飲食店の仕入れ管理・発注方法。原価率1pt改善で月3.2万円・年38万円の損益改善になる。

飲食店の仕入れ管理・発注方法。原価率1pt改善で月3.2万円・年38万円の損益改善になる。 飲食店の開業

飲食店の仕入れ管理は「週次の発注計画」「在庫の見える化」「発注量の最適化」の3点が基本です。公庫の記入例(洋風居酒屋・月商322万円)では食材原価が月112.7万円(35%)で、仕入れコストの1%改善(原価率35%→34%)で月3.2万円・年38.4万円の損益改善になります。仕入れ管理で発生しやすいコストのムダは「発注量の見積もり誤り」「仕入れ先が分散して交渉力がない」「季節・曜日の需要変動を無視した定量発注」の3つです。

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飲食店の仕入れ管理の基本3ステップ

飲食店で仕入れコストを適正に管理するための3つのステップを整理します。

第1ステップは「週次の予測客数から必要な仕入れ量を計算する」ことです。先週の同曜日の客数・注文傾向から翌週の仕込み量と発注量を逆算します。

仕入れ量の計算式:
発注量 = 予測客数 × 1人あたりの平均使用量 × (1 + バッファ率5〜10%) − 現在の在庫量

この計算を食材ごとに行うことで「念のため多め」の積み重ねを防げます。

第2ステップは「在庫を見える化する」ことです。冷蔵庫・冷凍庫・ドライエリアの食材量を定期的に記録します。在庫量が分からないまま発注すると「ある食材が二重発注されて余る」「ない食材に気づかず品切れが起きる」が繰り返されます。

第3ステップは「発注先・単価を定期的に見直す」ことです。同じ食材でも複数の卸業者・市場・スーパーを比較することで、単価が変わる場合があります。開業時に決めた仕入れ先をそのまま使い続けることは、コストの見直しの機会を逃すことになります。

食材の発注サイクルと在庫リスクの関係

食材の発注頻度(サイクル)によってコストと廃棄リスクが変わります。

発注サイクル 在庫リスク 主なコスト 向いている食材
毎日(日次) 低い(在庫を最小化できる) 発注の手間・配送費が増える 鮮度が落ちやすい刺身・生野菜
週2〜3回 中程度 発注・検品の手間が週次より少ない 精肉・チルド食品
週1回 やや高い(週初めに在庫が増える) 発注の手間が少ない。まとめ割引が使いやすい 調味料・乾物・冷凍食材
月1回 高い(廃棄・消費期限切れのリスク) 発注の手間は最も少ない 常温で保存できる缶詰・ドリンク類

生鮮品(魚・肉・野菜)は日次〜週2〜3回の発注が廃棄ロスを減らす基本です。消費量の多い食材を週1回まとめて発注すると量販割引が使える場合もありますが、在庫が増えて廃棄ロスが発生するリスクとのバランスを見ます。

仕入れコストを下げる5つの方法

飲食店の仕入れコスト(原価率)を下げるために実施しやすい方法を整理します。

方法 効果の目安 注意点
卸業者を2〜3社に絞ってまとめ発注する 単価を1〜3%程度引き下げられる場合がある 1社に集中しすぎると価格交渉力が落ちる
単価交渉のタイミングを作る 月・季節単位で単価を見直す 月間仕入れ額が30〜50万円以上になると交渉しやすい
季節食材・旬のものを活用する 旬の食材は単価が下がる場合がある メニューの変更頻度が上がる
低回転メニューの食材を絞る 廃棄ロスが減り実質の原価率が下がる メニュー数が減ると選択肢が絞られる
食材を複数メニューで使い回す 廃棄ゼロを目指した食材活用率が上がる メニューの設計(エンジニアリング)が必要

仕入れコストが原価率に与える影響の試算

月商322万円(公庫の記入例)で原価率を1pt下げた場合の損益改善を確認します。

原価率 月次の食材原価 月次損益 年間の損益(固定費161.7万円)
35%(現状) 112.7万円 47.6万円 571.2万円
34%(-1pt改善) 109.5万円 50.8万円 609.6万円
33%(-2pt改善) 106.3万円 54.0万円 648.0万円
32%(-3pt改善) 103.0万円 57.3万円 687.6万円

原価率を1pt下げると月次損益が3.2万円・年間38.4万円改善します。3pt改善(35%→32%)では年間116.4万円の損益改善になります。仕入れコストの改善は、値上げや集客施策なしに取り組める改善策の一つです。

発注管理に使えるツールの種類

飲食店の発注管理には以下のツールが使われています。

ツール コスト 特徴
紙・ホワイトボードの発注リスト ほぼ0円 シンプルで始めやすい。見やすいが集計・分析が手作業
Excelやスプレッドシート 0〜月額数百円 在庫・発注量の計算が自動化できる。初期設定に時間がかかる
飲食店向け在庫・仕入れ管理アプリ 月額5,000〜2万円程度 POSレジと連携して在庫を自動更新できるものもある

開業直後はExcel・スプレッドシートで管理し、売上が安定してから在庫管理アプリへ移行するのが初期コストを抑えながら管理精度を上げる現実的な手順です。

原価率を下げる方法全体については飲食店の原価率を下げる方法で詳しく説明しています。廃棄ロスの削減については廃棄ロスを減らす3つの管理方法をあわせて参照してください。

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本記事の数値は公庫の創業計画書記入例(洋風居酒屋・2025年4月版)をもとに計算しています。在庫管理アプリの費用は各サービスの公表情報をもとにした参考値です。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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