生活介護の法定研修 義務テーマと年間回数の一覧

生活介護の研修は、何が義務で、年に何回か。基準と解釈通知で確かめた一覧。 生活介護

生活介護で、基準が研修・訓練・委員会を義務にしているのは、虐待防止・身体拘束の適正化・感染症と食中毒・業務継続計画(BCP)・非常災害の5つです。回数は、国の解釈通知で、虐待防止と身体拘束の研修が年1回以上(新しく採用したときは必ず)、感染症の研修と訓練が年2回以上、BCPの研修と訓練が年1回以上とされています。委員会は、虐待防止と身体拘束がそれぞれ少なくとも1年に1回、感染対策はおおむね3か月に1回以上です。

生活介護は、障害支援区分3以上(区分5・区分6が中心)の重度障害者に、日中の活動支援と介護を提供するサービスです。利用者の障害が重いほど、職員が適切な支援技術・知識を持つことの重要性が高まります。基準で義務とされている5テーマに加え、「日中活動とQOL」「行動障害」「意思決定支援」などのテーマが、実際の支援の質を左右します。この記事では、生活介護の研修義務を基準の条文と解釈通知でたどり、回数・根拠・減算を整理しました。

回数の一覧は、5つのテーマで表1枚になる

先に答えをまとめます。ページは、国の解釈通知(障発第1206001号、最終改正 令和7年3月31日)のPDFのページです。

テーマ 研修 訓練 委員会 解釈通知の参照先
虐待防止 年1回以上。新規採用時には必ず なし 少なくとも1年に1回 第三の3の(31) p.71〜74
身体拘束の適正化 年1回以上。新規採用時には必ず なし 少なくとも1年に1回 第三の3の(26) p.63〜66
感染症・食中毒 年2回以上。新規採用時には必ず 年2回以上 おおむね3か月に1回以上 第五の3の(9)→「療養介護と同趣旨」→第四の3の(20) p.100〜104
業務継続計画(BCP) 年1回以上。新規採用時には別に行うことが望ましい 年1回以上 定めなし 第三の3の(23) p.57〜59
非常災害 定めなし 定期的に(回数の定めなし) 定めなし 第四の3の(19) p.99〜100

出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日)。表は当方が解釈通知の原文を整理したものです。回数の原文は下で引用します。

虐待防止の研修の原文は、「職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定居宅介護事業所の虐待防止委員会が作成した研修プログラムを実施し、定期的な研修を実施(年1回以上)するとともに、新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが重要である。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.73)です。身体拘束の研修は、「職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定居宅介護事業所が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修を実施(年一回以上)するとともに、新規採用時には必ず身体拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.66)とされています。

感染症は、研修と訓練の両方が年2回以上です。「職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該指定療養介護事業所が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず感染対策研修を実施することが重要である。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.103)「平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要である。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.103)

BCPは、研修も訓練も年1回以上です。「従業者教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.59)「感染症や災害が発生した場合に実践する支援の演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.59)

委員会は、虐待防止と身体拘束が「なお、虐待防止委員会は、少なくとも1年に1回は開催することが必要である」、「身体拘束適正化検討委員会は、少なくとも1年に1回は開催することが必要である」とされ、感染対策委員会は「おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.101)とされています。

感染症の回数は、解釈通知を2回たどる

生活介護の研修・委員会・訓練の義務は、基準(省令)の各条文(虐待防止第84条の2・身体拘束第82条の2・BCP第81条の2・感染症第90条・非常災害第88条)に直接書かれています。解釈通知は、生活介護の項(第五)で、これらの条文について説明しています。

感染症について、解釈通知の生活介護の項は、療養介護の項(第四)を参照するよう示しています。そのため、感染症の回数は、療養介護の項に書かれた「年2回以上」「おおむね3か月に1回以上」になります。居宅介護の項(年1回以上・おおむね6月に1回以上)と取り違えやすいところです。

解釈通知の文中にある「指定居宅介護事業所」「指定療養介護事業所」は、生活介護の事業所に当てはめて読みます。条文の準用の範囲は、e-Gov法令検索の現行の条文(令和7年10月1日施行)で確かめています。

生活介護だけの研修テーマ:日中活動とQOL

生活介護は、1日の多くの時間を事業所で過ごす重度障害者に、創作的活動・生産活動・その他の活動の機会を提供します。利用者の障害支援区分が高いほど、職員の関わり方によって本人の生活の質(QOL)が大きく変わります。

「日中活動とQOL」は、個別支援計画に基づいた活動の計画・記録・評価の方法、本人の意思と選択を尊重した活動支援、身体状態の変化への気づきと記録などを扱います。運営指導では、個別支援計画の実施状況と記録の整合性、利用者の意向が計画に反映されているかが確認されます。

当方の法定研修・訓練キット(生活介護版)では、「日中活動とQOL」テーマの研修資料・確認テスト・受講記録を作れます。義務5テーマ+追加7テーマの計12テーマが1つのキットに入っています。

新しく採用した職員には、虐待防止・身体拘束・感染症の研修を必ず行う

虐待防止・身体拘束・感染症の3つは「新規採用時には必ず」、BCPは「新規採用時には別に研修を実施することが望ましい」とされています。年1回の研修をすでに終えた年度の途中で入った職員にも、入ったときに研修を行います。サービス提供職員(生活支援員・看護職員等)だけでなく、短い時間だけ働くパートの職員も従業者です。

入職のたびに全体の研修を開くのは大変なので、資料を読んで確認テストを受けてもらい、結果を記録する形が現実的です。研修は講義に限られません。

研修は講義に限らないが、配るだけでは研修にならない

高知市の集団指導資料は、研修を次のように説明しています。「研修とは・・・・・職員のスキルアップや知識向上を目的とした機会の提供。(講義、動画視聴、eラーニング等)」(出典:高知市「令和7年度 集団指導資料」(高知市指定障害サービス事業所向け) p.27) 一方で、BCPについて、運営指導で確認された不適切な事例として、「業務継続計画の周知(配布や回覧)のみで研修を実施したと認識している。」(出典:高知市「令和7年度 集団指導資料」(高知市指定障害サービス事業所向け) p.10)を挙げています。

記録についても、具体的に示しています。「研修や訓練は定期的に行い、実施後は実施日時、参加者、具体的な実施内容、資料、欠席した従業者への周知方法等も含め記録を残してください。」(出典:高知市「令和7年度 集団指導資料」(高知市指定障害サービス事業所向け) p.10) 欠席した職員への周知の方法まで記録する、という点は見落としやすいところです。

研修を外で受けることもできます。虐待防止の研修について、解釈通知は「なお、研修の実施は、施設内で行う職員研修及び協議会又は基幹相談支援センター等が実施する研修に事業所が参加した場合でも差し支えない。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.73)としています。身体拘束の研修は、虐待防止の研修の中で扱えば、実施したものとみなせます。「虐待防止に関する研修において身体拘束等の適正化について取り扱う場合は、身体拘束等の適正化のための研修を実施しているものとみなして差し支えない。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.66) ただし、高知市の資料は、一体で行ったのに両方の内容が含まれていない例を、不適切な事例に挙げています。「身体拘束適正化及び虐待防止のための研修を一体的に実施しているが、両方の内容が含まれていない。」(出典:高知市「令和7年度 集団指導資料」(高知市指定障害サービス事業所向け) p.14)

委員会は一体で開けるが、記録は5年間残す

虐待防止委員会と身体拘束適正化検討委員会は、一体で設置・運営できます。解釈通知は、虐待防止委員会について、「身体拘束等適正化検討委員会と関係する職種等が相互に関係が深いと認めることも可能であることから、虐待防止委員会と一体的に設置・運営することも差し支えない。」としています。また、委員会の対応状況を記録し、5年間保存するよう求めています。「なお、虐待防止委員会における対応状況については、適切に記録の上、5年間保存すること。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.72) 虐待防止委員会の構成員には、「虐待防止委員会の構成員には、利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者等も加えるよう努めるものとする。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.71)とされています。

小さな事業所でも開けるよう、人数や単位にも配慮されています。「虐待防止委員会の開催に必要となる人数については事業所の管理者や虐待防止担当者(必置)が参画していれば最低人数は問わないが、委員会での検討結果を従業者に周知徹底することが必要である。」(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日) p.71) 事業所単位でなく、法人単位で設置することもできます。

足りないと、生活介護は所定単位数の1%〜5%が減算になる

令和6年度の報酬改定で、委員会・研修・計画・情報公表の報告などが足りない場合の減算が、新しく設けられたり見直されたりしました。生活介護(訪問・通所系)に関係するものは次のとおりです。

減算 生活介護の減算の大きさ 主な条件
虐待防止措置未実施減算 所定単位数の1% 虐待防止委員会の定期開催と周知・研修の定期実施・担当者の配置のどれかが欠けている
身体拘束廃止未実施減算 所定単位数の1%(施設・居住系は10%) 身体拘束の記録・委員会・指針・研修のどれかが欠けている
業務継続計画未策定減算 所定単位数の1%(施設・居住系などは3%) 業務継続計画を策定し、計画に従い必要な措置を講じていない
情報公表未報告減算 所定単位数の5%(施設・居住系などは10%) 情報公表の報告をしていない

出典:厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(令和6年2月6日)、厚生労働省・こども家庭庁「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)。表は当方が要約したものです。

虐待防止措置未実施減算の原文は、「次の基準を満たしていない場合に、所定単位数の1%を減算する。」(出典:厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(令和6年2月6日) p.12)です。身体拘束は、手引きが「訪問・通所系サービスについて、減算額を5単位から所定単位数の1%に見直しました。」(出典:厚生労働省・こども家庭庁「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月) p.40)としています。生活介護は通所系のため、身体拘束廃止未実施減算は1%です。減算の始まる月・終わる月の扱いや、改善計画の出し方は、指定権者ごとに案内されているため、所在地の案内で確認してください。

1年の計画に落とすと、研修は月1回で回る

回数を満たすだけなら、研修は年5回(虐待防止1・身体拘束1・感染症2・BCP1)で足ります。当方の法定研修・訓練キット(生活介護版)では、これに、日中活動とQOL・行動障害・意思決定支援・個別支援計画・ハラスメント・個人情報・事故と苦情を加えた12テーマで、研修を毎月1テーマずつ回せる年間計画を作ります。委員会は初期値で3か月ごと、訓練は感染症2回・BCP1回・非常災害2回です。資料・確認テスト・受講記録・訓練記録・委員会の議題案・運営指導用のまとめまで、事業所の情報に合わせて作れます。無料版では、虐待防止のテーマを記録や印刷まですべて使えます。

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この記事は、基準の条文(e-Gov法令検索の現行の条文)、国の解釈通知(最終改正 令和7年3月31日。新旧対照表のうち最新の文)、令和6年度報酬改定の概要、国の虐待防止の手引き、高知市の集団指導資料の原文を確認して書いています(確認日:2026年9月29日)。所在地の指定権者(都道府県・市)の案内もあわせて確認してください。作成:fufumumu_design

この記事の出典

あわせて読みたい:放課後等デイサービスの研修は、何が義務で、年に何回か。基準の条文と国の解釈通知の原文で確かめた一覧(児童発達支援も同じ)

あわせて読みたい:就労継続支援B型の研修・委員会・訓練の回数。虐待防止と身体拘束は年1回以上、感染症は年2回以上(解釈通知の参照先を原文でたどった一覧と減算)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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