熱中症の予防と職場での対策。WBGT・熱けいれんの応急処置

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熱中症は、高温環境での作業中に体温調節が破綻し、身体に異常が起きる状態の総称です。厚生労働省の「職場における熱中症予防基本対策要綱」(令和3年4月)に基づき、事業者は熱中症予防計画の策定・暑さ指数(WBGT)の管理・作業者への教育などの対策が求められます。

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熱中症の種類と症状

種類 主な症状 病態
熱失神 めまい・立ちくらみ・失神 皮膚血管が拡張して血圧が低下し、脳への血流が一時的に低下する
熱疲労 全身の倦怠感・頭痛・悪心・嘔吐・体温上昇(38℃台) 大量発汗による脱水と循環不全
熱けいれん 有痛性の筋けいれん(四肢・腹部) 大量発汗後に水のみ補給した場合の低ナトリウム血症。電解質補給が必要
熱射病 体温40℃以上・意識障害(昏迷・昏睡)・皮膚が乾燥して赤くなる 体温調節機能が破綻。多臓器障害に至り、死亡例あり。緊急搬送が必要

暑さ指数(WBGT)

暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)は、気温・湿度・輻射熱の3要素を組み合わせた総合的な暑熱環境の指標です。熱中症予防行動の基準として使われます。

WBGT値 熱中症予防の目安
28℃以上31℃未満 厳重警戒(激しい運動は中止)
31℃以上 危険(特別の場合以外は運動中止)

職場では、WBGT値が基準値(軽作業28℃・中程度作業25℃・重作業23℃・激しい作業21℃等の目安)を超える場合に作業の短縮・休憩の付与・保護具の使用等の対策が求められます(厚生労働省要綱の参考値)。

事業者の熱中症予防対策

作業環境管理

  • WBGT値の測定・記録
  • 作業場所の冷房・送風・遮熱設備の設置
  • 直射日光・輻射熱のさえぎり

作業管理

  • 高温多湿な作業場での作業時間の短縮・休憩の付与
  • 高強度の作業では休憩頻度を増やす
  • 熱に慣れるための「暑熱順化」期間の設定(夏季初めの約1〜2週間)
  • 作業者への水分・塩分の補給指示(0.1〜0.2%の食塩水またはスポーツドリンク)

健康管理

  • 日常的な健康状態の確認(体重測定・睡眠・飲酒状況の把握)
  • 熱中症発症リスクが高い作業者(高齢者・肥満・既往症あり)への配慮
  • 発症者の早期発見・迅速な応急処置・救急搬送体制の整備

労働衛生教育

  • 熱中症の種類・症状・対処法の周知
  • 水分・塩分補給の方法の指導
  • 熱中症が疑われた際の報告ルートの徹底

応急処置のポイント

熱中症が疑われる場合の応急処置の基本手順は次のとおりです。

  1. 涼しい場所に移動(冷房の効いた室内・木陰など)
  2. 衣服をゆるめ、身体を冷やす(特に頸部・腋窩・鼠径部など太い血管がある部分を冷却)
  3. 意識がある場合:水分と電解質を補給(スポーツドリンク・経口補水液)
  4. 意識がない・回復しない:直ちに救急搬送

試験での出題ポイント

  • 熱けいれんの原因:水のみ補給した場合の低ナトリウム血症(電解質が足りない)
  • 熱射病:体温40℃以上・意識障害・皮膚が乾燥(汗をかかない)
  • WBGT:気温・湿度・輻射熱を組み合わせた指標
  • 暑熱順化:高温環境への適応に1〜2週間かかる
  • 塩分補給:0.1〜0.2%食塩水が目安(水だけでは熱けいれんのリスク)

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出典:
・厚生労働省「職場における熱中症予防基本対策要綱」(令和3年4月20日付基発0420第3号)
・公益財団法人 安全衛生技術試験協会「公表試験問題」(www.exam.or.jp)
・熱中症環境保健マニュアル2022(環境省)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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