放課後等デイサービスの行動障害研修。強度行動障害のある利用児童への対応。

放課後等デイサービスの行動障害研修。強度行動障害のある利用児童への対応。 放課後等デイサービス・児童発達支援

放課後等デイサービスでは、強度行動障害のある利用児童への対応が職員の大きな課題の一つです。適切な対応ができないと、利用児童の自傷・他傷・物の破壊が繰り返されるだけでなく、職員の離職や支援の質の低下につながります。この記事では、強度行動障害の定義・判定基準・放デイでの対応研修の内容を整理します。

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強度行動障害とは。判定基準は行動障害支援者養成研修で使われるアセスメントシート

強度行動障害とは、自傷・他傷・物の破壊・激しい奇声・異食・多動など、「本人または他者の生命に危険があるほどの行動上の問題」が高い頻度・強度で長期にわたって続いている状態を指します(厚生労働省「強度行動障害支援者養成研修テキスト」)。

判定の目安として、強度行動障害支援者養成研修で使われる「行動障害アセスメントシート」があります。以下の行動項目について点数をつけ、合計点が一定以上の場合に強度行動障害と判定します。

行動障害アセスメントシートの主な評価項目(抜粋)
行動の種類 例
自傷 頭を壁・床に打ちつける・手首をかむ
他傷 職員・他の利用者をかむ・叩く・引っかく
物の破壊 窓ガラスを割る・備品を投げる
睡眠の障害 ほぼ毎晩、眠れない・昼夜逆転
食行動の問題 異食・過食・食べない
多動・奇声 絶え間なく動き回る・大声を出し続ける

放デイの利用児童全員に強度行動障害があるわけではありませんが、ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害の重複がある子どもに多く見られます。研修では、この判定の考え方を職員が理解することが出発点です。

行動の問題は「コミュニケーションの失敗」として理解する

強度行動障害への対応の基本的な考え方は、「行動の問題は本人の意志の悪さではなく、環境との相互作用で起きている」という視点です。行動は何らかの要求(注目・回避・感覚刺激)を伝えるコミュニケーションの失敗として機能していることが多く、その「機能」を分析することが支援の出発点になります。

この分析の枠組みを「機能的行動アセスメント(FBA:Functional Behavior Assessment)」と呼びます。ABA(応用行動分析)に基づくもので、「先行事象(A)→行動(B)→結果(C)」の三項随伴性で行動を整理します。

  • A(先行事象):行動の直前に何があったか(課題の提示・要求の拒否・感覚刺激)
  • B(行動):具体的にどんな行動が起きたか(頭を打ちつけた・職員をかんだ)
  • C(結果):行動の後に何が起きたか(課題がなくなった・注目を受けた)

ABCの記録を蓄積することで、「どの状況でどの行動が起きやすいか」「何が行動を強化しているか」が見えてきます。

放デイで実施できる環境調整と視覚支援

強度行動障害への対応として、環境を整えることが優先されます。「問題行動を起きにくくする」ことが、薬や強制的な制止よりも効果的であり、身体拘束につながらない支援の基本です。

放デイで実施できる主な環境調整と視覚支援を示します。

  • スケジュールの視覚化:「今日これからすること」を絵カード・写真・文字で提示する。予期できない変化が混乱の引き金になりやすいため、次の活動への予告をする。
  • 選択肢の提示:「やる・やらない」「A・B」の選択肢を提示する。要求が通る経験が積まれると、問題行動で訴える頻度が下がる。
  • 感覚刺激の調整:大きな音・蛍光灯のちらつき・人混みなどの感覚的なストレスを軽減する。クールダウンできる場所(個室・パーテーションで区切ったスペース)を用意する。
  • 課題の難易度調整:失敗体験が多い課題は、段階を細かく分けてスモールステップにする。成功体験を増やすことで行動の安定につながる。

他傷・物の破壊が起きたときの安全確保手順

強度行動障害のある子どもが他傷・物の破壊などの行動を起こした場合、職員の安全確保と他の利用者の保護が最優先です。以下の手順を研修で共有します。

  1. 他の利用者を安全な場所に誘導する:別の職員が担当し、発生した場所から離す。
  2. 担当職員は距離を取る:無理に制止しようとせず、一定の距離を保ちながら本人を見守る。
  3. 声かけは最小限にする:多くの声かけは刺激になる場合がある。落ち着いた声で短く話しかけ、静かに待つ。
  4. 安全なクールダウン場所に誘導する:本人が落ち着ける場所(普段使っているスペース)に誘導する。
  5. 記録する:行動の前後の状況(ABC)を記録する。繰り返す場合は、担当者間で情報を共有し、支援計画を見直す。

身体拘束(押さえつけ・縛る・閉じ込める)は、原則禁止です。「緊急やむを得ない」場合の例外規定はありますが、放デイではその判断基準と手続き(委員会への報告・保護者への説明・記録)を明確にしておく必要があります。身体拘束に関しては、別途「身体拘束研修」で扱うことを推奨します。

保護者・関係機関との連携

強度行動障害への対応は、放デイだけで完結するものではありません。保護者・学校・相談支援専門員・医療機関との情報共有が不可欠です。

  • 保護者:家庭での行動の状況・対応方法を共有する。放デイでの対応が家庭でも一貫して行われるよう連携する。
  • 相談支援専門員:個別支援計画(サービス等利用計画)の見直しを依頼する。強度行動障害支援者養成研修の受講が加配の要件になる場合もある。
  • 強度行動障害支援者養成研修:都道府県が実施する研修で、基礎研修と実践研修がある。受講した職員が加配を算定できる事業所も増えており、積極的に受講を促すことが望ましい。

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作成者:fufumumu_design 作成日:2026-11-01
【出典】
・厚生労働省「強度行動障害支援者養成研修テキスト(基礎研修編)」
・厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び指定障害児通所支援等の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(行動援護・強度行動障害支援者養成研修)
・児童福祉法施行規則第54条の6・別表第9(身体拘束の禁止)
本記事の内容は情報提供を目的としたものです。個別の支援方針は、専門家・相談支援専門員とご相談ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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