就労移行支援の個人情報保護研修、就職先への情報提供と採用書類の取り扱いが固有の論点。

就労移行支援の個人情報保護研修、就職先への情報提供と採用書類の取り扱いが固有の論点。 就労移行支援





就労移行支援の個人情報保護研修、就職先への情報提供と採用書類の取り扱いが固有の論点。

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就労移行支援の職員には、業務上知り得た利用者・家族の秘密を漏らしてはならない秘密保持義務があります(指定基準第36条・第184条で準用)。就労移行支援固有の論点は、就職活動の過程で利用者の個人情報が就職先企業・ハローワーク・実習先に渡るという、他の障害福祉サービスにはない情報の流れが生じる点です。

この記事では、就労移行支援の個人情報保護研修の根拠と、就職活動に固有の情報漏洩リスクを整理します。

秘密保持義務の根拠

就労移行支援の個人情報保護は、指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第36条に定められています。

義務の内容 条文の要旨
業務上の秘密保持 職員は、正当な理由なく、業務上知り得た利用者または家族の秘密を漏らしてはならない
退職後の秘密保持 事業者は、退職した職員も秘密を漏らさないよう雇用時等に取り決めるなど必要な措置を講じなければならない
関係機関への情報提供 関係機関に情報を提供する際は、あらかじめ文書で利用者・家族の同意を得なければならない

退職後も義務が続くという点は、多くの職員が意識していません。退職時に秘密保持誓約書を取り交わすことが、事業者側に求められる「必要な措置」の代表例です。

就労移行支援固有の個人情報:採用書類と就職先への情報提供

採用書類(履歴書・障害者雇用に関する書類)の取り扱い

就労移行支援では、利用者の履歴書・障害者手帳のコピー・健康診断書・主治医の意見書などの採用書類を職員が保管・管理するケースがあります。これらの書類には、障害の内容・診断名・通院先・雇用可否に関わる情報が含まれており、特に厳格な管理が必要です。

「書類をコピー機に置き忘れた」「他の利用者が見える場所に放置した」「不採用書類をシュレッダーにかけずに廃棄した」といった場面は、情報漏洩として報告事案になりえます。研修では書類の保管場所・廃棄方法・持ち出しルールを具体的に確認します。

就職先企業・実習先への情報提供

就労移行支援では、企業実習先や採用担当者に対して、利用者の障害特性・配慮事項・通院情報などを提供することがあります。この情報提供は「正当な理由」に該当しますが、提供前に利用者本人の同意を文書で得ることが必要です。

「就職が決まったから企業の人事担当者に何でも話す」という対応は誤りです。利用者が「職場に知られたくない情報」(家族の状況・過去の就職歴等)は、同意なく提供してはなりません。就職活動の支援の中で「どこまで開示するか」を利用者本人と一緒に決めるプロセスが重要です。

ハローワークへの情報提供

就労移行支援では、ハローワークに同行して求職登録・紹介状の取得を支援する場面があります。ハローワークへの情報提供(障害区分・配慮事項)についても、あらかじめ利用者の同意を得た上で行います。

就労移行支援で起こりやすい情報漏洩の場面

場面 具体的なリスク
採用書類の管理 履歴書・障害者手帳コピーをコピー機や机の上に放置する
実習先・企業への報告 本人の同意なく、家族の状況・診断名・通院先を企業担当者に話す
送迎・外出中の会話 送迎中や外出先で他の利用者の就職活動の状況・不採用の事実を話す
SNS・スマートフォン 面接練習の場面・訓練室の写真に利用者が写り込む
退職後の漏洩 元職員が元同僚・知人に「◯◯さんはあそこに通っていた」「◯◯に就職した」と話す

研修で確認する主な内容

  • 秘密保持義務は退職後も続く(雇用時に誓約書を取り交わすこと)
  • 採用書類(履歴書・障害者手帳コピー等)の保管場所・廃棄方法のルール
  • 就職先企業・実習先への情報提供は事前に利用者の文書同意が必要
  • 「開示する情報・しない情報」は利用者本人と確認してから企業に伝える
  • スマートフォンの写真・SNS投稿のルール(訓練室での撮影禁止の基準を明確にする)

運営指導での確認事項

  • 利用開始時の個人情報使用同意書(利用者・家族の署名があるか)
  • 研修の記録(年に1回程度の実施記録・参加者の確認サイン)
  • 職員の雇用時の秘密保持に関する取り決めの書類(誓約書等)
  • 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)の掲示または周知

まとめ

就労移行支援の個人情報保護研修では、指定基準第36条の3つの義務(業務上・退職後・同意)を確認するとともに、就労移行支援固有の採用書類の管理・就職先企業への情報提供・ハローワーク同行時の取り扱いを具体的に整理します。「就職活動を支援する立場だから企業に何でも話してよい」という誤解を解き、利用者本人の同意と情報開示の範囲を職員全員が理解することが研修の目的です。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第36条(第184条で準用)・個人情報の保護に関する法律。研修の頻度・同意書の様式は指定権者の案内を確認してください。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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