就労継続支援B型のアレルギー対応研修、昼食時の食物アレルギーと農作業の虫刺され対応。
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就労継続支援B型では、昼食・農作業での収穫物の試食・屋外作業中の虫刺されなど、食物アレルギーや蜂刺されによるアナフィラキシーが発生しうる場面があります。アナフィラキシーは進行が速く、対応が遅れると命に関わります。アレルギー対応研修では、利用者ごとのアレルギー情報の把握、症状の見分け方、エピペンの補助手順を全職員で確認します。
この記事では、B型でアレルギー対応が必要な場面、事前に把握すべき情報、アナフィラキシーの症状の見分け方、エピペンの補助と職員の役割、農作業での蜂刺され対応を整理します。
B型でアレルギー対応が必要になる場面
B型でアレルギーが問題になりやすい場面は次のとおりです。
| 場面 | アレルギーのリスク |
|---|---|
| 昼食・おやつの提供 | 事業所が食事を提供する場合、アレルゲンが含まれた食品が含まれるリスク。特にゴマ・ナッツ類・そば・甲殻類は重篤なアナフィラキシーを引き起こしやすい |
| 農作業での収穫物の試食 | 農作業の一環として収穫物を試食する場面。素材が明確でも調理に使う器具・油などにアレルゲンが混入する場合がある |
| 屋外作業・農作業中の虫刺され | スズメバチ・アシナガバチに刺された際の蜂毒アレルギー。2回目以降の刺傷でアナフィラキシーが発生するリスクが高まる |
| 持参弁当・間食 | 本人が持参した食品で発症するケースも。他の利用者からの分け合いにも注意が必要 |
B型では事業所が直接食事を提供しない場合も多いですが、試食や持参弁当の場面でのリスクは共通して存在します。農作業を行う事業所では、蜂刺されへの対応を特に重点的に研修します。
契約時に把握するアレルギー情報の4項目
アレルギーへの対応は、事前の情報把握が出発点です。利用契約時・アセスメント時に次の4項目を確認します。
| 確認項目 | 確認の理由 |
|---|---|
| アレルゲンの種類(食品・蜂毒・その他) | 対応が必要な場面を特定するため。食品の場合は具体的な食材名まで確認する |
| 過去のアレルギー反応歴(アナフィラキシーを起こしたことがあるか) | アナフィラキシーの既往があれば、エピペン所持の可能性が高い。重篤化リスクの判断に使う |
| エピペンの所持の有無と保管場所 | エピペンがある場合は、どこに保管するか(利用者が携帯するか・事業所で預かるか)を本人・家族と決める |
| 主治医・かかりつけ薬局の連絡先 | アナフィラキシー発生時に医療機関への連絡先を事前に把握しておくため |
アレルギー情報は個人情報です。必要な範囲の職員(担当者・送迎担当・管理者)に共有します。農作業担当の職員が蜂アレルギーの利用者の情報を知らない状態は、緊急時に対応できないリスクを生みます。
アナフィラキシーと通常のアレルギー反応の違い
アレルギー反応には軽度のものとアナフィラキシー(重篤な全身反応)があります。対応が変わるため、職員が見分けられるようにします。
| 区分 | 主な症状 | 対応 |
|---|---|---|
| 軽度のアレルギー反応 | 皮膚のかゆみ・じんましん(皮膚だけに症状が出ている)。呼吸・血圧に変化なし | 作業を中断し安静にさせる。症状が広がるようであれば医療機関へ。主治医に連絡して指示を仰ぐ |
| アナフィラキシー(重篤) | 皮膚症状に加え、呼吸困難・喉の締め付け感・血圧低下・意識の低下・嘔吐・顔面蒼白のいずれかを伴う | 即座に119番通報。エピペンがあれば使用。横に寝かせて下肢を上げる(意識があり嘔吐がない場合) |
「じんましんだけ出ている」段階では経過観察が可能ですが、呼吸や意識に変化が出た時点でアナフィラキシーと判断して119番通報します。「様子をみよう」という判断がアナフィラキシーで致命的な遅れにつながります。判断に迷ったら通報を優先します。
エピペンの補助は医療行為に当たらない
エピペン(アドレナリン自己注射薬)は、本人がアナフィラキシーの症状が出たときに自分で使うための薬です。本人が自分で注射できない状態のとき、職員が補助することができます。
厚生労働省は、本人の処方に基づくエピペンを、本人の意思に基づいて職員が補助することは医療行為に当たらないとしています。ただし、次の条件が必要です。
- 本人が所持・処方されているエピペンであること
- 本人がアナフィラキシーの状態にあること(症状が出ている状態)
- 本人または家族から事前に使い方の説明を受けていること
- 本人が自分では注射できない状況であること
エピペンの補助手順は次のとおりです。
- エピペンを取り出す:利用者が携帯しているか、預かっている場所から取り出す
- 太ももの外側に押し当てる:衣服の上からでも可。青いキャップを外し、オレンジ色の先端を太もも外側に押し付けて「カチッ」と音がするまで押す
- 3秒間押し続ける:押し当てたまま3秒数える
- 抜いてから揉む:注射した部位を10秒程度揉む
- 119番に連絡する(使用後も必ず通報):エピペンを使用したあとも医療機関への搬送が必要。エピペンの効果は15〜20分程度のため、その間に救急車を呼ぶ
研修ではエピペンのトレーナー(練習用)を使って実際の操作を体で確認します。「見たことがある」ではなく「やったことがある」状態にしておくことが、緊急時に動ける準備です。
農作業での蜂刺され対応
B型で農作業を行う事業所では、スズメバチ・アシナガバチによる刺傷のリスクがあります。蜂毒アレルギーは2回目以降の刺傷でアナフィラキシーが発症しやすいため、過去に刺されたことのある利用者や職員は特に注意が必要です。
蜂に刺されたときの対応手順は次のとおりです。
- その場から離れる:刺された場所に留まると追加刺傷のリスクがある。蜂の巣から速やかに遠ざかる
- 刺し口を確認する:ミツバチの場合は毒針が刺さったまま残ることがある。毛抜きではなく爪などで横にはじいて取り除く(毒袋を押さないよう注意)
- 流水で洗い流す:患部を水で洗い流す
- 症状を観察する:刺された直後から30分間は症状の変化を注意深く観察する。じんましん・呼吸困難・気分不良が出た場合はアナフィラキシーを疑う
- アナフィラキシーの症状が出たら119番通報・エピペン使用:蜂アレルギーの既往がありエピペンを所持している場合は、症状確認後すぐに使用し119番通報する
農作業を行う事業所では、作業前に利用者・職員の蜂アレルギーの有無を把握しておくことが安全管理の基本です。農地の下見で蜂の巣を確認する習慣をつけることも予防につながります。
研修で確認する3つのこと
- 利用者のアレルギー情報を全担当者で確認する:アレルゲン・エピペン所持の有無・過去のアナフィラキシー歴を担当者全員が把握しているかを確認する。名前だけでなく「どんな場面でリスクがあるか」まで共有する
- エピペントレーナーで操作を確認する:エピペン所持者がいる事業所では、トレーナーを使って実際の補助手順を全員で確認する。所持者がいない事業所でも、将来に備えて一度は確認しておく
- アナフィラキシーの判断基準と119番のタイミングを確認する:「じんましんだけ→経過観察、呼吸や意識に変化→即119番」という基準を声に出して確認する
まとめ
就労継続支援B型のアレルギー対応研修では、昼食・農作業での試食・蜂刺されという3つの場面を全職員で確認します。契約時にアレルゲン・エピペン所持・過去のアナフィラキシー歴を把握し、担当者全員が情報を持っていることが対応の前提です。アナフィラキシーは皮膚症状に加えて呼吸・意識・血圧に変化が出た段階で119番通報します。エピペンの補助は医療行為に当たらず、本人の処方薬を本人の意思に基づいて職員が補助することは認められています。研修ではエピペントレーナーで実際の操作を体で確認します。
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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第28条・第40条・第202条。エピペンの補助に関する医療行為の取り扱いについては厚生労働省の関連通知を参照してください。作成日:2026年10月。


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