エステサロンの開業融資を公庫(日本政策金融公庫)に申し込む場合、審査で見られるのは事業計画全体ですが、中でも「設備への投資と、それが収益に結びつくか」は重要な確認項目の一つです。
特に脱毛機器・痩身機器などの高額な施術機器を計画に含める場合、審査担当者がどのような観点でその設備費を評価するかを理解しておくと、計画書の記入精度が上がります。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ エステサロンの開業 収支シミュレーター
公庫の融資審査では「設備の使途と収益への貢献」が確認される
公庫の創業融資(女性、若者/シニア起業家支援資金等の各種制度)では、融資の使い道として「設備資金」と「運転資金」を区別して申告します。施術機器などへの投資は設備資金として計上します。
審査で確認される観点は、大きく次の3点です。
- 使途の明確性:その機器が具体的にどのメニューで使われ、売上にどう貢献するか。
- 金額の根拠:その機器が「なぜその金額か」(見積書・業者からの提案書など)。
- 返済の裏づけ:機器への投資を含めた設備資金全体の融資額を、事業の利益で返せる見込みがあるか。
これらは、公庫が公表している「創業融資のよくある質問」「創業計画書の書き方」に基づく一般的な傾向です(公庫の審査基準は非公開のため、担当者ごとに確認内容は異なります)。
施術機器の「資産性」とは何か
融資審査における「資産性」とは、設備が担保や事業継続の根拠になりうるかという視点です。ただし、公庫の創業融資では不動産担保や第三者保証を必須としないケースも多く(無担保・無保証可の創業融資制度が設けられています)、施術機器の担保価値が直接的に融資の可否を決めるわけではありません。
エステサロンの施術機器について、資産としての特性を整理すると次のようになります。
| 観点 | 特性 |
|---|---|
| 中古市場の有無 | 業務用脱毛機器・痩身機器には中古市場があるが、機種・状態によって価格は大きく異なる |
| 使用期間 | 業務用機器は使用頻度・保守状況によって実際の耐用年数が変わる |
| 汎用性 | 特定のメニュー専用の機器は転用が難しく、廃業時の換金価値は低い場合がある |
| 価値の透明性 | 購入時の定価や見積もりがあれば金額の説明はしやすい。ただし将来の残存価値は機種次第 |
機器に高い費用をかける場合に計画書で説明すべきこと
施術機器に数百万円規模の投資を計画する場合、その金額が「事業計画全体の中でバランスが取れているか」が重要です。例えば、月商の見込みが50万円の規模で500万円の機器を計画に入れると、機器の投資回収に10か月以上かかる計算になります(粗利ベースで計算した場合)。
このような場合、計画書の記載として説明しやすくなるのは次の要素です。
- その機器でなければ提供できないメニューがある:特定の施術方式が差別化になり、競合との違いとして説明できる。
- その機器による客単価・月商の見込みを数字で示せる:「月の施術件数×客単価」の計算が現実的かどうかを確認できる。
- 設備資金の合計が自己資金と融資の合計の範囲に収まっている:公庫の記入例(洋風居酒屋・設備資金970万円・自己資金260万円・融資1,000万円)と同様に、資金計画全体のバランスが取れているか。
公庫の創業計画書に設備資金を記入する方法
公庫の創業計画書では、第7欄「お借入の内容」と第8欄「必要な資金と調達方法」に設備資金を記入します。
| 欄 | 記入内容 |
|---|---|
| 第8欄「必要な資金」(設備資金) | 設備の具体的な内訳と金額(店舗の内装工事費・施術ベッド・施術機器・備品等) |
| 第8欄「調達の方法」 | 自己資金の額・借入額・合計が「必要な資金」と一致するか確認 |
| 第9欄「事業の見通し」 | 設備資金に対する返済(元金+利息)が、毎月の利益の範囲で賄えるかを示す |
参考:日本政策金融公庫「創業計画書の書き方」。記入欄の名称・番号は様式によって異なる場合があります。最新の様式は公庫のウェブサイトでご確認ください。
設備資金の記入で注意が必要なのは、「見積もりがないまま概算で記入しない」ことです。記入した金額と実際の見積もりが大幅にずれると、後から修正が必要になります。施術機器の場合、機種・型番・業者名・金額を明確にした見積書を事前に取得しておくと、記入の根拠として説明できます。
融資額の上限と「無担保・無保証」の条件
公庫では、担保・保証人なしで申込できる創業融資制度を設けています(2024年3月まで「新創業融資制度」として提供されていた制度は後継制度に移行しています)。無担保・無保証が可能かどうか・融資の上限額・条件は、最新の制度内容によって変わるため、公庫のウェブサイトまたは窓口でご確認ください。
また、無担保・無保証が可能かどうかは、自己資金の水準・申込者の経歴・事業内容によって審査の結果が異なります。エステサロンの開業であれば、施術の経験・資格(エステティシャンの民間資格等)・業界経験があることが、事業への理解・継続性の説明として計画書の補足材料になります。
施術機器を選ぶ際の費用対効果の確認
融資審査とは独立した話として、施術機器を選ぶ際に開業者として確認しておく観点があります。
- その機器で提供できるメニューの客単価が、機器代金に見合うか:客単価5,000円のメニューに500万円の機器は、施術件数が多くないと回収が難しい。
- その機器のメンテナンス費用・消耗品の仕入先が確保できているか:メーカーの純正消耗品が必要な機器は、長期的な運用コストが変わる。
- 施術者が使いこなせるトレーニングが必要か:トレーニングに費用・時間がかかる場合は、開業準備期間の見積もりに含める。
- 廃業・移転・売却の際に機器を処分できるか:特定機種の業務用機器は中古の引き取り先が限られる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
収支計画で融資の返済を確認する方法
施術機器を含む開業資金の全体を試算する際、融資額・金利・返済期間・据置期間を入力すると、毎月の元金返済額と利息の計算ができます。
当方の「エステサロンの開業 収支シミュレーター」では、設備費・自己資金・融資額(借入条件)を入力すると、月次収支・損益分岐点・3年間の収支推移を試算できます。基本機能は無料です。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ エステサロンの開業 収支シミュレーター
あわせて読みたい
出典
- 日本政策金融公庫:各種創業融資制度・最新の融資条件(制度の名称・条件は変更されることがあります)。
- 日本政策金融公庫「創業計画書 記入例(洋風居酒屋)」(2025年4月版):創業計画書の記入方法の参考。
作成:fufumumu_design(ふふ)。確認日:2026年10月19日。融資の条件・審査基準は申込時の状況によって変わります。詳細は公庫の窓口でご確認ください。


コメント