運送業のドライバー教育、記録はどこまで残せばいいか。

運送業のドライバー教育、記録はどこまで残せばいいか。 運送業(ドライバー教育)

貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条第2項は、12テーマの指導・監督を行ったら「その記録を作成し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない」と定めています。記録に使う書式は法令で定まっておらず、運輸局の巡回指導で「誰に・いつ・何を実施したか」が確認できれば要件を満たします。

この記事では、記録に残すべき最低限の項目・保存期間・よくある不備を整理します。

記録に残すべき最低限の項目

輸送安全規則第10条第2項は「記録を作成し保存する」と定めていますが、記録の書式・様式を指定していません。書き方は事業者が決められます。

ただし、運輸局の巡回指導では次の内容が確認できる記録を求められます。

  • 対象ドライバーの氏名
  • 実施日(年月日)
  • 実施したテーマ名(12テーマのうちどれか)
  • 実施者(誰が指導したか)
  • ドライバーのサイン(または確認印)

これらが揃っていれば、書式は独自のものでも問題ありません。Excelで作った表でも、ノートへの手書きでも、要件は満たせます。

保存期間は1年間

輸送安全規則第10条第2項の定める保存期間は「一年間」です。実施日から起算して1年間、記録を保存します。

注意点は、保存期間が「実施した年度の末まで」ではなく「実施日から1年間」という点です。令和7年4月1日に実施した記録は、令和8年4月1日まで保存が必要です。

運輸局の巡回指導は事前通知なしに来ることもあります。直前に慌てて記録を用意するのではなく、実施のたびに記録を作成・保存しておくことが必要です。

年間計画を作ると記録の管理が楽になる

12テーマを年間でどのテーマを・いつ実施するかの計画を事前に立てると、記録の抜け漏れが減ります。計画通りに実施したら記録に残す、計画を変更した場合はその理由も残す、という運用が実務的です。

運輸局の巡回指導では「計画があって実施している」という形が好印象になります。「あるテーマを1年間ずっとやっていない」という状況は、計画がないと起きやすい問題です。

よくある不備1:テーマ名が記録に書かれていない

「研修を実施した」という記録はあるが、どのテーマを実施したかが書かれていない場合、12テーマの指導・監督の記録として機能しません。告示第1366号の12テーマのどれを実施したかを、テーマ名を明記して記録することが必要です。

「安全研修を実施した」という一行だけでは、どのテーマを扱ったかが不明です。「テーマ3:事業用自動車の構造上の特性について実施した」のように、テーマ名を記載します。

よくある不備2:ドライバーの確認サインがない

実施者(管理者・事業者)が記録を作成しても、ドライバーが実際に受けたことを示すサインや確認印がない場合、「本当に実施したか」が確認できません。

ドライバーが自分で記録を見て確認したことを示すサイン(署名または押印)を入れる欄を設けることで、記録の証明力が高まります。

よくある不備3:12テーマのうち実施していないテーマがある

1年間の実施記録を確認したときに、12テーマのうち一部しか実施していない状態は、義務の不履行になります。「毎月研修をやっている」と思っていても、同じテーマを繰り返していて別のテーマが抜けていることがあります。

12テーマすべてを1年間に少なくとも1回実施し、記録に残すことが必要です。年間計画で抜けを防ぐことをお勧めします。

デジタルの記録でも問題ない

記録の保存は紙でなければならないという規定はありません。Excelファイル・Googleスプレッドシート・PDFでの保存でも、内容が確認できる状態であれば問題ありません。

ただし、電子記録で保存する場合は「誰でもすぐ出力できる状態」を維持する必要があります。パソコンが壊れて出力できなかった・担当者が退職してアクセスできなくなったという状況では、保存の要件を果たしているとはいえません。バックアップを含めた管理が必要です。

運輸局の確認で記録を提示できる準備をしておく

運輸局や運輸支局の巡回指導(運営指導)では、直近1年間の指導・監督の記録の提示を求められることがあります。「今持っていない」「探したら出てくる」という状況は、実際に記録があっても確認に支障が出ます。

保存場所を決め、誰でも取り出せる状態にしておくことが実務上の対応として必要です。運輸局の確認内容の詳細は「運輸局の運営指導(監査)で、ドライバー教育はどう確認されるか。」にまとめています。

記録の作成・保存をブラウザで行うには

12テーマの研修資料・確認テスト・受講記録を、ブラウザで作れる研修キットを公開しています。各研修を実施したあと、ドライバーが確認テストに答えると、受講記録がお使いの端末に自動で保存されます。誰に・いつ・何を実施したかが一目でわかる形式になっており、運輸局の確認にも対応できます。

運送業 法定研修キット(12テーマ)はこちら テーマ1は無料でお使いいただけます。

12テーマの義務・頻度の全体像は「運送業のドライバー教育、何が義務で年何回か。」をあわせてお読みください。

あわせて読みたい:運送業のドライバー教育、何が義務で年何回か。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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