訪問看護ステーションの法定研修キット(ターミナルケアと看取りを含む12テーマ)はこちらです。確認テスト・受講記録様式・委員会議題案まで、すぐにご利用いただけます。
訪問看護師は、在宅で最期を迎えることを選んだ利用者と家族に寄り添う仕事があります。ターミナルケアと看取りは、訪問看護ステーションの研修テーマの中でも、知識だけでなく姿勢が問われる領域です。この記事では、訪問看護のターミナルケアと看取りで押さえておきたい内容をまとめます。
訪問看護とターミナルケア療養費
訪問看護のターミナルケアには、診療報酬・介護報酬に「ターミナルケア療養費」「ターミナルケア加算」が設けられています。これは「在宅で最期を迎えることを支援するために、訪問看護師が関わる場合の評価」です。
医療保険のターミナルケア療養費は、在宅で死亡した利用者について算定できます(平成12年厚生省告示第169号に基づく料金表)。算定には「死亡日前14日以内に2回以上の訪問を実施していること」等の要件があります。介護保険の場合はターミナルケア加算として、「死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上のターミナルケアを実施した場合」に死亡日に算定します。
出典:平成12年厚生省告示第169号(指定訪問看護の費用の額の算定方法)
在宅看取りを支えるための4つの柱
在宅での看取りを支えるために、訪問看護師が担う役割は以下の4つです。
- 症状マネジメント:痛み・呼吸苦・倦怠感などの症状を和らげることを医師と連携しながら支援する
- 意思決定支援:本人・家族が「どこで・どのように最期を迎えたいか」を明確にして医療チームに伝える支援をする
- 家族ケア:介護する家族の身体的・精神的な疲弊を把握し、必要な支援につなぐ
- 看取りの実際の支援:死が近づいたときの変化を家族に伝え、不安を和らげる。死亡確認後の対応を含む
「看取り期」の身体の変化と家族への説明
在宅看取りの場面で、訪問看護師が最も重要な役割のひとつが「身体の変化を家族にわかりやすく説明すること」です。家族は初めて看取りを経験することが多く、「今の状態は正常か」「何をしてあげればよいか」という不安を抱えています。
看取り期に現れやすい変化と、家族への説明のポイントを整理します。
| 変化 | 家族への説明のポイント |
|---|---|
| 食欲低下・飲食量の減少 | 「食べられなくなるのは体が休もうとしているサイン」。無理に食べさせないこと |
| 傾眠・意識レベルの変化 | 「眠っている時間が長くなるのは自然な変化」。声をかけると反応することがある |
| 手足の冷感・色の変化 | 「血液が中心の臓器に集まっているため」。手を握ってあげることが大切 |
| 下顎呼吸・死前喘鳴 | 「苦しいのではない、自然な変化」。音が出ても苦痛はないことが多い |
家族の介護負担へのアプローチ
在宅看取りでは、家族が「自分の生活を犠牲にして24時間対応している」状況になることがあります。訪問看護師は身体的なケアだけでなく、家族の状態を観察し、必要に応じて支援につなぐことが重要です。
- 家族自身の体調・睡眠・食事の状態を確認する
- 「夜間も呼ばれると思うと眠れない」という不安に対して、主治医・緊急時の連絡先を整理する
- レスパイトケア(短期入所・ショートステイ)の活用を必要に応じて提案する
- 家族が「もっとしてあげられたのでは」という後悔を感じていた場合は、「この看取りは家族が支えた」ことを伝える
死亡後の対応と記録
利用者が亡くなった後の対応も、訪問看護師の仕事です。以下の点を把握しておく必要があります。
- 死亡確認は医師が行う。訪問看護師は死亡を確認した場合でも医師への報告が必要
- 主治医・担当ケアマネジャーへの連絡手順を事前に確認しておく
- 看取りの記録(死亡前後の経過・対応内容・家族への説明内容)を残す
- ターミナルケア療養費・ターミナルケア加算の算定に必要な記録を残す
グリーフケア(遺族支援)への関わり
看取り後、家族が深い悲嘆(グリーフ)を経験することがあります。訪問看護師が直接的なグリーフケアを提供する役割ではありませんが、看取りの後に家族に一報を入れる・「あのときのことを話したい」という家族の声に耳を傾けることが、遺族の孤立感を減らします。
ステーションとして「看取り後のフォロー電話」のルールを作り、研修で確認しておくことが推奨されます。
スタッフ自身のグリーフケア
在宅看取りを経験した訪問看護師は、喪失感・疲弊・「もっとできたのでは」という思いを抱えることがあります。特に、長期間にわたって関わってきた利用者を看取ったスタッフへの管理者・チームの配慮が重要です。
- 看取り後にチームで「振り返りの時間」を設ける
- 「よくやった」と肯定する言葉を意識して伝える
- スタッフが悩みを話せる環境をつくる
研修では「スタッフ自身のメンタルケア」も扱い、チーム全体の持続可能性を確認します。
研修・訓練の記録
ターミナルケアと看取りの研修の記録として残すべき項目は以下のとおりです。
- 実施日・実施時間
- 参加した職員の氏名
- 内容(看取り期の変化・家族への説明・記録の義務など)
- 振り返り(気づいた点・課題)
まとめ
訪問看護のターミナルケアと看取りは、医療的なケアと同時に「本人と家族が安心して最期を迎えるための支援」です。身体の変化の説明・家族への寄り添い・死後の対応・スタッフ自身のケアまで、研修では幅広い観点を扱うことが求められます。知識を持つことと「利用者と家族のそばにいる」という姿勢の両方が、訪問看護のターミナルケアの質を支えます。
訪問看護ステーションの法定研修キット(ターミナルケアと看取りを含む12テーマ)はこちらです。確認テスト・受講記録様式・委員会議題案まで、すぐにご利用いただけます。
訪問看護ステーションの法定研修の全体像は、こちらの記事をご覧ください。
訪問看護の法定研修、何が義務で年何回か。

コメント