飲食店では収容人員が30人以上になると、消防法に基づく防火管理者の選任が義務になります。「30人」は客席の定員ではなく、スタッフを含めた収容人員で数えます。25席の店舗でも調理・ホール合わせて5人以上のスタッフがいれば30人に達するため、座席数だけで判断するのは危険です。防火管理者には甲種と乙種があり、収容人員300人以上または延べ面積1,000㎡以上の大規模施設は甲種、それ以外は乙種の取得で対応できます。
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収容人員30人以上の飲食店に防火管理者の選任義務がある
消防法第8条および消防法施行令第3条の規定により、一定規模以上の建物の管理権原者(オーナー等)は防火管理者を選任し、所轄消防署長に届け出なければなりません。飲食店(飲食店業)の場合、収容人員が30人以上になると選任義務が生じます。
防火管理者の役割は、消防計画の作成・避難訓練の実施・消防用設備の点検・日常の火気管理などです。選任された防火管理者が消防計画を作成し、消防署に提出します。
防火管理者は施設の代表者や管理者本人が務めることが多いですが、資格を持ったスタッフが担うことも可能です。ただし、防火管理者はその施設の業務を適切に遂行できる立場(権限が与えられている)にある人を選任する必要があります。
「収容人員」の数え方、席数ではなく施設全体で数える
消防法の「収容人員」は、客席に座れる人数(定員)だけで計算するものではありません。施設の種類によって計算方法が定められており、飲食店の場合は客席の定員にスタッフの従業者数を加えた人数が収容人員になります。
| 計算の考え方 | 例(25席の店舗・スタッフ6人の場合) |
|---|---|
| 客席の定員(座席数) | 25人 |
| スタッフ(調理・ホール合計) | 6人 |
| 収容人員の合計 | 31人 → 30人以上に該当 |
25席の店舗でも、正社員・パート・アルバイトを合わせてスタッフが5人以上いれば収容人員は30人を超えます。小規模に見える店舗でも、実態として義務が生じるケースは少なくありません。
収容人員の具体的な計算方法は消防法施行規則の規定で定められています。詳細な計算方法は所轄の消防署に確認してください。
甲種と乙種の違いは施設の規模と構造
防火管理者の資格には甲種と乙種があります。どちらを取得すべきかは、施設の規模と収容人員によって変わります。
| 種別 | 対象施設の目安 | 講習の日数(目安) |
|---|---|---|
| 甲種防火管理者 | 収容人員300人以上、または延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物 | 2日間 |
| 乙種防火管理者 | 上記以外(収容人員30人以上300人未満の小規模施設など) | 1日間 |
開業する飲食店の延べ面積や収容人員が甲種の基準に達しない場合は、乙種の取得で義務を満たすことができます。一般的な小規模飲食店(25〜50席程度)では乙種で対応できるケースが多いです。ただし、テナントビルの構造や用途区分によって判断が変わることがあります。所轄消防署に確認することをおすすめします。
また、甲種防火管理者の資格があれば乙種の義務も満たせます。将来的に複数店舗を展開する予定があるなら、最初から甲種を取得しておく選択肢もあります。
防火管理者の講習費用と受講場所
防火管理者の資格は、各都道府県の消防署・消防局が指定した機関が開催する講習を修了することで取得できます。費用は開催機関・都道府県によって異なりますが、東京消防庁の例では甲種が約6,000円、乙種が約5,000円程度です(受講時に最新の費用を確認してください)。
| 種別 | 費用の目安 | 日数 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 甲種防火管理者 | 5,000〜7,000円程度(機関による) | 2日間 | 防火計画の作成・火気管理・消防設備・避難訓練の実施方法 等 |
| 乙種防火管理者 | 4,000〜6,000円程度(機関による) | 1日間 | 乙種の範囲(甲種の一部) |
※費用は目安です。受講前に各消防署・指定機関に確認してください。
修了証は一度取得すれば有効期限はありません。ただし、防火管理講習の修了後は、5年ごとに「再講習」を受けることが義務付けられています(甲種・乙種ともに)。再講習を受けなくても資格が失効するわけではありませんが、法令上の義務として消防法で定められています(詳細は所轄消防署に確認してください)。
防火管理者の選任届は所轄消防署に提出する
防火管理者を選任したら、「防火管理者選任(解任)届出書」を所轄の消防署に提出します。届出に必要なものは次のとおりです。
| 提出書類・必要事項 | 内容 |
|---|---|
| 防火管理者選任(解任)届出書 | 所定の様式(消防署に備え付け・または各消防署のウェブサイトからダウンロード) |
| 講習修了証のコピー | 甲種または乙種の修了証 |
| 消防計画(作成・変更する場合) | 防火管理者が消防計画を作成・届出する場合に添付 |
届出手数料はかかりません。提出のタイミングに法定の期限はありませんが、開業後できるだけ早く届け出ることが望ましいです。消防法の義務規定であるため、選任・届出をしないままでいると罰則(消防法第44条・過料)の対象になる可能性があります。
テナントビルで開業する場合は、ビル全体の防火管理者(ビルオーナー側)と各テナントの防火管理者の関係が複雑になることがあります。テナント入居前に管理会社やビルオーナーと義務の分担を確認しておくと安心です。
開業スケジュールへの組み込み方
防火管理者の講習は予約制で、希望の日程がすぐに埋まることがあります。開業前に余裕を持って申し込むことが重要です。一般的には開業の2〜3か月前を目安に申し込みを済ませておくことをおすすめします。
飲食店の開業に必要な許認可の全体的な流れは、飲食店の開業スケジュールと準備期間の費用にまとめています。食品衛生責任者の取得(食品衛生責任者の取得方法と費用)、防火管理者の選任、営業許可の申請を並行して進めることで、開業日までの準備を効率よく進められます。
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本記事は消防法第8条・消防法施行令第3条の規定と、東京消防庁等の公開情報をもとにしています。収容人員の計算方法・甲種・乙種の判断・講習費用は施設の条件・都道府県・開催機関によって異なります。詳細は所轄の消防署に必ずご確認ください。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。


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