GH包括型の減価償却費3.7%(146万円)が他サービスより高い理由と経営への影響

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厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)のデータを見ると、グループホーム包括型の減価償却費は平均1,467千円(収入比3.7%)で、通所系サービス(放デイ2.7%・就労移行支援2.2%)より高い水準です。GHは住居の確保が必須のサービスであるため、施設(建物・設備)への投資が費用として計上される割合が高くなります。

7サービスの減価償却費比較

サービス 減価償却費(千円) 収入比率
GH日中型 2,659千円 4.6%
短期入所 396千円 4.5%
GH包括型 1,467千円 3.7%
生活介護 3,286千円 4.1%
放デイ 840千円 2.7%
児発 547千円 2.5%
就労移行支援 628千円 2.2%

減価償却費率が高いのは、GH日中型(4.6%)・短期入所(4.5%)・生活介護(4.1%)・GH包括型(3.7%)です。入所・居住型サービスは施設費用が大きく、通所型(放デイ・児発・就労移行支援)は相対的に低い傾向があります。

GH包括型の減価償却費が高い理由

住居(建物)への投資が必須:GHは障害者の「住まい」を提供するサービスです。法人が建物を所有している場合、建物の取得費用が減価償却(毎年の費用計上)として収支に反映されます。建物(鉄筋コンクリート造47年・木造22年等)の耐用年数に応じて毎年費用が発生します。

設備投資の計上:入居者が生活する上で必要な設備(浴室・調理設備・福祉用具等)の取得費用も減価償却費として計上されます。

賃貸でも「敷金・礼金」等が発生する場合:法人が建物を賃借している場合は減価償却費ではなく家賃として計上されますが、賃借権等の無形固定資産(保証金・礼金等)を計上する場合は減価償却の対象になることがあります。

減価償却費が収支差率に与える影響

減価償却費は「キャッシュが出ない費用(非現金費用)」です。損益計算上は費用として収支差率を下げますが、実際の現金は出ていません(建物取得時に既に支出済み)。

GH包括型の年収3,990万円・収支差率6.9%(差額275万円)において、減価償却費1,467千円(147万円)を加えたキャッシュフローは275万円+147万円=422万円になります。損益上の収支差率(6.9%)よりも、実際のキャッシュ創出能力は高い(10.6%相当)ことになります。

このため、減価償却費が高いサービス(GH・生活介護)は「損益上の収支差率は低いが、実際のキャッシュフロー(収益力)は高い」という状態になることがあります。

GH包括型とGH日中型の減価償却費の違い

GH包括型(3.7%・1,467千円)とGH日中型(4.6%・2,659千円)を比較すると、日中型の減価償却費が81%高い水準です。これはGH日中型が日中活動スペースを確保する必要があるため、施設規模が大きく施設投資が多いことが要因です。

GH日中型の平均年収(5,803万円)はGH包括型(3,990万円)より45%多いですが、減価償却費は81%多い。施設の規模に比例して投資額が増えていることが読み取れます。

GH包括型から日中型に転換する際は、日中活動スペースの確保(施設改修・増床)による減価償却費の増加も考慮する必要があります。試算では、日中スペースの整備で1,000〜2,000万円程度の追加投資が必要になるケースがあり、これが毎年200〜400千円の減価償却費増加につながります。

新規開設時の施設投資と減価償却費の試算

GH包括型を新規開設する際の施設投資額と減価償却費の関係を試算します。

  • 賃貸型(建物を借りる):減価償却費は少ない。代わりに家賃(月20〜40万円程度)が毎月発生する。収支は安定しやすいが、長期的な費用総額は大きくなる場合がある
  • 建設型(建物を建てる・取得する):取得費用(例:1億円)を47年で減価償却すると毎年213万円が費用計上される。初期投資は大きいが長期的には家賃よりコストが低くなる場合がある。減価償却が終わると費用が減り収支差率が改善する
  • 古い建物(残存価値が低い)を活用する:減価償却費が少なく抑えられるが、修繕費が増加するリスクがある

開設から数年は減価償却費が発生しますが、稼働率が上がるにつれて収入が増え、収支差率は改善します。減価償却費率3.7%は全国平均ですが、開設初期は固定費が多く、5〜10年後に安定するケースが一般的です。

建設型のGHでは減価償却が完了(耐用年数経過後)すると、毎年の費用が大幅に減少します。1億円投資のGHで47年後に減価償却が完了すると、それまで毎年213万円だった費用が消え、収支差率は3〜4ポイント改善します。

GH包括型で減価償却費を確認するポイント

自事業所の減価償却費率が全国平均(3.7%)と大きく乖離している場合は次の点を確認します。

  • 3.7%を大きく上回る(5%以上)場合:施設投資が大きい(新築・大規模改修直後)・建物規模が大きい等の要因が考えられる。キャッシュフローが健全であれば問題ないが、借入返済との整合を確認する
  • 3.7%を大きく下回る(1%以下)場合:賃貸型の場合は正常。しかし建物を所有している事業所で著しく低い場合は、会計処理の確認が必要な可能性がある

減価償却費は毎年一定額が費用計上される安定した費用項目です。人件費・外注費と合わせた費用の全体像を把握することで、収支差率の構造を正確に理解できます。

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出典:厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。減価償却費の耐用年数・計上方法については税務・会計の専門家にご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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