章を必ず確認してください。

張力の「各ロープ」の意味

2本のロープで吊る場合の「各ロープの張力」とは1本あたりの張力です。「2本合計の張力」を問われている場合は計算結果を2倍します。問題文をよく読んで「1本あたり」か「合計」かを確認してください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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