公庫「小企業の経営指標調査」(2025年度・エステティック業105社)によると、エステサロンの営業利益率は全体平均-6.9%(赤字)、中央値0.6%、黒字企業の平均4.5%です。月商270万円で黒字企業平均4.5%の場合、営業利益は月12.15万円です。黒字企業と赤字企業の最大の費用の差は人件費率で、黒字企業は31.3%、全体平均は38.0%と6.7ポイントの開きがあります。
数字で確認したい方は、こちらからどうぞ。
▶ エステサロンの開業 収支シミュレーター
エステサロンの営業利益率の全国平均(公庫調査)
公庫「小企業の経営指標調査」(2025年度)では、エステティック業105社の営業利益率が公表されています。
| 指標 | 営業利益率 | 意味 |
|---|---|---|
| 全体平均 | -6.9% | 赤字企業を含む全105社の平均 |
| 中央値 | 0.6% | 105社を並べたときの真ん中の値 |
| 黒字企業平均 | 4.5% | 営業利益が黒字の企業のみの平均 |
出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度・エステティック業・105社)。「小企業」は従業員20人未満(卸・小売・飲食・サービス業は5人未満)の企業を指します。
全体平均が-6.9%なのに中央値が0.6%になっているのは、赤字の企業が大きな損失を出している一方で、過半数の企業が黒字または損益ほぼゼロで経営できているためです。赤字企業の損失が平均値を引き下げています。
月商別・営業利益率4.5%の営業利益額
黒字企業平均の営業利益率4.5%を基準に、月商別の営業利益額を試算します。
| 月商 | 営業利益(年商×4.5%の月換算) | 年間営業利益 |
|---|---|---|
| 90万円(1人サロン・3回転) | 40,500円/月 | 486,000円/年 |
| 180万円(2台・3回転) | 81,000円/月 | 972,000円/年 |
| 270万円(3台・3回転) | 121,500円/月 | 1,458,000円/年 |
月商270万円・営業利益率4.5%の場合、営業利益は月12.15万円(年145.8万円)です。これはオーナーへの報酬(役員報酬・事業主の生活費)を支払った後の利益ではなく、人件費(含む自分への給与)・原価・経費を差し引いた後の事業利益です。個人事業主の場合は「事業所得」が利益に相当します。
黒字企業と全体平均の費用構造の差
なぜ黒字企業と赤字企業で利益率に差が生まれるのかを、費用構造から確認します。
| 費用項目 | 黒字企業平均 | 全体平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 原価率 | 14.7% | 17.0% | ▲2.3ポイント(黒字が低い) |
| 人件費率 | 31.3% | 38.0% | ▲6.7ポイント(黒字が低い) |
| その他経費率 | 約49.5% | 44.5% | +5.0ポイント(黒字が高い) |
| 営業利益率 | 4.5% | -6.9% | 11.4ポイントの差 |
出典:日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度・エステティック業・105社)。黒字企業の「その他経費率」は100%から原価率・人件費率・営業利益率を引いた逆算値です。
黒字企業と全体平均の最大の差は人件費率(6.7ポイント)です。月商270万円で6.7ポイントは約18.1万円の差になります。人件費をコントロールできるかどうかが、黒字化の最大のカギです。
人件費率を抑えるための3つのアプローチ
人件費率は「人件費÷売上」で計算されます。人件費率を下げるには、「人件費を減らす」か「売上を増やす」かのどちらかです。
- 業務委託の活用:正社員・パートを雇うと社会保険料の事業主負担(給与の約15%)が上乗せされます。業務委託では報酬のみで社会保険負担がなく、人件費率を抑えやすくなります(業務委託と雇用の収支の違いはこちら)。ただし偽装請負には注意が必要です。
- 稼働率を上げて売上を増やす:人件費が固定でも、売上が増えると人件費率は下がります。ベッド1台・1日3回転のフル稼働を維持することで分母(売上)を増やします。
- 1人サロン(オーナー施術)を維持する:スタッフを雇わず自分一人で施術する間は、人件費は自分への報酬(事業所得)のみです。公庫BENCHの1人あたり売上高(年1,015万円・月約84.6万円)を1人で達成できれば、人件費率を最も低く保てます。
その他経費率を管理するための確認ポイント
黒字企業のその他経費率(約49.5%)が全体平均(44.5%)より高いのは、広告費・ポータルサイト掲載費などの集客投資を積極的に行っている可能性があります。単純な経費削減ではなく「集客に効く経費」と「効かない経費」を分けて管理することが重要です。
| 経費の種類 | 月額の目安 | 管理のポイント |
|---|---|---|
| 家賃 | 8万円(家賃比率8.9%) | 売上15%以内に収めることが目安 |
| 広告費(ポータルサイト・SNS広告等) | 5〜10万円 | CPA(新規1人あたりのコスト)で効果を測る |
| 通信費・予約システム費 | 1〜2万円 | 月額定額費なので都度見直す |
| 設備リース・償却費 | 5〜15万円 | 設備費の回収期間を定期的に確認する |
| その他(保険・雑費等) | 1〜3万円 | 保険料は年に一度見直す |
利益率を上げる3つのアプローチのまとめ
エステサロンの利益率を黒字企業平均(4.5%)に近づけるための3つのアプローチをまとめます。
- 人件費率を38%から31%台に下げる:業務委託の活用・稼働率の向上・1人サロンの維持が主な手段。
- 原価率を17%から14〜15%台に下げる:消耗品の発注ロットの適正化・商材の見直し。1件あたりの消耗品コストを確認する(消耗品費の記事参照)。
- 売上を増やす:客単価・来店頻度・客数の3軸を改善し、固定費・人件費の比率を相対的に下げる(売上を上げる3つの軸の記事参照)。
関連する記事
- エステサロンの費用構造。全国の小企業の平均は、人件費率38%・原価率17%・その他経費率44.5%。
- エステサロンが黒字化するまでの期間。開業6か月・12か月の損益の推移を確認する。
- エステサロンの売上を上げる3つの軸。客単価・来店頻度・新規客数の1%改善が月商に与える影響。
- エステサロンで業務委託を使うと人件費率はどう変わるか。雇用との収支の違いと、偽装請負リスクの確認。
この記事は、fufumumu_design(当方)が公表資料をもとに整理した情報です。数値は日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査」(2025年度・エステティック業・105社)に基づきます。同調査は小規模事業者(従業員20人未満等)を対象としており、大規模サロンとは異なります。最終確認:2026年10月。


コメント