クレーン・デリック運転士 力学の過去問解説|モーメント・合力・ワイヤ張力の解き方

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クレーン・デリック運転士の試験「力学に関する知識」は計算問題を含む科目です。過去問に繰り返し出題されるテーマは「モーメント・力の合成・荷重の分解・物体の安定・ワイヤロープの張力」の5テーマです。この記事では各テーマの解き方を解説します。

出典:安全衛生技術試験協会「クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内」・公表問題

テーマ1:モーメント

モーメントとは「力×距離」で求める値で、物体を回転させようとする働きです。

モーメント = 力(N)× 距離(m)

出題例

支点から2mの位置に1,000Nの力が作用している場合のモーメントを求めよ。

→ 1,000 × 2 = 2,000N・m

つり合いの問題では「支点を基準に左右のモーメントが等しい」という条件を使います。

テーマ2:力の合成(平行四辺形の法則)

方向の異なる2つの力を合成する場合は、平行四辺形の対角線が合力の方向と大きさを表します。

特に出題されるのは「同一直線上の2力の合成」と「直角に交わる2力の合成」です。

直角に交わる2力F1とF2の合力:
F = √(F1² + F2²)

直角の場合は三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使います。

テーマ3:荷重の分解(傾斜のある力)

クレーンで斜めにつり上げる場合など、荷重を水平成分・垂直成分に分解する問題が出ます。

傾き角θの場合:

  • 水平成分:F × cos θ
  • 垂直成分:F × sin θ

試験ではθ=30°・60°・45°の値(sin・cos)を覚えておくと計算しやすくなります。

角度θ sin θ cos θ
30° 0.5 0.866
45° 0.707 0.707
60° 0.866 0.5

テーマ4:物体の安定(重心と転倒モーメント)

物体が安定しているかどうかは、重心の位置で判断します。重心が支持面(底面)の外に出ると転倒します。

転倒しない条件:安定モーメント ≥ 転倒モーメント

ロープでつり上げた荷の場合、ロープがV字形になっているとき、ロープの張力と合力の関係が出題されます。

テーマ5:ワイヤロープの張力

2本のワイヤロープで荷をつり下げる場合、各ロープの張力はつり角度によって変わります。

荷重W・2本のロープ・ロープがなす角度θ(2本ロープの開き角)の場合:

1本のロープの張力 = W / (2 × cos(θ/2))

つり角度が大きくなるほど(ロープが広がるほど)、各ロープにかかる張力は大きくなります。

テーマ6:安全係数

安全係数とは、ロープや機器の破断荷重を使用荷重で割った値で、クレーン等安全規則で最低値が定められています。

部材 安全係数 根拠条文
ワイヤロープ(玉掛け以外) 6以上 クレーン則第213条
フック・シャックル等の金具 5以上 クレーン則第213条
玉掛け用ワイヤロープ 6以上 クレーン則第213条

安全係数 = 破断荷重 ÷ 使用荷重。
例:破断荷重120kNのワイヤロープを20kNで使用する場合:安全係数 = 120 ÷ 20 = 6

力学科目の学習ポイント

  • 公式を丸暗記するのではなく、考え方(モーメントのつり合い・合力)を理解する
  • 計算は整数・小数の計算で解けるように設定されていることが多い
  • 電卓は使えないため、概算値(sin30°=0.5等)を活用する

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本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内・公表問題に基づきます。受験前に公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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