放課後等デイサービスの設備基準。指導訓練室の広さの要件。

放課後等デイサービスを開業するには、指導訓練室・屋外遊戯場(代替施設可)・相談室・調理室・洗面所・便所を用意する必要があります。指導訓練室の面積は国の省令(平成24年厚生労働省令第15号)に数値基準がなく、各都道府県・市区町村の条例で定められます。「1人2.47㎡」という数字はセンター型の基準であり、一般の放課後等デイサービス事業所には適用されません。物件を決める前に、申請先の自治体に面積基準を確認することが必要です。

放課後等デイサービスの設備基準は省令第70条〜第72条で定められている

放課後等デイサービスの設備基準は、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)の第70条から第72条に規定されています。

この省令は放課後等デイサービスだけでなく、児童発達支援・保育所等訪問支援などの指定通所支援全体に共通する基準を定めており、放課後等デイサービス固有の設備基準は第70条(設備の基準)・第71条(設備の共用)・第72条(準用)にまとめられています。

令和6年4月の報酬改定で機能強化型と標準型の区分が設けられましたが、設備基準そのものに変更はありません。

必要な設備の一覧。6種類が求められる

省令第70条に基づき、放課後等デイサービス事業所に必要な設備は以下の6種類です。

設備 省令上の要件
指導訓練室 必置。面積は自治体条例に委任(国省令に数値基準なし)
屋外遊戯場 必置。ただし付近の公園等で代替可
相談室 必置。間仕切り等でプライバシーを確保できること
調理室 必置
洗面所 必置
便所 必置

省令は設備の種類を列挙していますが、指導訓練室の面積については数値を定めていません。具体的な面積基準は各都道府県・政令市・中核市が条例で定める仕組みになっています。開業を検討する際は、申請先の自治体に面積の最低基準を必ず確認してください。

「1人2.47㎡」はセンターの基準。一般事業所には適用されない

「指導訓練室は障害児1人当たり2.47平方メートル以上」という数字を目にすることがありますが、これは児童発達支援センター(福祉型)の基準であり、放課後等デイサービスや一般の児童発達支援事業所(センターでない事業所)に適用される国基準ではありません。

省令第15号の構成を確認すると、センターの設備基準(第33条〜第37条)と、一般の放課後等デイサービスの設備基準(第70条〜第72条)は別の章に分かれています。センターの条文(第36条第1項)には「発達支援室…2.47平方メートル以上」という数値が記載されていますが、放課後等デイサービスの第70条にはそれに相当する数値が設けられていません。

一般事業所の面積基準は自治体条例に任されており、自治体によって異なります。たとえば東京都の条例では、指導訓練室を「障害児が安全に活動できる十分な広さを有するもの」と定め、具体的な最低面積は自治体担当部署への確認が必要です。岐阜県・福岡市なども同様に自治体独自の基準を条例に設けています。

物件を確定する前に、申請先の自治体(都道府県・指定都市・中核市)に「放課後等デイサービスの指導訓練室の最低面積基準」を確認してください。

屋外遊戯場の要件と代替施設の条件

省令第70条では屋外遊戯場を設置することが求められていますが、「付近に代替となる施設がある場合はこの限りでない」とされています。実務上は、事業所の近隣にある公園や広場が代替施設として認められるケースが多く、自治体の審査で判断されます。

代替施設として認められるための主な条件は以下のとおりです(自治体により異なります)。

  • 徒歩で安全に移動できる距離にある
  • 障害のある子どもが安全に活動できる環境である
  • 代替施設の位置・名称を申請書類に明記する

テナントビルの上層階に事業所を設ける場合や、市街地のビルに入る場合は、屋外遊戯場の代替施設の存在と使用の可否を、物件選定の段階で確認しておく必要があります。

相談室の要件。プライバシーの確保が必要

相談室は、利用者または保護者が相談できる空間として設けます。省令の要件は「プライバシーを確保できること」であり、完全な独立室でなくても間仕切りやパーティションで視線や音を遮れれば要件を満たすことが多いです。ただし、この点も自治体の審査で判断されるため、確認が必要です。

実務上は、相談室を専用室として設けるケースと、事務室や会議室を兼ねるケースがあります。兼用の場合は相談時にプライバシーが確保できる状態にすることが求められます。

調理室の要件。食物アレルギー対応と食中毒対策に注意

省令は調理室の設置を義務づけていますが、規模や設備の詳細について具体的な数値基準は定めていません。実際には食品衛生法上の「調理の営業」に当たる場合(一般向けに弁当・総菜等を販売する場合)は、保健所への飲食店営業の届出が別途必要になることがあります。

施設内で提供する食事は基本的に保健所への届出が不要なことが多いですが、事業内容や提供形態によって扱いが変わる場合があります。地域の保健所に確認しておくと安心です。

洗面所・便所の要件

洗面所と便所については省令で設置が義務づけられています。テナント物件では共用トイレを使用するケースも多く、その場合は自治体の判断によって共用設備で要件を満たすと認められることもあります。

障害のある子どもが利用することを前提に、手すりや多目的トイレの有無も物件選定時に確認しておくと、実際の運営がスムーズになります。

テナント物件で開業する場合のチェックポイント

テナント物件で開業する場合に確認が必要な主な事項は以下のとおりです。

確認事項 内容
指導訓練室の面積 自治体の条例基準を満たす広さがあるか
屋外遊戯場の代替施設 徒歩圏内に代替となる公園等があるか
相談室のプライバシー 間仕切りやパーティションで確保できるか
調理室 調理スペースが確保できるか
洗面所・便所 専用または共用で使用できるか
バリアフリー スロープ・手すり等の対応状況
避難経路 障害のある子どもが安全に避難できるか
用途変更 物件の用途が「福祉施設」への変更に対応できるか(建築基準法上の確認が必要な場合がある)

建築基準法上の用途変更が必要かどうかは物件の用途区分によって異なります。既存の店舗を福祉施設に変更する場合などは、建築士に相談することを検討してください。

放課後等デイサービスと児童発達支援を同一施設で運営する場合

放課後等デイサービスと児童発達支援を同一施設で一体的に運営することは認められています(多機能型事業所)。この場合、設備は共用できる場合があります(省令第71条)。

ただし、共用できる設備と共用が認められない設備があり、具体的な扱いは自治体の判断によって異なります。多機能型での開業を検討している場合は、申請前に自治体の担当窓口に確認してください。

また、多機能型の場合は各サービスの定員(合計定員)と人員配置の基準も変わります。設備基準だけでなく人員配置基準の確認もあわせて行ってください。

設備基準違反のリスク。指定取消になる可能性がある

設備基準を満たさない状態で指定を受けた場合、または指定後に設備基準を満たさなくなった場合は、都道府県等による指導の対象となり、最終的には指定取消処分につながる可能性があります。

指定取消を受けると、5年間は再指定が受けられなくなります(障害者総合支援法第51条の2・児童福祉法第21条の5の27)。設備基準は開業前だけでなく、運営中も継続して満たす必要があります。

運営指導(旧・実地指導)では設備の状況も確認されます。特に指導訓練室の実際の使用状況(物が積み上げられて活動スペースが狭くなっていないか等)が確認される場合があります。

設備基準の確認手順まとめ

放課後等デイサービスの設備基準を確認する手順を整理します。

  1. 申請先の自治体を確認する:都道府県・指定都市・中核市のいずれかが申請窓口になります。
  2. 自治体の条例・手引きを入手する:各自治体のウェブサイトに「放課後等デイサービス 指定申請の手引き」が公開されていることが多く、面積基準等が記載されています。
  3. 担当窓口に確認する:手引きに記載がない点や解釈が曖昧な点は、担当窓口に直接確認します。物件を決める前に確認しておくと、後から物件を変える手間を避けられます。
  4. 物件を決めてから事前協議を申し込む:多くの自治体では申請前に事前協議の機会が設けられています。この段階で図面を持参して設備基準の適否を確認できます。

よくある質問

指導訓練室の面積基準はどこで確認できますか

申請先の都道府県・指定都市・中核市の担当窓口、または各自治体のウェブサイトに公開している「指定申請の手引き」で確認できます。国省令(平成24年厚生労働省令第15号)の第70条には面積の数値基準が設けられておらず、各自治体の条例に委任されています。

「2.47平方メートル」という基準を見かけましたが適用されますか

この数値は児童発達支援センター(福祉型)の発達支援室に関する基準(省令第15号第36条第1項)です。一般の放課後等デイサービス事業所の指導訓練室には、この数値は国省令上適用されません。申請先の自治体の条例基準をご確認ください。

一軒家で開業することはできますか

一軒家(戸建て住宅)での開業は、設備基準を満たしかつ建築基準法上の用途変更が不要または許可された場合に認められることがあります。住居と事業所を同一建物で兼用することについては制限がある自治体もあります。申請前に自治体の担当窓口に確認してください。

設備基準と人員基準、どちらを先に確認すべきですか

物件の選定に直結する設備基準を先に確認することをお勧めします。人員基準(管理者・児童発達支援管理責任者・児童指導員または保育士等)については、人員が揃わなくても申請自体はできませんが、物件は申請書類に図面を添付する必要があるため、物件確定が先になります。


放課後等デイサービスの開業にかかる収入・費用・開業資金を試算したい方には、収支シミュレーターをご活用ください。定員・地域・稼働率を入力するだけで月次の収支計画を自動で計算できます。

放課後等デイサービス 収支シミュレーター(開業計画ツール)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
福祉事業の開業と運営
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました