差動式スポット型感知器の1種と2種の違い。感知面積・感度・設置できる場所を整理する。

差動式スポット型感知器の1種と2種の違い。感知面積・感度・設置できる場所を整理する。 資格
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差動式スポット型感知器には「1種」と「2種」がある。試験では「どちらを設置するか」「感知面積はいくつか」という形で出題されるが、2種類の違いを正確に整理できていない受験者は多い。この記事では、1種と2種の感度の違い、感知面積の数値、設置できない場所、蓄積型との組み合わせについて条文の根拠とともに整理する。

差動式スポット型感知器の仕組みを確認する

差動式スポット型感知器は、周囲温度の上昇速度(温度上昇率)が一定の値を超えたときに作動する感知器だ。熱を感知する仕組みの中では最も広く使われている。

構造はシンプルだ。本体内部に空気室があり、火災時の急激な温度上昇で空気が膨張してダイヤフラムを押し上げ、接点が閉じて発報する。緩やかな温度上昇(暖房・日射など)のときは、リーク孔から空気が逃げるため誤作動しない。

「差動式」とは「温度の差動(上昇率)で感知する」という意味だ。温度の絶対値ではなく、変化の速さで判断する点が定温式と根本的に異なる。

1種と2種の感度の違い

差動式スポット型感知器の1種と2種は、温度上昇率に対する感度が異なる。規格省令(自動火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令)第9条に作動試験の規定があり、1種の方が2種より高感度(より緩やかな温度上昇でも作動する)に設定されている。

試験では感度の大小関係を問う問題が出る。「1種と2種、どちらが感度が高いか」という問いに対して「1種の方が高感度」と答えられるようにしておく。

なぜ種別によって感度を分けるかというと、設置する場所の環境に応じて適切な感度を選べるようにするためだ。感度が高すぎると非火災時に誤作動し、低すぎると火災の初期を見逃す。用途に応じた使い分けができる設計になっている。

1種と2種の感知面積の違い

感知面積は消防法施行規則第23条第4項別表第2に規定されている。差動式スポット型の感知面積は以下のとおりだ。

種別 取付面の高さ 耐火構造 その他(非耐火・準耐火)
1種 4m未満 90m² 50m²
4m以上8m未満 90m² 50m²
2種 4m未満 70m² 40m²
2種 4m以上8m未満 設置不可

1種の方が感知面積が大きい。感知面積が大きいほど、1個の感知器でカバーできる床面積が広くなる。つまり「1種の方が設置個数を少なくできる」ということだ。

感知面積は「1個の感知器が有効に感知できる床面積の上限値」を示している。設置個数は「床面積 ÷ 感知面積(切り上げ)」で求める。

計算例で確認する

床面積180m²・耐火構造・天井高3mの部屋に差動式スポット型を設置する場合を考える。

  • 1種を使う場合:180 ÷ 90 = 2.0 → 2個
  • 2種を使う場合:180 ÷ 70 = 2.57… → 切り上げて3個

同じ部屋でも種別によって必要個数が変わる。試験では「2種を設置した場合の個数を求めよ」という形で感知面積と種別の組み合わせが問われる。

取付面の高さと感知面積の関係

差動式スポット型の場合、1種は取付面4m未満と4m以上8m未満で感知面積が同じ(耐火90m²・その他50m²)だ。これは定温式が高さによって感知面積が変わるのとは異なる点だ。一方、2種は取付面4m未満のみに設置できる。4m以上8m未満の場所には2種を使えないため、天井高が4m以上の場合は1種を選ぶ必要がある。

ただし、差動式スポット型を設置できる取付面の高さには上限がある。施行規則第23条第4項の規定により、差動式スポット型は取付面の高さが8m未満の場所にのみ設置できる。8m以上の場所には差動式スポット型は設置できない(8m以上には炎感知器・差動式分布型などが必要になる)。

1種と2種はどちらを選ぶか

一般的な事務所や居室では2種が多く使われる。2種は感知面積が小さい分、感度の調整範囲が広く、一般的な環境での誤作動リスクとのバランスが取れているためだ。

試験で「種別が指定されていない場合はどちらを想定するか」という問いが出る場合は、文脈で判断する。設置個数を求める問題では種別と感知面積が問題文に明示されるのが基本だ。

差動式スポット型を設置できない場所

差動式スポット型は温度上昇率で感知するため、火災以外でも急激な温度変化が起きる場所では誤作動しやすい。また、腐食性ガスや著しい振動がある場所では機器が損傷する可能性がある。施行規則第23条第4項のただし書きでは、設置不適な環境について規定されている。

設置不適な環境 理由 代替感知器の例
著しく高温になる場所(厨房・ボイラー室など) 温度上昇率が高く誤作動する 定温式特種・1種
結露が生じる場所 水滴が接点に影響を与える 防水型感知器
腐食性ガスが発生する場所 金属部品が腐食して誤作動・不作動 耐酸型・耐アルカリ型
著しく振動・衝撃が加わる場所 機械的な衝撃で接点が誤作動する 差動式分布型(空気管式)
水蒸気が多い場所(浴室・脱衣所など) 水蒸気が空気室に影響する 設置免除または防水型

試験では「差動式スポット型を設置できない場所」「差動式スポット型に代えて設置すべき感知器」という形で出題される。設置不適な環境と代替感知器をセットで覚えておく。

蓄積型との組み合わせ

差動式スポット型には「蓄積型」と「非蓄積型」がある。蓄積型は一定時間(5秒以上60秒以内)継続して感知状態が続かないと発報しない仕組みで、非火災報(誤作動)を防ぐ効果がある。

ただし、蓄積型を設置できない場所がある。自動閉鎖装置・排煙設備・非常ベルなどの連動装置が接続されている回路には蓄積型を使えない。連動装置は発報後すぐに動作する必要があるため、蓄積時間分の遅延が生じる蓄積型は不適切になるためだ。

1種・2種と蓄積型・非蓄積型は独立した区分だ。「1種・蓄積型」「2種・非蓄積型」などの組み合わせが成立する。試験ではこの2軸の組み合わせを混同しないよう注意する。

試験で問われる5パターン

差動式スポット型の1種・2種の違いは、試験で次の形式で出題される。

出題パターン 問われる内容 答え方のポイント
感知面積の数値選択 耐火構造4m未満の1種の感知面積は何m²か 1種90m²・2種70m²(耐火)を区別する
設置個数の計算 床面積と種別を与えて個数を求める 床面積÷感知面積を切り上げ
感度の大小 1種と2種のどちらが高感度か 1種の方が高感度(より緩やかな上昇で作動)
設置不適な場所の識別 差動式スポット型を設置できない場所を選ぶ 高温・腐食性ガス・振動の大きい場所
蓄積型の制限 蓄積型を設置できない場所・回路 連動装置接続回路には使えない

まとめ

差動式スポット型感知器の1種と2種のポイントをまとめる。

  • 1種の方が2種より高感度(温度上昇率に対してより敏感に反応)
  • 感知面積:1種は耐火90m²・その他50m²(4m未満・4m以上8m未満とも同じ)、2種は耐火70m²・その他40m²(4m未満のみ)(施行規則第23条第4項別表第2)
  • 2種は取付面4m未満にのみ設置可。4m以上8m未満の場所には設置不可(1種を選ぶ)
  • 1種・2種いずれも取付面が8m以上の場所には設置できない
  • 高温・腐食性ガス・著しい振動・結露・水蒸気の多い場所には設置不適
  • 蓄積型と非蓄積型は別の区分。連動装置の接続回路には蓄積型を設置できない

感知面積の数値は「1種90m²・2種70m²(耐火)」「1種50m²・2種40m²(その他)」という2列の組み合わせで覚えておくと計算問題で迷わない。

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出典

  • 消防法施行規則第23条第4項(感知器の設置基準・感知面積)
  • 消防法施行規則第24条第1号ニ(蓄積型の設置制限)
  • 自動火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(規格省令)第9条(作動試験)
  • 消防試験研究センター「試験実施状況」(令和8年4〜7月)

※この記事は試験対策を目的とした解説です。実際の設計・施工にあたっては一次資料および専門家の確認を行ってください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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