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短期入所(福祉型・単独型)の報酬は「単位数×1単位の金額」で計算します。単位数は全国共通ですが、1単位の金額は事業所の所在地によって異なります。これが地域区分です。同じ稼働率・同じ利用者構成でも、開業する場所によって毎月の収入に大きな差が出ます。
この記事では、短期入所の地域区分ごとの1単位の金額と、実際の収入計算への影響を整理します。
報酬は「単位数×1単位の金額」で計算する
障害福祉サービスの報酬は、サービスごとに定められた「単位数」に「1単位の金額(円)」を掛けて計算します。
- 単位数:利用者の障害支援区分・サービスの種類・加算の有無によって決まる。全国共通
- 1単位の金額:事業所の所在する地域区分によって異なる
たとえば「基本報酬923単位+単独型加算320単位=1,243単位/日」という日があったとします。東京都特別区(1級地)なら1,243×11.20=13,922円、地方(その他)なら1,243×10.00=12,430円です。同じ利用者に同じサービスを提供しても、1日あたり1,492円の差が生じます。
月30日・定員6人・稼働率90%(延べ162日)で計算すると、1級地とその他の差は月242,004円になります。年間に換算すると約290万円の差です。
短期入所の地域区分は8段階
地域区分は1級地〜7級地とその他の8段階です。短期入所は告示539の「居宅介護等」と同じ行に入ります。令和6年4月以降の1単位の金額は以下のとおりです。
| 地域区分 | 1単位の金額 |
|---|---|
| 1級地(東京都特別区等) | 11.20円 |
| 2級地 | 10.96円 |
| 3級地 | 10.90円 |
| 4級地 | 10.72円 |
| 5級地 | 10.60円 |
| 6級地 | 10.36円 |
| 7級地 | 10.18円 |
| その他 | 10.00円 |
出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス及び相談支援並びに障害児の保育及び教育等に関して障害福祉サービス等に係る報酬の算定に関する基準を定める告示(告示539)。告示539(厚生労働省PDF)
具体的な計算例(区分6・宿泊型・単独型加算あり)
区分6の利用者が宿泊型の短期入所を使い、単独型加算を算定する場合の1日の報酬を地域区分別に比較します。
- 基本報酬(Ⅰ)区分6:923単位
- 単独型加算:320単位
- 合計:1,243単位/日
| 地域区分 | 1単位の金額 | 1日の報酬 |
|---|---|---|
| 1級地 | 11.20円 | 13,922円 |
| 2級地 | 10.96円 | 13,623円 |
| 3級地 | 10.90円 | 13,549円 |
| 4級地 | 10.72円 | 13,325円 |
| 5級地 | 10.60円 | 13,176円 |
| 6級地 | 10.36円 | 12,877円 |
| 7級地 | 10.18円 | 12,654円 |
| その他 | 10.00円 | 12,430円 |
1級地とその他の差は1日1,492円です。定員6人・稼働率90%・月30日(延べ162日)で計算すると、月24.2万円、年約290万円の差になります。
この計算は基本報酬と単独型加算だけの例です。処遇改善加算や食事提供体制加算なども1単位の金額を掛けて計算するため、加算を多く算定するほど地域区分の差は広がります。
処遇改善加算も地域区分の影響を受ける
処遇改善加算の計算式は「月の所定単位数の合計×加算率×1単位の金額」です。加算率だけ見れば全国同じですが、1単位の金額が地域区分によって異なるため、同じ加算率でも地域によって金額に差が出ます。
たとえば(Ⅰ)ロ19.3%を算定する場合、月の所定単位数が30,000単位なら:
- 1級地:30,000×19.3%×11.20=64,850円
- その他:30,000×19.3%×10.00=57,900円
- 差額:6,950円/月
処遇改善加算は職員の給与原資になるため、地域区分が高いと職員に支払える処遇改善の金額も増えます。採用競争の激しい都市部では、その分が人材確保に使えます。
定員6人・稼働率90%(月延べ162日)・区分6中心・単独型加算あり・処遇改善(Ⅰ)ロ19.3%の場合の月の所定単位数を仮に38,000単位とすると:
- 1級地:38,000×19.3%×11.20=約82,150円/月
- その他:38,000×19.3%×10.00=約73,340円/月
- 差額:約8,810円/月(年約10.6万円)
基本報酬の差(年290万円)に処遇改善の差(年10万円)が加わり、合計で年300万円超の差になります。
自分の事業所が何級地かを調べる方法
事業所の所在地が何級地になるかは、告示539の別表で確認できます。別表には市区町村ごとの地域区分が列挙されています。別表に掲載されていない市区町村は「その他(10.00円)」です。
確認手順の目安:
- 告示539(厚生労働省PDF)を開く
- 別表から開業予定地の市区町村名を検索する(PDFのテキスト検索が使える)
- 記載がなければ「その他(10.00円)」
政令指定都市は市全体が同じ級地になる場合がほとんどですが、区によって異なるケースもあります。また、市と隣接する町村では級地が異なる場合もあります。複数の物件候補がある場合は、それぞれの級地を確認して収支計画に反映させることをおすすめします。開業前に指定権者(都道府県・政令市・中核市)に確認するのが確実です。
なお、障害福祉サービスの地域区分は介護保険サービスの地域区分と異なる場合があります。他のサービスの地域区分を参考にする際は、告示539(障害福祉)で必ず再確認してください。
地域区分と開業場所の選択
地域区分が高い場所を選べば、同じ稼働率でも収入が増えます。ただし、地域区分が高い都市部では人件費・家賃・物価も高い傾向があります。収支計画では、収入(地域区分が上がれば増える)と費用(人件費・家賃も上がる)の両方を地域に合わせて試算することが必要です。
収支シミュレーターを使うと、地域区分・定員・職員の配置形態・利用者構成を変えながら損益分岐点や資金計画を確認できます。
定員規模ごとの地域区分の差
地域区分の影響は定員が大きいほど広がります。同じ稼働率90%で、定員を変えた場合の年間収入の差(1級地とその他)を試算しました。前提は基本報酬923単位+単独型加算320単位=1,243単位/日です。
| 定員 | 月の延べ利用日数(稼働率90%) | 1級地とその他の月収入差 | 年収入差 |
|---|---|---|---|
| 6人 | 162日 | 約24.2万円 | 約290万円 |
| 12人 | 324日 | 約48.3万円 | 約580万円 |
定員12人の場合は年580万円の差になります。ただし定員12人は職員2人が必要(省令171第115条第3項)なため、人件費も増えます。地域区分の差だけで判断せず、人件費・家賃も込みで収支を試算することが重要です。
地域区分は報酬改定で変わることがある
地域区分は3年ごとの報酬改定のタイミングで見直されることがあります。また、市区町村の合併や国による設定変更で級地が変わる場合もあります。
報酬改定のたびに告示539の最新版を確認する習慣をつけておくとよいでしょう。特に、新設・合併があった地域や、改定によって級地が変わった地域では、報酬単価が変わるタイミングに注意が必要です。
都市部と地方での採算の考え方
地域区分が高い都市部では報酬が増える一方、事業運営の費用も上がります。
- 人件費:最低賃金・市場賃金が高く、求人倍率も高い。採用コストがかかりやすい
- 家賃:居室・事務室の賃料が地方より高い傾向がある
- 競合:都市部は短期入所の事業所も多く、利用者確保に時間がかかりやすい
地域区分の低い地方では、報酬単価は低い分、賃料・人件費を抑えられる場合があります。競合が少ないエリアでは利用者を確保しやすいことも多く、稼働率が早期に安定するケースもあります。
収支計画では地域区分の単価だけでなく、人件費・家賃・利用者確保の見込みを合わせて試算することが重要です。
地域区分をふまえた収支計画の手順
開業場所を決める前に、候補地の地域区分を確認して収支計画に反映させる手順を整理します。
- 告示539の別表で候補地の市区町村の級地を確認する
- その地域の求人情報から時給・月給の相場を調べる
- 物件の家賃の相場を確認する
- これらを収支シミュレーターに入力して、損益分岐稼働率を計算する
- 地域区分が違う複数の候補地で比較する
地域区分が1段階違うだけで年間数十〜数百万円の差になります。開業場所を決める前に、複数の候補地を試算しておくと判断材料が増えます。
加算の一覧や報酬の計算の仕組みは、以下の記事もあわせてご覧ください。
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▶ 短期入所 開業向け収支シミュレーター
福祉事業の開業・運営のツールと記事の一覧:fufumumu-design.com/fukushi/(無料で試せます)
この記事の出典
- 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス等に係る報酬の算定に関する基準(告示539):https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa4538&dataType=0&pageNo=1
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(省令171):https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス費等の支給に関する基準(告示523):https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa4537&dataType=0&pageNo=1


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