この記事ではクレーンの機械式摩擦ブレーキ「バンドブレーキ・ディスクブレーキ・シューブレーキ」の種類と構造を解説します。電磁ブレーキ・ダイナミックブレーキなど電気的制動の仕組みは▶ 電磁ブレーキとダイナミックブレーキの違いをご覧ください。
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クレーンのブレーキには「バンドブレーキ」「ディスクブレーキ」「シューブレーキ」などの種類があります。バンドブレーキはドラムにバンドを巻き付ける摩擦式・ディスクブレーキは円板(ディスク)を挟む摩擦式で、それぞれ構造・特徴・用途が異なります。原動機及び電気科目で出題されます。
出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内
バンドブレーキ
バンドブレーキは、ブレーキドラムにバンド(金属製または摩擦材付きの帯状の部材)を巻き付け、摩擦力によって制動する方式です。
バンドブレーキの構造
- バンド(帯状の制動材)をドラムの外側に巻き付ける
- バンドを締め付けることでドラムとの摩擦力を生じさせる
バンドブレーキの特徴
- 構造が比較的シンプル
- コスト面で有利
- 熱がこもりやすい(連続使用時に放熱が課題)
ディスクブレーキ(円板ブレーキ)
ディスクブレーキは、回転する円板(ディスク)を両側からブレーキパッドで挟んで制動する方式です。
ディスクブレーキの構造
- ローター(円板)が電動機の回転軸と一緒に回転する
- キャリパー(挟む部分)がブレーキパッドをローターの両面に押し付けて制動
ディスクブレーキの特徴
- 放熱性が高い(ディスクが露出しているため冷えやすい)
- 安定した制動力が得られる
- クレーンの巻き上げ装置に広く使われる
シューブレーキ(ドラムブレーキ)
シューブレーキは、ドラムの内側または外側にシュー(制動片)を押し付けて制動する方式です。電磁ブレーキと組み合わせて使われることが多く、「電磁シューブレーキ」ともいいます。
シューブレーキの特徴
- 電磁石(ソレノイド)によるオン・オフ制御が容易
- クレーンの巻き上げ機に広く使われる
- 停電時にはバネ力でブレーキが自動作動(フェールセーフ)
ブレーキの種類比較
| 種類 | 制動方式 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| バンドブレーキ | バンドをドラム外周に巻き付け | シンプル・放熱しにくい | 小型機器・巻き上げ機 |
| ディスクブレーキ | ディスクを両側から挟む | 放熱性高・安定した制動力 | 巻き上げ機・走行装置 |
| シューブレーキ | シューをドラムに押し付け | 電磁制御可・フェールセーフ | 電磁ブレーキ(巻き上げ機) |
試験での出題ポイント
- 「バンドブレーキはドラムにバンドを巻き付けて摩擦で制動する」
- 「ディスクブレーキはディスクをパッドで挟んで制動する・放熱性が高い」
- 「電磁シューブレーキは停電時に自動でブレーキがかかる(フェールセーフ)」
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本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内および出題基準に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。
ブレーキの保守点検方法
クレーンのブレーキは安全性に直結する重要部品です。定期自主検査でブレーキの機能を確認することが義務付けられています(クレーン等安全規則第34条・第35条)。
バンドブレーキの点検ポイント
- バンドの摩耗・亀裂・焼き付きの確認
- バンドとドラムのすき間(クリアランス)の調整
- バンドの締め付けレバー・スプリングの機能確認
ディスクブレーキの点検ポイント
- ブレーキパッドの摩耗量の確認(摩耗限度を超えたら交換)
- ディスク(ローター)の面の摩耗・溝・亀裂の確認
- キャリパーの動作確認(スムーズに動くか)
シューブレーキ(電磁ブレーキ)の点検ポイント
- ブレーキシューのライニング摩耗量の確認
- 電磁石の吸着・解放動作の確認
- バネ力の確認(ブレーキスプリングの劣化・折損)
- すき間(エアギャップ)の調整
ブレーキが失陥した場合のリスク
クレーンのブレーキが機能しなくなると次のような重大事故につながります。
- 荷の落下:巻き上げ機のブレーキが失陥すると、保持していた荷が落下して下方の作業員が危険にさらされる
- クレーンの逸走:走行装置のブレーキが失陥すると、クレーン本体が制御不能の状態で移動する
- 衝突・転倒:走行中に停止できずに他の設備や建屋に衝突する
試験でよく問われるポイント
| 選択肢の内容 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| バンドブレーキはドラムにバンドを巻き付けて摩擦力で制動する | 正しい | バンドブレーキの基本構造 |
| ディスクブレーキはバンドブレーキより放熱性が低い | 誤り | ディスクブレーキの方が放熱性が高い |
| 電磁シューブレーキは停電時に自動でブレーキがかかる | 正しい | バネ力でフェールセーフ動作 |
| バンドブレーキは連続使用時に放熱しにくいという特性がある | 正しい | バンドがドラムを覆うため熱がこもる |
ブレーキに関するよくある質問
Q. クレーンのブレーキが自動でかかる理由は何か
クレーンのホイスト(巻き上げ機)に使われる電磁シューブレーキ(電磁ブレーキ)は、「電流が流れているときブレーキが解除・電流が止まるとブレーキがかかる」という仕組みです。停電や緊急停止時に自動でブレーキがかかることで荷の落下を防ぎます。これをフェールセーフといいます。
Q. バンドブレーキはなぜ小型機器に使われるか
バンドブレーキは構造がシンプルで製造コストが低いため、小型クレーン・ウインチ・手動操作機器に使われます。一方で連続使用時に熱がこもりやすいため、頻繁な巻き上げ・巻き下げを繰り返す大型クレーンの主ブレーキとしては不向きです。
Q. ディスクブレーキが増えている理由は何か
ディスクブレーキはローターが露出した構造のため放熱性に優れており、連続作業でも安定した制動力を維持できます。また、パッドの摩耗確認が容易で保守性が高いことも採用が増えている理由の一つです。現代のクレーンや精密が求められる巻き上げ装置ではディスクブレーキが広く使われています。

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