認知症対応型共同生活介護(認知症GH)は、令和6年4月の介護報酬改定で複数の改正が行われました。基本報酬の改定・新加算の創設・既存加算の要件変更など、経営に直結する内容を整理します。
令和6年改定の全体像
令和6年度の介護報酬改定では、全サービス平均で+1.59%の改定率でした。認知症GHについては、基本報酬の見直しのほか、認知症専門ケア加算の要件変更・処遇改善加算の一本化が主な変更点となっています。
基本報酬の改定(令和6年告示第128号)
令和6年改定後の認知症GHの基本報酬単位数は以下のとおりです。
| 要介護度 | 改定前(R3年度〜) | 改定後(R6年4月〜) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 752単位/日 | 760単位/日 | +8単位 |
| 要介護2 | 787単位/日 | 796単位/日 | +9単位 |
| 要介護3 | 810単位/日 | 818単位/日 | +8単位 |
| 要介護4 | 827単位/日 | 836単位/日 | +9単位 |
| 要介護5 | 843単位/日 | 852単位/日 | +9単位 |
なお、単位数は1ユニット(7〜9名)の場合の数値。2ユニット以上の場合は別途単位数が定められています。
処遇改善加算の一本化
令和6年改定では、従来3種類あった処遇改善加算が一本化(介護職員等処遇改善加算)されました。一本化後の主な変更点は以下のとおりです。
- 旧・介護職員処遇改善加算、旧・特定処遇改善加算、旧・ベースアップ等支援加算が統合
- 区分はI〜IVの4段階(旧制度のIが最上位に相当)
- 令和6年3月31日時点で従来加算を取得していた事業所は、経過措置として旧区分での算定も可能(令和7年3月31日まで)
一本化後も、処遇改善加算の算定は収益に直結する重要な取り組みです。区分IやIIを取得するための要件(賃金体系の整備・研修計画の策定等)を早期に満たすことが望ましいとされています。
認知症専門ケア加算の要件変更
令和6年改定で、認知症専門ケア加算の要件が一部見直されました。
| 区分 | 主な要件(令和6年4月〜) | 単位数 |
|---|---|---|
| 認知症専門ケア加算I | 認知症の方の割合50%以上、認知症介護実践リーダー研修修了者の配置 | 3単位/日 |
| 認知症専門ケア加算II | 認知症の方の割合20%以上、認知症介護指導者養成研修修了者の配置 | 4単位/日 |
その他の主な変更点
- 看取り介護加算の見直し:算定要件・単位数の一部変更
- 協力医療機関連携加算の新設:協力医療機関との連携体制を整備した場合の加算(40単位/月)
- 認知症介護基礎研修の義務化:令和6年4月から無資格の介護職員に義務付け
加算の全体像は「加算一覧」、処遇改善加算の詳細は「処遇改善加算」で確認できます。令和6年改定後の収支の試算は「認知症グループホーム収支シミュレーター」をご活用ください。
協力医療機関連携加算の新設
令和6年改定で新設された加算の一つに「協力医療機関連携加算」があります。この加算は、協力医療機関との連携体制を構築・維持している事業所に算定できます。
| 区分 | 主な要件 | 単位数 |
|---|---|---|
| 協力医療機関連携加算 | 1年に1回以上、入居者情報の共有と対応確認を協力医療機関と実施 | 40単位/月 |
協力医療機関との連携については「協力医療機関との連携体制」で詳しく解説しています。
テクノロジー活用の推進
令和6年改定では、介護現場へのテクノロジー活用を促進する方向性が示されました。認知症GHにも関係する内容として以下があります。
- 見守り機器の活用:センサーマット・カメラ型見守りシステムの導入を評価する加算の整備が検討中(次期改定以降)
- 記録の電子化推進:介護記録・ケアプランの電子化が業務効率化として奨励されている
- インカムの活用:職員間のコミュニケーションを効率化するインカムや連絡ツールの導入支援
令和6年改定後の次期改定(令和9年)に向けた動向
介護報酬は原則3年ごとに改定されます。次の改定は令和9年(2027年)が予定されており、以下のテーマが議論されています。
- 認知症高齢者のさらなる増加に対応したサービス体制の強化
- テクノロジー活用による人員基準の見直し(配置基準の柔軟化)
- 処遇改善加算の水準引き上げ
- 地域密着型サービスの再定義(市区町村の関与強化)
加算の全体像は「加算一覧」、処遇改善加算の詳細は「処遇改善加算」で確認できます。令和6年改定後の収支の試算は「認知症グループホーム収支シミュレーター」をご活用ください。
認知症介護基礎研修義務化の実務対応(詳細)
令和6年4月から義務化された認知症介護基礎研修について、開業後の実務対応のポイントを整理します。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 令和6年3月31日以前から従事している無資格職員 | 令和8年3月31日まで(経過措置)に修了 |
| 令和6年4月1日以降に採用した無資格職員 | 採用後おおむね1年以内に修了 |
| 介護福祉士・実務者研修修了者・初任者研修修了者等 | 免除(認知症の研修に相当する科目があるため) |
未受講者がいる場合、実地指導で指摘される可能性があります。採用時に研修状況を確認し、スケジュールを管理することが重要です。
令和6年改定のまとめ
令和6年4月改定での主な変更を一覧にまとめます。
- 基本報酬:各要介護度で+8〜+9単位(約1〜1.2%の引き上げ)
- 処遇改善加算一本化(旧3加算→新・介護職員等処遇改善加算I〜IV)
- 協力医療機関連携加算の新設(40単位/月)
- 認知症専門ケア加算の要件見直し
- 認知症介護基礎研修の義務化(令和6年4月〜)
加算の全体像は「加算一覧」、処遇改善加算の詳細は「処遇改善加算」で確認できます。
まとめ
令和6年4月の介護報酬改定では、認知症GHの基本報酬が各要介護度で8〜9単位引き上げられたほか、処遇改善加算の一本化・協力医療機関連携加算の新設・認知症介護基礎研修の義務化など多くの変更がありました。改定内容を正確に把握し、処遇改善加算の区分引き上げ・新設加算の算定開始に取り組むことが収益改善につながります。令和6年改定後の収支については「認知症グループホーム収支シミュレーター」で試算できます。次の改定(令和9年予定)に向けて、テクノロジー活用・人員基準の動向も引き続き注視していきましょう。加算の全体像は「加算一覧」でご確認ください。
令和6年改定後の経営改善のポイントは、処遇改善加算I・IIの算定・協力医療機関連携加算の取得・認知症専門ケア加算の維持にあります。これらを組み合わせることで基本報酬の引き上げ分を超える収益改善が期待できます。各加算の要件確認・届出の準備を早期に進めることが重要です。加算の全体像は「加算一覧」、処遇改善加算は「処遇改善加算」で確認できます。
令和6年改定の一次資料は令和6年厚生労働省告示第128号(介護保険の給付費の算定に関する基準)です。処遇改善加算の一本化については令和6年厚生労働省告示第128号・関連通知(老振発0315第2号等)に規定されています。改定前の単位数は令和3年厚生労働省告示第72号で、令和3年4月1日から適用されたものです。改定内容の最新情報は厚生労働省「介護報酬改定について」のページ(厚生労働省ウェブサイト)でも確認できます。
令和6年改定後の収支の試算は「認知症グループホーム収支シミュレーター」でご確認ください。加算の算定状況によって収支は大きく変わります。処遇改善加算IやII・認知症専門ケア加算・協力医療機関連携加算を組み合わせた場合のシミュレーションに活用してください。

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