児童発達支援の加算一覧。算定要件と単位数。

児童発達支援で算定できる加算は、専門的支援加算・加配加算・医療的ケア加算・送迎加算・欠席時対応加算など10種類以上あります。どの加算が自事業所に該当するかを把握しておくと、収入の試算精度と加算取得後の届出準備に役立ちます。この記事では、令和6年度報酬改定後の主要加算の種類・算定要件・単位数を一覧で整理します。

加算は「基本報酬に上乗せ」される仕組み

児童発達支援の報酬は、基本報酬(利用児童1人・1日ごと)に加算を上乗せして計算します。加算のほとんどは利用児童1人・1日ごとに加わる仕組みで、事業所全体にまとめて付くわけではありません(送迎加算は片道ごと)。根拠となる告示は「厚生労働大臣が定める一単位の単価及び障害福祉サービス等の報酬の算定に係る基準(告示第122号・令和6年度版)」です。

加算の算定には、(1)人員・設備の要件を満たすこと、(2)都道府県等への体制届出をすること、(3)実際にサービスを提供すること、の3ステップが必要です。要件を満たしていても届出がなければ算定できません。

主要加算の一覧(令和6年度・センター以外・重症心身障害児を除く区分)

以下は、センター以外の一般事業所(主に未就学児・重症心身障害児を除く区分)で算定できる主な加算の一覧です。単位数は告示第122号(令和6年4月版)に基づきます。

加算名 単位数(目安) 算定単位 主な要件
加配加算(児童指導員等) 187/152/123/107/90単位(配置区分により変動) 利用1人・1日ごと 法定以上の専門職を配置し都道府県等に届出
専門的支援体制加算 123単位 利用1人・1日ごと 保育士・児童指導員等の有資格者を法定以上に配置し届出
福祉専門職員配置等加算 15/10/6単位(配置区分Ⅰ〜Ⅲ) 利用1人・1日ごと 社会福祉士・介護福祉士等の比率に応じた3区分。届出必須
医療連携体制加算(Ⅰ〜Ⅲ) 32/63/125単位(区分による) 看護を受けた利用1人・1日ごと(最大8人/回) 看護師を配置(Ⅰは訪問、Ⅱ・Ⅲは事業所内配置等)して看護を実施
送迎加算 片道54単位(センター・重心を除く) 片道ごと 障害児を送迎した場合
欠席時対応加算 94単位(月4回上限) 欠席対応1回ごと 利用予定日に急病等で欠席した際に連絡・相談対応を行った場合
事業所内相談支援加算 35単位(月1回)または別単位(集団) 月ごと 家族等への相談・助言を実施した場合
保育・教育等移行支援加算 500単位(利用終了後) 移行後の支援1回ごと 保育所・幼稚園等へ移行した後に事業者側が情報提供・相談対応を行った場合
個別サポート加算(Ⅰ) 100単位(ケアニーズの高い障害児) 利用1人・1日ごと ケアニーズの高い障害児(医療的ケア・行動障害等)に個別の支援を提供した場合
強度行動障害児支援加算 155単位 利用1人・1日ごと 強度行動障害支援者養成研修修了者が支援した場合
処遇改善加算(Ⅰイ〜Ⅳ) 基本報酬等に一定率を乗じる 月ごとの請求に加算 職員の賃金改善計画の策定・届出。Ⅰイ:15.2%等(令和6年度)

※単位数は告示第122号(令和6年度版)の概要。個別の区分や定員規模によって異なります。算定前に必ず原文または自治体の手引きで確認してください。

加算取得で収入はどれだけ変わるか(試算例)

定員10名・稼働率80%(1日8名)・1単位10.00円(その他地域)の事業所で、加配加算(187単位・加配1名)と送迎加算(片道54単位・往復)を取得した場合の月間収入の増加分を概算します。

  • 加配加算:187単位 × 8名 × 22日 = 32,912単位 × 10.00円 ≒ 月約32.9万円の増加
  • 送迎加算(往復):54単位 × 2 × 8名 × 22日 = 19,008単位 × 10.00円 ≒ 月約19.0万円の増加

ただし加配加算を算定するためには専門職を実際に追加配置する必要があり、その人件費が発生します。送迎加算は車両費・運転担当者の人件費が発生するため、加算収入が直接利益になるわけではありません。

収入の増加と費用の増加を合わせて計算することが重要です。

加配加算の算定単位は「利用1人・1日ごと」

加配加算は告示の原文で「1日につき所定単位数を加算する」と規定されており、利用した障害児1人ごと・1日ごとに上乗せされます(告示第122号・令和6年度)。配置した人数を掛けるのではなく、「配置区分に応じた単位数 × 利用人数 × 日数」で計算します。

「事業所に1日あたり○単位」という計算は誤りです。事業所全体のサービス提供日に一律に発生するのではなく、実際に利用した障害児の数に連動します。

専門的支援体制加算と加配加算の違い

専門的支援体制加算(123単位)は、法定配置に加えて保育士・児童指導員等の有資格専門職を配置した場合に算定できる加算です。加配加算は配置人数や専門性の区分に応じて単位数が5区分に分かれています(187/152/123/107/90単位)。

両者は要件の性質が異なり、同時算定の可否については自治体の手引きや国の算定構造を確認してください。

医療的ケア加算は別に「医療的ケア児加算」がある

上記の「医療連携体制加算(Ⅰ〜Ⅲ)」は看護師を通じて医療的ケアを提供した際の加算です。一方、令和3年度改定で新設された「医療的ケア区分」(医療的ケアスコアによる判定)は、基本報酬の区分変更であり加算ではありません。また「個別サポート加算(Ⅰ)」はケアニーズの高い障害児への個別対応に対する加算です。

これらは名称が似ているため混同しやすいですが、根拠条文・算定方法・届出先が異なります。

処遇改善加算は別途計算

処遇改善加算は、基本報酬と各種加算の合計(「総単位数」)に一定の率を乗じて計算します。区分Ⅰイ(15.2%)が最も高い区分です(令和6年度・定員10名以下・センター以外)。算定には職員の賃金改善計画の策定・届出・実績報告が必要で、年度単位での管理が求められます。

処遇改善加算の率は報酬改定ごとに変わるため、最新の告示または自治体の手引きで確認してください。

加算を取得するための届出手続き

加算を算定するには、原則として都道府県・指定都市・中核市(指定権者)への体制届出が必要です。届出先や様式は自治体によって異なりますが、おおよそ次の流れです。

  1. 加算の算定要件(人員・設備)を満たす
  2. 指定権者へ体制届出書を提出(加算の種類ごとに書式が異なる場合あり)
  3. 届出が受理された月の翌月(または翌々月)から算定開始(自治体によって異なる)
  4. 要件を失った場合は速やかに変更届出が必要

届出をしないまま算定した場合は不正請求となり、返還命令・指定取消のリスクがあります。

事業所内相談支援加算と欠席時対応加算の注意点

事業所内相談支援加算は、利用者の家族等に対して相談・助言を実施した場合に算定できる加算です。月1回の算定上限がある場合があるため、算定構造で確認が必要です。

欠席時対応加算は、利用予定日に急病等で欠席した際に連絡・相談対応を行った場合に月4回を上限に算定できます。「欠席連絡を受けただけ」では算定できない場合があり、対応内容を記録しておくことが運営指導対策上も重要です。

保育・教育等移行支援加算は支援終了後の加算

保育・教育等移行支援加算は、利用終了後に保育所・幼稚園等への移行先に情報提供・相談対応を行った場合に算定できます。在籍中の加算ではなく、利用終了後の支援に対する加算であることに注意が必要です。

加算算定で気をつける3点

  1. 届出前に算定しない:体制届出が受理される前に算定した場合は不正請求になります。届出から算定開始まで1〜2か月のタイムラグがある自治体が多いです。
  2. 要件の維持を記録する:加算取得後も要件(人員比率・研修修了者の在籍など)が維持されているかを定期的に確認し、記録しておきましょう。
  3. 単位数の確認は原文または自治体資料で:加算の単位数は報酬改定ごとに変わる場合があります。最新の告示または自治体の報酬算定手引きで確認してください。

まとめ

児童発達支援で算定できる主な加算は、加配加算・専門的支援体制加算・医療連携体制加算・送迎加算・欠席時対応加算・処遇改善加算などです。いずれも体制届出が前提で、算定単位は原則として利用児童1人・1日ごとです。加算収入と追加費用の両面を合わせて試算することが開業後の収支計画には重要です。

よくある質問

加配加算は何人配置しても同じ単位数ですか

加配加算は配置する専門職の人数ではなく、配置区分(専門性や人数の基準を満たした区分)に応じた単位数が決まります。配置人数を単位数に掛け算する計算ではありません。算定は「配置区分の単位数 × 利用児童数 × 日数」です。

処遇改善加算を算定していなくても他の加算は取れますか

処遇改善加算は独立した加算であり、他の加算の算定要件ではありません。処遇改善加算なしで他の加算を取得することは可能です。ただし、処遇改善加算は職員の賃金水準維持に重要な財源であり、算定できる要件が揃っていれば取得を検討することをおすすめします。

送迎加算は往復で算定できますか

送迎加算は片道ごとに算定できます。送迎を往復実施した場合は、往路・復路それぞれに1回ずつ算定できます(片道54単位の場合、往復で108単位/人・日)。

児童発達支援の収支シミュレーターでは、加配加算や送迎加算を含めた月次収支・損益分岐点の試算ができます。開業前の収支計画にご活用ください。

児童発達支援 収支シミュレーター

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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