▶ 通所介護(デイサービス)法定研修・訓練キット
「送迎中に地震が起きたら、どうするか」
デイサービスでBCPを考えるとき、施設だけでなく「送迎中の被災」という場面を想定に入れる必要があります。送迎車が複数台出ている状態で大地震が発生したとき、各車両の運転者がどう判断し、誰に連絡し、利用者をどこに連れて行くか——この手順がBCPに盛り込まれていない事業所は少なくありません。
BCPの策定・研修・訓練の義務は、令和3年度の介護報酬改定で設けられ、令和6年4月から完全義務化されています。根拠条文は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」第100条の2です。研修・訓練はともに年1回以上が義務です(解釈通知 第三の十一の(14))。
BCPは「自然災害用」と「感染症用」の2種類
厚生労働省は通所介護向けのBCP作成ツール(自然災害用・感染症用)を無償公開しています。2種類を分けて作成することが推奨されています。
自然災害用BCPには、施設の被災と利用者の安全確保・職員参集・代替サービスの確保などを記載します。感染症用BCPには、業務縮小・代替体制・利用者や家族への連絡・保健所との連携などを記載します。
デイサービス特有のBCP記載事項
通所介護ならではの状況として、BCPに以下を盛り込んでおくことが有効です。
- 送迎中の被災手順:①車を安全な場所に停車 ②施設・管理者に状況報告 ③家族への連絡 ④必要に応じて近隣の避難場所に移動。担当者・連絡先を車内に掲示しておく
- 利用者在所中の被災手順:避難誘導の担当分担・家族への連絡・しばらく留め置く場合の対応(食事・水・服薬)
- 医療ニーズへの対応:服薬管理が必要な利用者の薬の保管場所・緊急時の主治医連絡先
訓練はデイサービスの現場を想定して行う
解釈通知では「机上訓練か実地訓練かを問わない」としながらも、PDCAサイクルによりBCPの見直しにつなげることが重要とされています。
デイサービスで取り組みやすい訓練の例:
- 大雨警報が出たときに送迎を中止・家族連絡を入れる手順を全員で確認する机上訓練
- 利用者在所中に地震が起きた想定での避難誘導訓練(年1回)
- 感染者が出たときに業務をどう縮小するかのシナリオ演習
BCP未策定は令和6年4月から減算の対象
BCPを策定していない、または研修・訓練を実施していない事業所には、令和6年4月から「業務継続計画未策定減算」として基本報酬から1%の減算が適用されます。研修・訓練の実施記録を残すことで、減算の対象外であることを示すことができます。記録は運営指導でも確認されます。
研修の記録と保管
BCP研修の実施記録には、実施日時・研修名・参加者(全員分)・研修の内容・改善点を含めることが一般的です。運営指導では参加者の範囲(全職員が対象になっているか)も確認されることがあります。
まとめ:通所介護のBCP研修・訓練の要点
- 研修・訓練はともに年1回以上の義務(根拠:第100条の2・解釈通知 第三の十一の(14))
- BCPは「自然災害用」と「感染症用」の2本を用意する
- デイサービス特有の課題(送迎中被災・在所中の避難誘導)を明示的に盛り込む
- BCP未策定は令和6年4月から基本報酬1%減算の対象
- 記録を残し、運営指導の確認に備える
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