小規模多機能型居宅介護の管理者の要件。認知症対応型サービス事業管理者研修が必須。

小規模多機能型居宅介護の管理者の要件。認知症介護実践リーダー研修とは。 介護

小規模多機能型居宅介護の管理者には、省令(平成18年厚生労働省令第34号)に基づく要件があります。3年以上の認知症ケアの実務経験に加え、「認知症対応型サービス事業管理者研修」の修了が義務付けられています。計画作成担当者との兼務も可能ですが、条件があります。この記事では管理者の要件・兼務の条件・研修の内容を整理します。

管理者の要件:認知症ケアの経験と研修修了が必須

小規模多機能型居宅介護の管理者には、以下の要件を両方満たす人物を配置する必要があります。

小規模多機能型居宅介護の管理者要件
要件 内容
実務経験 特別養護老人ホーム・認知症グループホーム等の認知症ケアを行う施設・事業所において3年以上の認知症ケアの実務経験
研修修了 認知症対応型サービス事業管理者研修を修了していること

「認知症対応型サービス事業管理者研修」は、認知症対応型サービス(小規模多機能型居宅介護・認知症グループホーム・認知症対応型通所介護)の管理者に特化した研修で、都道府県が主体となって実施しています。研修は2日間程度で修了できるものが多く、「認知症介護実践者研修」と混同されやすいため注意が必要です。

認知症対応型サービス事業管理者研修の概要

認知症対応型サービス事業管理者研修は、認知症対応型サービスの管理者として必要な知識と運営技術を習得するための研修です。

認知症対応型サービス事業管理者研修の概要
項目 内容
目的 認知症対応型サービスの管理者として必要な知識・運営方法・ケアマネジメントの習得
受講要件 認知症介護実践者研修(旧:実務者研修)を修了していること
研修時間・期間 都道府県によって異なる(概ね2日間程度・演習・グループワークを含む)
実施主体 都道府県(委託先:介護福祉士会・社会福祉協議会等)
費用 都道府県・実施機関によって異なる(多くは無料〜数万円)

受講の前提として「認知症介護実践者研修」の修了が必要です。なお、認知症介護実践者研修を未修了の場合はそちらを先に受講する必要があります。管理者候補として採用する際は、実践者研修・管理者研修の両方の修了状況を確認してください。

計画作成担当者との兼務:条件付きで可能

管理者は「計画作成担当者」との兼務が認められています。ただし、管理者としての業務に支障がない範囲での兼務が前提です。

計画作成担当者の要件:

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を有すること
  • 認知症対応型サービス事業計画作成担当者研修を修了していること(または修了予定)

管理者が介護支援専門員の資格を持っていれば、管理者と計画作成担当者を1人で兼務することが可能です。ただし、事業所の規模(登録者数・職員数)によっては、管理業務と計画作成担当者業務を1人で担うことが困難になる場合があります。

管理者の「専従義務」の考え方

小規模多機能型居宅介護の管理者は、原則として「専従」(その事業所の管理業務に専念)することが求められます。ただし、以下の条件を満たす場合は例外が認められます。

  • 同一法人の他の事業所の管理者との兼務:事業の管理業務に支障がない場合に限り認められる場合がある(指定権者への確認が必要)
  • 計画作成担当者との兼務:上述のとおり認められる
  • 直接処遇への参加:管理業務のかたわら介護業務に従事することは可能

管理者が常勤でなければならない規定はありませんが、事業所の管理責任を担う立場として、勤務時間・関与度の観点から実質的に常勤に近い関与が求められます。

管理者の変更:届け出が必要

管理者が変わる場合は、指定権者(市区町村)への変更届が必要です。新任の管理者が「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了していない場合、原則として変更届の受理が認められないため、後任の管理者候補を早期に育成・確保しておくことが重要です。

「管理者が急に退職した場合の後任がいない」という状況は、小規模多機能型居宅介護の運営リスクの一つです。計画作成担当者も含め、複数の職員が管理者要件を満たす状態を目指すことが安定した運営につながります。

管理者候補の採用・育成のポイント

管理者候補を確保するための実務的なポイントは以下のとおりです。

  • 研修修了者を採用する:既に認知症対応型サービス事業管理者研修を修了している介護福祉士・ケアマネジャー等を採用する
  • 研修を送り出す:開業前に管理者候補の職員を認知症介護実践者研修・管理者研修の順で参加させる(都道府県の受講枠の確認が必要)
  • 研修の待機時間を逆算する:研修の受講から修了まで数か月を要するため、開業予定時期から逆算した計画が必要

管理者に求められる実務能力

省令上の要件(研修修了・実務経験)に加え、小規模多機能型居宅介護の管理者には以下の実務能力が求められます。

  • 認知症の利用者への対応能力(行動・心理症状への対処)
  • 職員のマネジメント(採用・シフト管理・OJT)
  • 家族との関係構築(宿泊・訪問の調整・緊急時の連絡対応)
  • 地域との連携(民生委員・地域包括支援センター等との関係)
  • 行政対応(実地指導・変更届・処遇改善加算の届け出等)

小規模多機能型居宅介護の管理者は「現場スタッフ」「管理者」「計画作成担当者」を一人で担うことが多く、特に開業初期には業務量が集中しやすいポジションです。管理者候補の採用・育成は、開業準備段階からの重要課題として位置付けることが必要です。

小規模多機能型居宅介護の開業に向けた収支計画の試算は、小規模多機能型居宅介護 収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
  • 指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について(通知)
  • 認知症介護研修の実施について(平成18年厚生労働省老健局長通知)

この記事は2026年11月時点の法令・通知に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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