小規模多機能型居宅介護の看護職員の配置と医療連携。

小規模多機能型居宅介護の看護職員の配置と医療連携。 介護

小規模多機能型居宅介護には、省令(平成18年厚生労働省令第34号)に基づき看護職員(看護師または准看護師)の配置が義務付けられています。医療的ケアが必要な利用者の受け入れには看護職員の役割が重要で、訪問看護事業所やかかりつけ医との医療連携も事業所の質を左右します。この記事では看護職員の配置基準・役割・医療連携の実務を整理します。

看護職員の配置基準

小規模多機能型居宅介護の人員基準では、常勤換算で看護職員1名以上の配置が義務付けられています。省令(平成18年厚生労働省令第34号)の規定を以下に整理します。

看護職員の配置基準(省令)
項目 基準
員数 常勤換算で1名以上
資格要件 看護師または准看護師
配置の例外 病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により、24時間連絡できる体制を確保している場合は常勤でなくても可

「看護職員の配置例外」は、病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携協定を結び、24時間対応できる体制を整えることで認められます。看護師を常勤採用することが難しい地域では、近隣の訪問看護ステーションと連携協定を締結する事業所も多くあります。

看護職員配置加算:配置状況に応じて収入が変わる

看護職員の配置状況に応じて、看護職員配置加算を算定できます。

看護職員配置加算(令和6年度改定後)
区分 単位数(月額・事業所全体) 算定条件の概要
看護職員配置加算Ⅰ 月1,171単位 常勤換算で1名を超える看護職員(看護師または准看護師)を配置している場合
看護職員配置加算Ⅱ 月950単位 看護職員1名に加え、常勤換算0.5名以上の看護職員を配置している場合
看護職員配置加算Ⅲ 月800単位 病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携体制を整えている場合

看護職員を手厚く配置するほど加算額が高くなります。医療依存度の高い利用者を積極的に受け入れる事業所は、加算Ⅰを算定しやすい体制が求められます。

看護職員が担う主な役割

小規模多機能における看護職員の役割は、医療ケアの直接提供だけでなく、介護職員へのサポート・連携調整も含まれます。

小規模多機能における看護職員の主な役割
役割 具体的な内容
健康管理 バイタル測定・服薬管理・体調変化の把握・記録
医療的ケアの実施 吸引・経管栄養・ストーマ管理等(医師の指示に基づく)
緊急時対応 急変時の初期対応・医師・救急への連絡
介護職員への指導・サポート 医療的ケアの方法の指導・状態変化の見方の共有
医療機関との連絡調整 かかりつけ医への状態報告・処方変更の調整
家族への情報提供 体調変化・服薬状況・通院の必要性の説明

訪問看護事業所との連携

小規模多機能型居宅介護は訪問看護との併用が可能です(他の居宅サービスとは異なり、訪問看護は利用制限の対象外)。特に以下のケースでは訪問看護との連携が重要になります。

  • ターミナルケア(在宅看取り)が必要な利用者
  • 医師の指示書が必要な医療的ケア(吸引・経管栄養・褥瘡管理等)を必要とする利用者
  • 精神疾患を合併した利用者(精神科訪問看護の活用)
  • 夜間の急変リスクが高い利用者

近隣の訪問看護ステーションとの連携協定を開業前から締結しておくことが、利用者のニーズに応えるための基盤になります。

かかりつけ医・病院との連携

利用者の多くは複数の疾患を持ち、かかりつけ医・専門医への定期受診が必要です。小規模多機能の看護職員・スタッフが担う医療連携の実務は以下のとおりです。

  • 受診情報の把握:利用者がいつ、どの医療機関に受診しているかを把握し、処方内容・指示事項を記録する
  • 受診同行・代理受診の手配:一人では受診が難しい利用者への同行・受診結果のフィードバック
  • 服薬管理:処方薬の管理・飲み忘れ防止・副作用のモニタリング
  • 情報提供書の作成:受診時に医師へ提供する生活状況の情報提供書(通所・宿泊時の様子・体調変化等)の作成

看取り対応と事業所としての方針

小規模多機能型居宅介護は、利用者が人生の最終段階を自宅・事業所の宿泊で過ごすことをサポートする「看取り」に対応できる可能性のあるサービスです。看取りへの対応方針は事業所ごとに異なりますが、以下を整備しておくことが重要です。

  • ターミナルケアに関する方針の文書化
  • 利用者・家族との事前の意思確認(ACP:人生会議の実施)
  • かかりつけ医・訪問看護ステーションとの看取り体制の協定
  • 看取りに関するスタッフへの研修

看取り対応を行うことで利用者・家族の信頼を得やすくなりますが、夜間に宿泊スタッフが対応できる体制の整備が前提条件です。

小規模多機能型居宅介護の看護職員配置加算を含めた収支計画の試算は、小規模多機能型居宅介護 収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号・令和6年改定後)

この記事は2026年11月時点の法令・告示に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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