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ボイラー技士試験の「ボイラーの構造に関する知識」科目では、熱量の基本計算が出題されます。比熱・比エンタルピ・蒸発潜熱の意味と計算式を押さえることで、換算蒸発量・ボイラー効率・給水加熱量などの計算問題を確実に解けるようになります。
熱量の基本単位
| 単位 | 意味 |
|---|---|
| kJ(キロジュール) | エネルギー・熱量の SI 単位。1 kJ = 1,000 J |
| kJ/kg | 質量1kgあたりの熱量(比エンタルピ等の単位) |
| kJ/(kg·K) | 質量1kgの物体を1K(1℃)温度上昇させるのに必要な熱量 = 比熱(単位) |
| kW | 電力または熱の流れ(1kW = 1kJ/s)。ボイラー出力の単位として使われることがある |
比熱とは
比熱(specific heat)は、物質 1 kg の温度を 1 K(1℃)上昇させるのに必要な熱量です。
Q = m × c × (T₂ − T₁)
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| Q | 加えた(または放出した)熱量 | kJ |
| m | 物質の質量 | kg |
| c | 比熱 | kJ/(kg·K) |
| T₂ − T₁ | 温度変化(加熱前後の温度差) | K または ℃ |
水の比熱は約 4.18 kJ/(kg·K)(≒ 4.2 kJ/(kg·K) で近似することが多い)です。
計算例 1:給水加熱量
給水流量 500 kg/h、給水温度 20℃、給水を 80℃ に予熱するときの加熱量を求めよ。
Q = 500 × 4.18 × (80 − 20)
= 500 × 4.18 × 60
= 125,400 kJ/h(= 34.8 kW)
比エンタルピ(エンタルピ)とは
比エンタルピ h(kJ/kg)は、物質が持つ熱エネルギーの量を質量あたりで表した値です。ボイラーの計算では次のように使います。
- 給水の比エンタルピ h₁:給水温度 T(℃)のとき、水の比エンタルピは近似的に h₁ ≒ 4.18 × T(kJ/kg)で計算できる
- 飽和蒸気の比エンタルピ h₂:蒸気表から読み取る。例:0.1MPa(大気圧)の乾き飽和蒸気の比エンタルピは約 2,676 kJ/kg
- 蒸気と給水の比エンタルピ差(h₂ − h₁):ボイラーが水 1 kg に与えた熱量。ボイラー効率・換算蒸発量の計算に使う
計算例 2:h₁の計算
給水温度 40℃のときの給水比エンタルピを求めよ。
h₁ ≒ 4.18 × 40 = 167.2 kJ/kg
蒸発潜熱とは
蒸発潜熱(latent heat of vaporization)は、液体が温度を上げずに蒸気に変わるために必要な熱量です。温度変化を伴わない熱移動(相変化の熱)です。
- 100℃・大気圧での水の蒸発潜熱は 2,257 kJ/kg(換算蒸発量の計算で使う標準値)
- 圧力が高くなると飽和温度が上がり、蒸発潜熱は減少する
- 臨界圧力(22.1 MPa)では蒸発潜熱はゼロになる(液体と気体の区別がなくなる)
計算例 3:水から蒸気を作るのに必要な熱量
給水温度 60℃の給水を、0.5 MPa の乾き飽和蒸気(h₂ = 2,749 kJ/kg)にする場合、1 kg あたりの必要熱量を求めよ。
h₁ ≒ 4.18 × 60 = 250.8 kJ/kg
h₂ − h₁ = 2,749 − 250.8 = 2,498.2 kJ/kg
総まとめ:ボイラー熱計算の関係式
| 計算 | 式 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 温度上昇に必要な熱量 | Q = m × c × ΔT(ΔT = T₂ − T₁) | 給水予熱・エコノマイザ加熱量の計算 |
| 給水比エンタルピ(近似) | h₁ ≒ 4.18 × T(℃) | ボイラー効率・換算蒸発量の h₁ として使用 |
| ボイラーが水に与えた熱量 | Q = G × (h₂ − h₁)(G:蒸発量kg/h) | ボイラー出力・効率計算の分子 |
| 換算蒸発量 | G_e = G × (h₂ − h₁) ÷ 2,257 | ボイラーの性能を標準状態に換算する |
| ボイラー効率 | η = G × (h₂ − h₁) ÷ (B × H_L) × 100 | 燃料の低発熱量との比で効率を算出 |
試験で間違えやすいポイント
- 「水の比熱は 1 kJ/(kg·K)」は誤り。水の比熱は約 4.18 kJ/(kg·K)(旧単位では 1 kcal/(kg·℃) = 4.18 kJ/(kg·K))
- 「蒸発潜熱は温度が上がるほど大きくなる」は誤り。高圧(高飽和温度)になるほど蒸発潜熱は小さくなる
- 「比エンタルピはボイラー効率計算に不要」は誤り。h₂ − h₁ が分子に入る重要な値
- 「換算蒸発量の計算で使う値 2,257 kJ/kg は任意の圧力での蒸発潜熱」は誤り。100℃・大気圧(標準状態)での蒸発潜熱
この記事のまとめ
- 比熱:物質1kgを1K上昇させる熱量。水は約4.18 kJ/(kg·K)
- 給水比エンタルピ h₁ ≒ 4.18 × 給水温度(℃)で近似できる
- 蒸発潜熱:液体→蒸気の相変化熱。100℃・大気圧で2,257 kJ/kg(換算蒸発量の計算に使う)
- ボイラーが水に与えた熱量 = 蒸発量 × (h₂ − h₁)。これが効率・換算蒸発量計算の基礎
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)・ボイラー構造規格(昭和47年労働省告示第33号)・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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