付加設置とは何か
消防法施行令第10条には、消火器の設置義務が2段階で定められています。第1項が「基本設置」、第2項が「付加設置」です。
基本設置は、防火対象物の用途と延べ面積の組み合わせによって消火器を設置する義務です。これに加えて、特定の危険な場所や設備がある場合は、その場所に別途、消火器を追加設置しなければなりません。これが付加設置です。
基本設置と付加設置はそれぞれ独立して算定します。一方の設置が他方の代わりになるわけではありません。
火気使用箇所への付加設置
炉・鍛造場・ボイラー室・乾燥室・厨房その他の火気使用箇所には、付加設置の対象として消火器を設置する必要があります(消防法施行令第10条第2項)。
これらの場所は、常時火を使う設備があるため、万一の出火に備えて手の届く範囲に消火器を置くことが義務づけられています。
付加設置が必要な主な火気使用箇所
- 炉(溶解炉・加熱炉など)
- 鍛造場
- ボイラー室
- 乾燥室
- 厨房(調理を行う場所)
なお、住宅の台所など、小規模な火気使用箇所への適用は防火対象物の用途や規模によって判断が異なります。実際の設置義務は施行令・施行規則の規定と所轄消防署の指導に基づいて確認してください。
指定可燃物のある場所への付加設置
指定可燃物とは、消防法施行令別表第四に定められた火災になりやすい物質のことです。わら・綿花・木毛・合成樹脂類などが代表例です。指定可燃物をある一定量以上貯蔵または取り扱う場所には、付加設置として消火器の設置が義務づけられています。
指定可燃物の代表例
| 品名 | 指定数量の目安 |
|---|---|
| 綿花類(わた・繊維等) | 200kg |
| 木毛・かんなくず | 400kg |
| 合成樹脂類(発泡させたもの) | 20m³ |
| 糸類 | 1,000kg |
※上記の数値は消防法施行令別表第四に基づく目安です。品目によって指定数量が異なります。試験では「指定可燃物とはどのような物質か」「どの別表に定められているか」が問われます。
大型消火器の設置義務
指定可燃物を一定量以上(指定数量の50倍以上等)貯蔵・取り扱う場所には、通常の消火器(小型消火器)とは別に、大型消火器の設置が義務づけられる場合があります。
大型消火器とは
大型消火器は、能力単位がA火災10以上またはB火災20以上の消火器と定義されています(消火器の技術上の規格を定める省令第1条の2)。通常の業務用消火器(小型)よりも消火能力が大きく、工場・倉庫・大型商業施設など、燃焼危険の高い大規模施設に設置されます。
大型消火器の設置場所の基準
- 歩行距離30m以下ごとに1本設置(小型消火器は20m以下)
- 設置高さは床面から1.5m以下(小型消火器と同じ)
付加設置の能力単位の計算
付加設置が必要な場所の能力単位は、基本設置の算定とは独立して計算します。指定可燃物の付加設置に必要な能力単位は、品名ごとに施行規則で定める指定数量を基準に計算します。
基本設置と付加設置の関係
| 項目 | 基本設置 | 付加設置 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 施行令第10条第1項 | 施行令第10条第2項 |
| 算定基準 | 用途・延べ面積・能力単位 | 火気使用箇所・指定可燃物の種類と量 |
| 相互代替 | 不可(それぞれ独立して設置が必要) | |
試験での出題パターン
消防設備士 乙6の試験では、付加設置に関して次のような問いが出題されます。
よく出る問題の形式
- 「付加設置の根拠条文はどれか」(施行令第10条第2項)
- 「指定可燃物はどの別表に定められているか」(施行令別表第四)
- 「大型消火器の能力単位の基準はA火災何単位以上か」(A-10以上またはB-20以上)
- 「付加設置と基本設置はどちらか一方で足りるか」(それぞれ独立して必要)
- 「大型消火器の歩行距離の基準は何mか」(30m以下)
まとめ
付加設置は、火気使用箇所と指定可燃物の貯蔵・取り扱い場所に対して、基本設置とは別に求められる追加の消火器設置義務です。基本設置(施行令第10条第1項)とは独立して算定し、どちらか一方で代替することはできません。試験では、付加設置の根拠条文・指定可燃物の別表・大型消火器の能力単位基準が頻出です。


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