クレーン 過負荷の禁止と過負荷防止装置【定格荷重を超えてはいけない理由】

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クレーンには「過負荷の禁止」と「過負荷防止装置」に関する規定があります。クレーン等安全規則第17条は「定格荷重を超えた荷を吊ることを禁止」しており、過負荷防止装置はその自動安全装置です。関係法令・クレーン知識の両科目で出題されます。

出典:クレーン等安全規則(厚生労働省)

過負荷の禁止(クレーン等安全規則第17条)

クレーン等安全規則第17条では、「事業者は、クレーンにその定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない」と規定しています。

定格荷重とは

定格荷重とは、クレーンの構造および材料に応じて安全に吊り上げることができる最大荷重です(フックなどの吊り具の重量を除く)。つり上げ荷重(最大の能力)とは異なります。

  • つり上げ荷重:クレーンが吊ることができる最大の荷重(吊り具を含む)
  • 定格荷重:つり上げ荷重からフック等の吊り具の重量を差し引いた荷重

過負荷防止装置とは

過負荷防止装置は、定格荷重を超える荷物を吊り上げようとした際に、自動的に警報を発したり動作を停止させたりする安全装置です。

過負荷防止装置の動作

  • 荷重が定格荷重に近づくと警報音で警告する
  • 定格荷重を超える操作をしようとすると自動的に停止する

過負荷防止装置の設置義務(クレーン等安全規則第22条)

クレーン等安全規則第22条では、クレーンのうち一定のものについて過負荷防止装置の設置を義務付けています。

設置が義務付けられるクレーン

  • つり上げ荷重が3t以上のクレーン(ただし、つり上げ荷重が3t未満のものでも義務付けられる場合あり)

作業開始前の点検(クレーン等安全規則第36条)

クレーンを用いて作業を行う場合、作業開始前に過負荷防止装置を含む安全装置の機能を点検しなければなりません。

過負荷が引き起こす危険

  • ワイヤロープの切断
  • フックの変形・破損
  • ドラム・シーブの破損
  • クレーン本体の転倒

試験での出題ポイント

  • 「定格荷重を超える荷を吊ることは禁止されている(クレーン等安全規則第17条)」
  • 「過負荷防止装置は定格荷重超過時に自動で停止または警報を発する安全装置」
  • 「定格荷重 = つり上げ荷重 − フック等の吊り具の重量」
  • 「過負荷防止装置は作業前に機能を点検する(第36条)」

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本記事はクレーン等安全規則(厚生労働省)に基づきます。最新の規定は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

定格荷重と作業半径の関係

ジブクレーンや移動式クレーンでは、作業半径(ジブの先端から垂直軸までの水平距離)によって定格荷重が変わります。ジブを倒すと(作業半径が大きくなると)定格荷重は小さくなります。

これはクレーンの安定性の問題です。作業半径が大きくなるほど、転倒モーメントが増加するため安全に吊れる荷重が減ります。

作業半径 定格荷重の傾向
小(ジブが立っている状態) 大きい
大(ジブが倒れた状態) 小さい

クレーンの定格荷重は、使用するジブの長さ・作業半径・アウトリガの状態によって異なります。性能表(定格総荷重の表)を確認してから作業することが基本です。

過負荷が起こりやすいシナリオ

試験では「なぜ過負荷が危険か」という問いに対して、具体的なリスクの理解が求められます。

見えない過負荷

  • 地面に置かれた荷の底が泥に埋まっている場合、吊り始めの荷重が予想以上に大きくなることがある(「粘着荷重」)
  • 作業半径が変わるとき(ジブを伸ばすとき)に、その半径での定格荷重より重い荷を吊っていることがある

定格荷重と安全係数の関係

過負荷防止装置が正常に機能していても、ワイヤロープ・フックには安全係数が設定されています。定格荷重の範囲内で使用することで安全係数が維持されます。

  • 玉掛け用ワイヤロープの安全係数:6以上(クレーン等安全規則)
  • フック等の吊り具の安全係数:5以上

過負荷(定格荷重超え)になると実質的な安全係数が低下し、切断・破損のリスクが高まります。

試験に出る問題例

次の選択肢の正誤を判断できるようにしておきましょう。

  • 「定格荷重とは、クレーンがつり上げることができる最大の荷重をいう」→ 誤り(つり上げ荷重が「最大荷重」。定格荷重はつり上げ荷重から吊り具の重量を引いたもの)
  • 「事業者は、クレーンにその定格荷重を超える荷重をかけて使用してはならない」→ 正しい(クレーン等安全規則第17条)
  • 「過負荷防止装置は作業前に機能を点検しなければならない」→ 正しい(クレーン等安全規則第36条)
  • 「過負荷防止装置が付いていれば、定格荷重を超えて使用してもよい」→ 誤り(定格荷重超えは常に禁止)

過負荷防止装置に関するよくある質問

Q. 過負荷防止装置が作動したら何が起こるか

過負荷防止装置が作動すると、巻き上げ動作が自動的に停止または制限されます。警報音が鳴るタイプもあります。装置が作動した場合は、荷の重量を確認し定格荷重以内に調整してから改めて作業を行います。

Q. 過負荷防止装置が付いていないクレーンの場合どうするか

つり上げ荷重3t未満のクレーンで過負荷防止装置の設置義務がない場合でも、定格荷重を超えての使用は禁止されています(クレーン等安全規則第17条)。荷の重量を事前に確認し、重量が不明な場合は計測してから作業することが基本です。

Q. 作業前点検で過負荷防止装置は何を確認するか

作業開始前に、過負荷防止装置に次の確認を行います:センサーや検出部の損傷・汚れの有無、警報が正常に作動するかのテスト動作、設定値(作動する荷重の設定)が正しいかの確認。点検結果はクレーン台帳(定期自主検査記録)に記録します。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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