就労定着支援の利用対象者。誰が使えるか。

就労定着支援の利用対象者。誰が使えるか。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援を利用できるのは、特定の障害福祉サービスを経て一般就労した方に限られます。「誰でも使える」サービスではなく、直前に利用していたサービスの種類と就職後の経過期間の両方が条件になります。この記事では障害者総合支援法・施行規則の原文をもとに、利用対象者の条件を整理します。

利用できるのは「特定のサービスを経て一般就労した者」

就労定着支援の利用対象は、障害者総合支援法第5条第16項および施行規則第6条の11に定められています。以下のいずれかのサービスを利用していた方が、一般就労(企業・官公庁等との雇用契約による就労)をした場合に対象となります。

就労定着支援の利用対象となる直前のサービス
サービス名 対象者のイメージ
就労移行支援 一般就労を目指して職業訓練・就職活動支援を受けていた方
就労継続支援(A型) 雇用契約のもとで働きながら就労能力の向上を図っていた方
就労継続支援(B型) 雇用契約によらない形で軽作業等に取り組んでいた方
生活介護 日中活動として生活介護を利用していた方
自立訓練(機能訓練・生活訓練) 身体機能・生活能力の向上訓練を受けていた方

出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第16項・同法施行規則第6条の11

就職後6か月が経過していることが利用開始の条件

上記サービスから一般就労に移ったとしても、就職直後から就労定着支援を利用できるわけではありません。

就職後6か月間は、直前に利用していた就労移行支援・就労継続支援等の事業所が「就職後6か月以内の定着支援」を担うことが省令(厚生労働省令第171号)で定められています。就労定着支援はその後(就職後6か月が経過した時点)から利用が始まります。

つまり就労定着支援の利用開始は、就職から7か月目以降です。この流れを図示すると以下のようになります。

就職 ─── 6か月 ─── 就労定着支援 利用開始 ─── 最長3年 ─── 利用終了
          ↑就労移行支援等が定着支援を担う期間

「一般就労」とは何か。福祉的就労は含まれない

就労定着支援の対象となる就労は一般就労に限られます。一般就労とは、企業・官公庁・社会福祉法人等との雇用契約に基づく就労のことです。

就労継続支援A型・B型のような福祉サービスの中での就労(いわゆる「福祉的就労」)は対象外です。就労継続支援A型から一般企業への就職を果たした場合は対象になりますが、A型のまま継続しているだけでは対象になりません。

障害種別・手帳の有無は問わない

就労定着支援の対象者には、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害・高次脳機能障害を含む)・難病のある方が含まれます。障害者手帳の有無は要件ではなく、障害者総合支援法の対象となる障害(同法第4条に規定)があれば利用対象になります。

また、障害支援区分の認定も就労定着支援の利用には不要です(障害支援区分は施設入所支援・共同生活援助等で必要ですが、就労定着支援は対象外です)。

年齢要件。18歳以上が基本

就労定着支援は、障害者(障害者総合支援法第4条第1項に規定する18歳以上の方)が対象です。高校を卒業後に就職した場合でも、18歳になっていれば対象となります。ただし、就労定着支援を利用するためには、前提として対象サービス(就労移行支援等)の利用実績が必要です。

直前のサービス利用が「一定期間以上」である必要はない

就労移行支援・就労継続支援等の利用期間に下限の規定はありません。たとえば就労移行支援を1か月だけ利用して就職した場合でも、その就労移行支援事業所での定着支援(就職後6か月)を経て、就労定着支援に引き継ぐことができます。

ただし実態として、就職に至るには一定の訓練・支援期間を要することが多く、短期間の利用で就職・定着支援まで繋がるケースは多くありません。

就労定着支援を利用できない場合

以下に当てはまる場合は、就労定着支援の利用対象外となります。

  • 一般就労ではなく、就労継続支援A型・B型等の福祉的就労に移行した場合
  • 直前に就労移行支援・就労継続支援・生活介護・自立訓練のいずれも利用していなかった場合(例:特別支援学校から直接就職した場合)
  • 就職後6か月が経過していない場合(就職後6か月は直前のサービス事業所が担当)
  • 障害者総合支援法の対象となる障害・難病のない方

「特別支援学校から直接就職した場合」については就労定着支援の対象外ですが、同様の支援ニーズに対しては各地域の障害者就業・生活支援センター(なかぽつセンター)等が対応しています。

利用開始の手続き

就労定着支援を利用するには、市区町村への申請と支給決定が必要です。流れは以下のとおりです。

  1. 利用者(または家族・支援者)が市区町村の担当窓口に申請する
  2. 市区町村がサービスの利用の必要性を判断し、支給決定を行う
  3. 支給決定後に就労定着支援事業所と利用契約を締結する
  4. 就労定着支援が開始される(就職後7か月目以降)

申請から支給決定までには数週間〜1か月程度かかる場合があります。就職後6か月を迎える前に、利用者・就労移行支援事業所・就労定着支援事業所の三者で利用開始に向けた準備を進めておくことが理想的です。

事業所側が知っておくべきこと

就労定着支援事業所を開設・運営する側の立場で言えば、利用対象者が「一定のサービスを経た方に限定される」という点は、集客・契約の計画に影響します。地域の就労移行支援事業所・就労継続支援事業所との連携体制を作ることが、利用者の安定的な確保につながります。

就労定着支援の収支計画(見込み利用者数の設定方法を含む)については、就労定着支援 収支シミュレーターで試算できます。

参考・出典

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第5条第16項
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則第6条の11
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号・平成18年)

この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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