グループホームの収支シミュレーターで、開業前に確認する5つの数字。

この記事では、障害者グループホームの開業を検討している方に向けて、収支シミュレーターを使って確認しておくべき数字を整理します。

当サイトでは、グループホーム(共同生活援助)の収支をブラウザで試算できるシミュレーターを無料公開しています。

障害者グループホーム 開業向け収支シミュレーター(無料で試算できます)

無料範囲では、定員・障害支援区分の想定・世話人の配置・主要加算の有無を入力することで、月次の収入・人件費・固定費・収支差の概算が確認できます。

損益分岐点の稼働率

グループホームの収入は、入居者数(稼働率)に比例します。定員に対して何割の入居者がいれば黒字になるか——これが損益分岐点の稼働率です。

全国の障害者グループホームの平均稼働率は、厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査」で公表されています。定員10人規模の事業所でどの程度の稼働率が見込めるかを、開業前に地域の実態と照らし合わせておくことが重要です。

シミュレーターに定員・人員体制・家賃等の固定費を入力すると、損益分岐点に相当する稼働率の目安が確認できます。

世話人の配置比率と報酬の関係

グループホームの基本報酬は、障害支援区分の平均と世話人の配置比率(利用者:世話人)の組み合わせで決まります。

介護サービス包括型では、世話人の配置比率に応じて報酬単価が変わります。利用者6人に世話人1人(6:1)、4:1、3:1、2:1の4区分があり、配置が手厚いほど単価が高くなります。

シミュレーターでは配置比率を変えたときに収入がどう変わるかを確認できます。人件費との兼ね合いで、どの配置比率が収支上バランスが取れるかを試算する際に活用できます。

夜間支援等体制加算の効果

夜間支援等体制加算は、夜間(22時〜翌8時)に支援員を配置した場合に算定できる加算です。グループホームの種別(介護サービス包括型か日中サービス支援型か)や夜間の対応体制によって、算定できる区分が変わります。

日中サービス支援型は夜間支援従事者を必置としているため、夜間支援等体制加算の算定が前提となります。一方、介護サービス包括型は夜間支援の体制に応じてI〜IIIの区分があります。

夜間支援の人件費は固定費として重くなりやすいため、加算収入との差し引きをシミュレーターで確認しておくことが重要です。

処遇改善加算の区分による収入の変化

処遇改善加算は、区分によって率が変わります。グループホームの加算率は、区分IVが12.1%、区分Iイが16.3%です(令和6年度・厚生労働省告示第523号)。

月次収入が仮に100万円の事業所であれば、区分IVで約12万円、区分Iイで約16万円の上乗せになる計算です。上位区分を取るための要件(賃金改善要件Iなど)を満たせるかどうかは、開業前の給与設計と直結します。

シミュレーターで処遇改善加算の区分を変えると、収入への影響が確認できます。

報酬が入金されるまでのタイムラグと必要運転資金

グループホームの報酬は、前月分が翌月に国保連に請求され、さらに翌月(サービス提供月の翌々月)に入金されます。開業月から2か月間は収入がゼロの状態が続くため、この期間の運転資金(家賃・人件費・光熱費など)を手元に確保しておく必要があります。

シミュレーターで月次の固定費を入力すると、必要な運転資金の概算が確認できます。

シミュレーターの使い方

シミュレーターは、次の順で入力します。

  1. 事業種別(介護サービス包括型または日中サービス支援型)を選択
  2. 定員・障害支援区分の想定平均・想定稼働率を入力
  3. 世話人の配置比率・常勤換算・夜間支援等体制加算の有無を入力
  4. 処遇改善加算の区分を選択
  5. 月次の固定費(家賃・光熱費・管理費等)を入力

無料範囲で月次の収支概算が確認できます。Pro版(買い切り9,800円)では3年分の収支推移と資金繰り、事業計画書の印刷出力ができます。

障害者グループホーム 開業向け収支シミュレーター

開業後の運営状況を全国平均と比べたい場合は、経営診断ツールも公開しています。

福祉事業所の経営診断(既存運営者向け)

出典:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査」、厚生労働省 令和6年3月厚生労働省告示第523号

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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