エステサロンの設備費は何か月で回収できるか。稼働率と機器の価格帯で変わる回収期間の試算。

エステサロンの設備費は何か月で回収できるか。稼働率と機器の価格帯で変わる回収期間の試算。 エステサロンの開業

エステサロンでは、施術ベッドや脱毛機器などの設備に開業前から費用がかかります。設備を購入したとき、その費用を何か月で回収できるかを確認しておくことは、収支計画の精度を上げる上で重要です。

ここでは、設備費の回収期間の考え方と、ベッド1台あたりの投資回収の計算例を整理します。

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設備費の回収期間は「投資額 ÷ 月次の粗利」で計算する

設備費の回収期間を計算する基本の考え方は、「その設備から生まれる粗利(売上から直接原価を引いた利益)が、投資額を上回るまでの月数」です。

計算式は次のとおりです。

回収期間(か月)= 設備への投資額 ÷ その設備が生む月次の粗利

ただし「月次の粗利」は、設備1台が使われる時間(稼働時間)・客単価・稼働率(予約が埋まっている割合)によって変わります。また、人件費・家賃・通信費などの固定費は別途かかるため、「設備費を回収できた=黒字になった」ではありません。あくまで「設備への投資を取り戻せたかどうか」の目安として使います。

施術ベッドの回収期間の試算例

施術ベッド(フェイシャル・ボディ施術兼用)は、価格の幅が大きい設備の一つです。安価なものは数万円台から、業務用の高品質なものは30〜50万円以上することもあります。

以下は、施術ベッド1台を使ったフェイシャルコースで投資回収を試算した例です。

施術ベッド(フェイシャル想定)の投資回収期間の試算(例)
前提条件 内容
ベッドの購入費 30万円(業務用)
主なメニュー フェイシャルコース60分 10,000円
1日の施術可能時間 8時間(休憩1時間)
1回の施術時間 60分(清掃・準備時間15分を含めると75分)
1日の施術件数(上限) 約6件(8時間 ÷ 75分/件 ≒ 6.4)
稼働率 50%(開業当初の想定)
1日の実施術件数 約3件
営業日数 月25日
月の施術件数 約75件
月の売上 約75万円(10,000円×75件)
消耗品費(原価率15%と仮定) 約11.25万円
月の粗利 約63.75万円

試算は当方が行いました。数字は一例であり、サロンの設定・稼働率・メニュー構成によって大きく異なります。固定費(人件費・家賃等)は含んでいません。

この試算では、月の粗利が約63.75万円になります。ベッドへの投資額30万円を月の粗利で割ると:

30万円 ÷ 63.75万円 ≒ 0.47か月(約2週間)

この計算だけ見ると「約2週間で回収できる」ように見えますが、これは粗利ベースの計算であり、人件費・家賃・水道光熱費・消耗品以外の固定費を含んでいません。固定費を含めた損益分岐点の視点では、より多くの売上が必要になります。

脱毛機器の回収期間は、機器の価格によって大きく変わる

脱毛機器は、エステサロンの設備の中で最も価格差が大きい設備です。廉価な光脱毛機器から数十万円台のものもありますが、業務用の高性能なものになると数百万円以上するものもあります。

機器の価格が高いほど、投資回収に時間がかかります。以下は、異なる価格帯の脱毛機器を比較した試算例です。

脱毛機器の価格帯別 投資回収期間の比較試算(前提条件は同じ)
機器の価格 月次の粗利(消耗品ベース) 概算の回収期間
50万円 月の施術件数50件×客単価10,000円×原価率5%(消耗品ジェル等)
→ 粗利47.5万円/月(消耗品のみ)
約1か月(50÷47.5≒1.05)
200万円 約4.2か月(200÷47.5≒4.21)
500万円 約10.5か月(500÷47.5≒10.53)

試算は当方が行いました。消耗品(ジェル等)の原価率5%のみで計算しており、機器自体の減価償却費・固定費・人件費は含んでいません。稼働率・月の施術件数・客単価はいずれも仮定の数字です。

注意が必要なのは、この試算も「消耗品の原価のみ」で計算しているという点です。実際には固定費(家賃・人件費・水道光熱費・機器のメンテナンス費)が別途かかります。固定費を含めた損益分岐点を超えた上で、機器への投資も回収していく必要があります。

稼働率が投資回収期間に与える影響

投資回収期間を短くするには、稼働率(予約が埋まっている割合)を上げることが最も直接的な方法です。稼働率によって月の施術件数が変わり、粗利も変わります。

稼働率による月次の粗利と回収期間の変化(脱毛機器200万円・客単価10,000円の例)
稼働率 月の施術件数
(1日6件上限・25日営業)
月の売上 月の粗利
(消耗品原価率5%)
回収期間の目安
30% 45件 45万円 42.75万円 約4.7か月
50% 75件 75万円 71.25万円 約2.8か月
70% 105件 105万円 99.75万円 約2.0か月
90% 135件 135万円 128.25万円 約1.6か月

試算は当方が行いました。消耗品原価率5%のみで計算(固定費・機器の維持費等は含まない)。稼働率・件数・単価はいずれも仮定の数字です。

稼働率が30%と90%では、同じ機器への投資でも回収期間が3倍近く変わります。開業当初は稼働率が低い傾向があるため、収支計画では開業後しばらくの稼働率を低めに設定しておくことが重要です。

減価償却費として費用に計上する考え方

機器や設備への投資は、会計上は「減価償却費」として複数年にわたって費用化します。例えば、200万円の機器を法定耐用年数5年で定額法で償却する場合、年40万円(月約3.3万円)が費用として計上されます(国税庁「減価償却のしくみ」参照)。

この月約3.3万円の減価償却費を固定費の一つとして収支計画に含めると、損益分岐点が上がります。機器への投資が大きいほど、損益分岐点も高くなります。

機器の価格と月次の減価償却費(法定耐用年数5年・定額法の場合)
機器の購入価格 年間の償却費 月次の償却費
50万円 10万円 約0.83万円
200万円 40万円 約3.33万円
500万円 100万円 約8.33万円

出典:国税庁「減価償却のしくみ」(No.2100)。法定耐用年数は機器の種類・材質によって異なります。詳細は税理士・国税庁の資料でご確認ください。

「設備を購入した=その月に全額費用になる」ではないため、手元の現金と損益計算書の費用が連動しない点を理解しておく必要があります。現金は購入時に出ていきますが、費用計上は複数年に分散されます。

初期投資を抑える選択肢:リースとレンタル

設備費の回収期間の問題を和らげる方法の一つとして、機器のリース・レンタルがあります。

  • リース:設備を一定期間借り、毎月のリース料を支払う契約。所有権はリース会社にありますが、実質的に長期間使用できます。初期の現金支出を抑えられますが、総支払額は購入より高くなることが多いです。
  • レンタル:短期間の借り受け。使用期間が不確定な場合や試しに導入したい場合に向いています。リースよりも柔軟に返却できますが、長期になるとコスト高になります。
  • 購入(一括またはローン):総費用が最も低いことが多いですが、初期の現金支出が大きくなります。

リース・レンタルの採用によって設備費の一括支出は避けられますが、毎月の固定費は増えます。月次の損益分岐点が上がるため、リース料を上回る粗利を確保できる稼働状況かどうかを確認します。

収支計画で設備費をどう扱うか

エステサロンの収支計画を立てる際、設備費は次の2つの観点で確認します。

①資金計画(資金の出入り)での確認:設備を購入する場合、代金の支払いがいつ発生するかを「開業前の資金計画」に含めます。開業前に現金が出ていく項目として、設備費を資金計画(開業資金の内訳)に含めます。

②損益計算での確認:設備を購入した場合、その費用は毎月の「減価償却費」として計上されます。月次の収支試算では、この減価償却費を固定費の一つとして含めます。リースの場合はリース料が月次の固定費です。

当方の「エステサロンの開業 収支シミュレーター」では、設備費(購入価格)を入力すると、資金計画と月次収支の両方に反映した試算ができます。基本機能は無料です。

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出典

作成:fufumumu_design(ふふ)。確認日:2026年10月19日。試算は当方が行いました。機器の法定耐用年数・減価償却の方法は機器の種類・取得状況によって異なります。詳細は税理士にご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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