クレーン 定格荷重とつり上げ荷重の違い【吊り具含む・含まないの見分け方】

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「つり上げ荷重」と「定格荷重」は別の値です。つり上げ荷重はフック等の吊り具の重量を含む最大荷重、定格荷重はその吊り具を差し引いた荷(実際の積み荷)の最大重量です。クレーン・デリック運転士の試験で混同しやすい2つの用語の違いを正確に理解することが重要です。

出典:クレーン等安全規則第1条(定義)

2つの用語の定義

つり上げ荷重

クレーンが構造上、安全につり上げられる荷重の最大値です。この値には、フック・シャックル・スリング等の吊り具の重量が含まれます。

つり上げ荷重は一般にクレーンの定格性能として表示される値で、「このクレーンは○t吊り」という場合に使われる数値です。

定格荷重

クレーンが各状態において安全につり上げることができる荷重の最大値で、吊り具(フック等)の重量を除いた値です。つり上げ荷重からフック等の重量を引いた数値になります。

定格荷重はジブクレーンなど作業半径によって変わる機種では、作業半径ごとに異なる値が設定されます。

具体例で確認する

例:つり上げ荷重5t、フック・スリング等の吊り具合計重量0.1tのクレーンの場合

  • つり上げ荷重:5t(吊り具込み)
  • 定格荷重:5 − 0.1 = 4.9t(吊り具なし・荷だけ)

実際に積み荷を4.9tまで積めますが、吊り具の重さも合わせると5tになるため、これを超えるとクレーンの定格性能を超えることになります。

定格速度との関係

定格速度は「定格荷重の荷をつって移動する場合の最高速度」と定義されます(クレーン等安全規則第1条)。つまり、定格荷重の荷を積んだ状態でのスペック速度です。

過負荷の禁止と定格荷重

クレーン等安全規則第17条は「クレーンに定格荷重を超える荷重をかけて使用してはならない」と規定しています。定格荷重は荷の重量(吊り具なし)の最大値ですから、積み荷がこの値を超えると違反になります。

吊り具の重量を加え忘れて計算すると「定格荷重 > 実際の荷重」と誤解し、オーバーロードを起こすリスクがあります。現場での計算は吊り具込みの重量で確認することが重要です。

試験での出題パターン

試験では次のパターンで問われます。

  • 「つり上げ荷重と定格荷重の定義の違いを選択肢から選ぶ」
  • 「つり上げ荷重3tのクレーンで吊り具重量○tの場合、定格荷重はいくらか」
  • 「定格速度の定義はどれか」

吊り具を含む・含まないの区別を明確に覚えることが正解への鍵です。

まとめ

用語 吊り具 内容
つり上げ荷重 含む クレーンが構造上つり上げられる最大値
定格荷重 含まない(除く) 各状態でつり上げられる荷(積み荷)の最大値
定格速度 — 定格荷重の荷をつって移動する最高速度

出典:クレーン等安全規則第1条

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本記事はクレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

ジブクレーン・移動式クレーンでの定格荷重の考え方

ジブクレーンや移動式クレーンでは、ジブの傾斜角や作業半径によって定格荷重が変わります。作業半径が大きくなるほど(ジブを寝かすほど)定格荷重は小さくなります。このため、定格荷重表(荷重曲線表)を見て、その状態での定格荷重を確認してから作業します。

試験では「定格荷重はジブの角度(作業半径)によって変わる」「つり上げ荷重は機械全体の最大値で変わらない」という対比が出題されることがあります。

過負荷の禁止と定格荷重の関係(法令科目との連携)

クレーン等安全規則第17条は、定格荷重を超える荷重をかけた使用を禁止しています。定格荷重は吊り具を除いた荷の最大重量ですから、現場での確認は次の手順が基本です。

  1. 荷(積み荷)の重量を確認する
  2. 使用する吊り具(フック・スリング等)の重量を確認する
  3. 荷+吊り具の合計がつり上げ荷重以下かを確認する
  4. 荷単体が定格荷重以下かを確認する

試験では定義の正確な理解と、過負荷禁止の法的根拠(クレーン則第17条)の組み合わせで問われることがあります。

試験で狙われやすい数値と記述

  • 「定格荷重 = つり上げ荷重 − 吊り具の重量」という関係式
  • 「定格速度は定格荷重の荷をつって移動する場合の最高速度」(クレーン則第1条)
  • 「フック等の質量をつり上げ荷重に含む・含まない」の正誤判断

出典:クレーン等安全規則第1条・第17条

定格荷重の表示義務と確認方法

クレーン等安全規則第28条は、つり上げ荷重0.5t以上のクレーンに定格荷重その他の能力の表示を義務付けています。運転士は作業前に定格荷重を確認し、荷の重量が定格荷重を超えないようにします。

  • 天井クレーンや橋形クレーン:機体の見やすい場所に表示される
  • ジブクレーンや移動式クレーン:作業半径ごとの荷重表(荷重曲線)で確認

出典:クレーン等安全規則第28条

よく混同される類似用語の整理

用語 意味 吊り具の扱い
つり上げ荷重 構造上つり上げられる最大荷重 含む
定格荷重 各状態で安全につり上げられる荷の最大重量 含まない
定格速度 定格荷重の荷をつって移動する場合の最高速度 —
瞬間最大荷重 試験に出ない用語(混乱を誘う選択肢に注意) —

試験では「瞬間最大荷重」「最大許容荷重」のような実在しない用語が選択肢に含まれる場合があります。定義がクレーン等安全規則第1条に明示されているのは「つり上げ荷重」「定格荷重」「定格速度」の3つです。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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