就労定着支援の利用者獲得と紹介ルートの作り方。就労移行支援・相談支援との連携方法。

就労定着支援の利用者獲得と紹介ルートの作り方。就労移行支援・相談支援との連携方法。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援は、利用者が自ら検索して選ぶサービスではありません。就労移行支援・就労継続支援A型・B型等から一般就労した方が対象であるため、利用者の大半は他の障害福祉サービス事業所からの紹介ルートで獲得します。開業後に安定した収益を作るには、紹介ルートの構築が最も重要な集客活動です。効果的な連携先の選び方・関係構築の方法・紹介が継続する仕組みを整理します。

就労定着支援の利用者獲得は「紹介ルート」が中心

就労定着支援の利用者は以下のルートから獲得することが一般的です。

就労定着支援の主な利用者獲得ルート
紹介元 紹介の流れ 期待できる紹介数
就労移行支援事業所 利用者が一般就労したタイミングで就労定着支援事業所を紹介する 最多。就労移行支援の就職者数に比例
就労継続支援A型事業所 A型から一般就労に移行した際に紹介する 就労移行より少ないが、継続的な紹介源になる
就労継続支援B型事業所 B型から一般就労した際に紹介する 少数だが確実なルート
相談支援専門員(特定相談支援) サービス等利用計画の作成段階で就労定着支援を計画に組み込む 幅広い利用者層にアクセスできる
ハローワーク・地域障害者職業センター 就職支援の場面で就労定着支援を案内する 紹介数は連携の深さによる
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ) なかぽつで支援している方が一般就労した際に紹介する なかぽつとの関係の深さによる

就労移行支援事業所との連携が最も直接的な紹介ルートです。就労移行支援事業所は「就職者を就労定着支援につなぐ」という視点で事業所を選ぶため、支援の質・対応の早さ・連絡の取りやすさが評価の基準になります。

就労移行支援事業所との連携:関係を作る4つのアプローチ

就労移行支援事業所との連携を構築するには、単に「連絡先を渡す」だけでなく、継続的な関係構築が必要です。

  • ①訪問営業・事業所見学の受け入れ:就労移行支援事業所の管理者・支援員に就労定着支援事業所を訪問してもらい、事業所の設備・支援体制・対応方針を直接説明します。「この事業所は利用者を任せられる」という信頼を得ることが最初のステップです
  • ②担当者レベルの顔つなぎ:管理者同士だけでなく、実際に就労移行支援を担当している支援員レベルでの関係構築が重要です。就職が内定した段階で就労移行支援員から就労定着支援員に紹介がつながる流れを作ります
  • ③引き継ぎ面談への参加:利用者の就職後、就労移行支援員と就労定着支援員が合同で面談に参加する機会を持つことで、就労移行支援事業所からの信頼が高まります。引き継ぎに真摯に対応することが次の紹介につながります
  • ④定期的な情報共有:紹介後も「あの方はこういう状況です」という報告を就労移行支援事業所に返すことで、「任せた後も連携してくれる事業所」として継続的な紹介が生まれます

相談支援専門員との連携:幅広い利用者層へのアクセス

相談支援専門員(特定相談支援事業所)は、障害福祉サービスを利用するすべての方のサービス等利用計画を作成しています。就労定着支援の利用を計画に組み込むかどうかは相談支援専門員の判断に大きく左右されるため、相談支援専門員との関係構築も重要な集客活動です。

  • 事業所パンフレット・案内資料の配布:地域の相談支援事業所に就労定着支援事業所のパンフレット・案内資料を持参し、サービスの内容・対応できる障害種別・連絡先を伝えます
  • サービス担当者会議への参加:利用者のサービス担当者会議(ケース会議)に就労定着支援員が参加することで、相談支援専門員との直接的な連携が生まれます
  • 地域の相談支援連絡会への参加:都道府県・市区町村が主催する相談支援連絡会・地域自立支援協議会に参加し、地域の関係者に就労定着支援事業所の存在を知ってもらうことが長期的な紹介ルートの確立につながります

ハローワーク・地域障害者職業センターとの連携

ハローワーク(公共職業安定所)と地域障害者職業センターは、障害者の就職支援を担う機関です。これらの機関と連携することで、就労定着支援を必要とする方が就職したタイミングで紹介を受けやすくなります。

  • ハローワークへの事業所登録・情報提供:ハローワークの障害者担当窓口(専門援助部門)に就労定着支援事業所として登録・情報提供を行います。就職後に就労定着支援が必要な方を案内してもらえる可能性があります
  • 地域障害者職業センターとの連携:地域障害者職業センターはジョブコーチ支援・職場適応援助を実施しています。ジョブコーチ支援の終了後に就労定着支援につなぐ連携が実務上発生する場合があります

集客・紹介ルート管理のポイント

紹介ルートを管理・改善するために、以下の仕組みを整備することが重要です。

紹介ルート管理の項目例
管理項目 記録する内容
紹介元事業所名 就労移行支援・A型・B型・相談支援専門員の別
紹介者名・担当者名 担当の支援員・相談支援専門員の氏名
紹介件数(月別・年別) どの事業所から何件紹介があったか
契約成立件数 紹介から実際に利用契約に至った件数
最終接触日 最後に訪問・連絡した日(関係の維持に活用)

紹介ルートを記録・管理することで、どの事業所が安定した紹介源になっているか、どの事業所との関係が薄れているかが見えてきます。年1〜2回の定期的な訪問や情報交換が関係の継続に有効です。

開業直後の利用者獲得:最初の3か月が重要

就労定着支援は開業直後に利用者がゼロの状態からスタートします。就労定着支援の収益は利用者数×月額単位数で決まるため、早期に利用者数を積み上げることが収益安定の鍵です。

  • 開業前から連携先を確保する:指定申請中から就労移行支援事業所・相談支援事業所へのあいさつ回りを始め、開業後すみやかに紹介が入る状態を作ります
  • 自法人の他サービス(就労移行支援・A型・B型)との連携:同一法人が就労移行支援等を運営している場合、自法人の就職者を就労定着支援につなぐルートが最も確実な出発点です
  • 初回の利用者対応を丁寧に:最初の利用者への支援が口コミ・評判につながります。就労移行支援事業所からの「任せて良かった」という評価が、次の紹介を生む好循環を生み出します

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参考・出典

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号・平成18年)
  • 障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号)
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(解釈通知)

この記事は2026年11月時点の告示・通知に基づいています。報酬は改定されることがありますので、最新の告示を確認してください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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