通所介護(デイサービス)の感染症対策研修、集団感染リスク・嘔吐物処理・訓練2回の義務。

通所介護(デイサービス)の感染症対策研修、集団感染リスク・嘔吐物処理・訓練2回の義務。 介護

通所介護(デイサービス)の感染症対策は研修・訓練・委員会の3つが義務。

通所介護の感染症・食中毒対策では、次の3つが義務です(指定居宅サービス等の事業の人員及び運営に関する基準 第103条の2)。

  • 研修:年2回以上
  • 訓練(シミュレーション):年2回以上
  • 委員会:おおむね3か月に1回以上

デイサービスは多くの利用者が同じ空間に集まるという特性上、一人が感染すると施設内での集団感染に発展しやすい環境です。ノロウイルス・インフルエンザ・コロナウイルス等の感染拡大は、利用者の重篤化・施設の営業停止につながるリスクがあります。訪問介護や訪問看護とは異なる「集団環境での感染管理」の視点が必要です。

デイサービス固有の感染リスク

集団での食事・レクリエーション

デイサービスでは食事・口腔ケア・手工芸・体操など、利用者が近い距離で共同作業をする機会が多くあります。飛沫感染(インフルエンザ・コロナ等)・接触感染(ノロウイルス・疥癬等)のリスクが高まりやすい環境です。

特に食事の提供・口腔ケアを行う職員は、自らが感染源にならないよう手指衛生・マスク着用を徹底する必要があります。

共用の物品・設備

手すり・テーブル・椅子・共有のリモコン・共用トイレは、接触感染の経路になります。定期的な清拭消毒(アルコール・次亜塩素酸ナトリウム)のルールを明確にしておく必要があります。

集団発生時の利用者停止の判断

施設内でノロウイルスやインフルエンザの集団感染が確認された場合、「感染者の特定」「濃厚接触者への連絡」「利用の一時停止」「消毒」という対応が必要になります。この判断を誰が・いつ・どのように行うかを事前に決めておかないと、対応が後手になります。

研修で伝えるべき内容

感染経路の3種類と通所介護での対策

感染経路 主な感染症 デイサービスでの対策
接触感染 ノロウイルス・疥癬・MRSA 手指衛生・共用物品の消毒・手袋着用
飛沫感染 インフルエンザ・コロナ・百日咳 マスク・換気・席の間隔
空気感染 結核・麻疹・水痘 換気・N95マスク(疑いが生じた場合)

手指衛生の基本(訪問系と同じ原則)

  • 利用者ごとに・ケアの前後に手指衛生を行う
  • アルコール手指消毒は、目に見える汚れがない場合に有効
  • ノロウイルスや疥癬が疑われる場合は流水と石鹸による手洗いを優先する

嘔吐物処理の手順

デイサービスの現場では、利用者が食事中に嘔吐するケースがあります。処置が遅れたり、手袋なしで処理したりすると、感染が広がります。研修と訓練で全職員が手順を知っておく必要があります。

  1. 周囲の利用者を嘔吐物から離す
  2. 手袋・マスク・エプロンを着用する
  3. 嘔吐物をペーパータオルで覆い、外側から内側に向かって拭き取る
  4. 拭き取ったペーパータオルをビニール袋に入れ、密閉する
  5. 0.1%(1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム液を汚染箇所にかけ、10分以上放置する
  6. 拭き取り、再度ビニール袋に入れて密閉廃棄する
  7. 手袋を外し、手指衛生を行う

嘔吐物は周囲に広く飛散することがあるため、その場で周囲のテーブル・椅子・床も拭き取る必要があります。

感染者が出た場合の対応手順(施設内集団感染)

  1. 感染者(利用者・職員)を特定し、症状の記録を始める
  2. 主治医・保健所への報告を行う(食中毒の場合は保健所への届出義務あり)
  3. 感染者と接触した利用者・職員の状況を確認する
  4. 感染者が使用した区画・物品を消毒する
  5. 家族・居宅介護支援事業所への連絡を行う
  6. 必要に応じて、感染状況が収束するまで事業所を一時停止する

訓練は年2回以上、嘔吐物処理を中心に実施する。

感染症対策訓練は年2回以上が義務です。通所介護では「嘔吐物処理」の実地訓練が最も有効です。訓練では、実際の器材(手袋・エプロン・次亜塩素酸ナトリウム・ペーパータオル)を使い、手順どおりに処置できるかを職員全員が確認します。

2回の訓練テーマ例:

時期 テーマ 形式
夏(7〜8月) 食中毒(感染性胃腸炎・嘔吐物処理) 実地(器材・PPEを使った演習)
秋〜冬(10〜11月) インフルエンザ・集団感染発生時の対応手順 机上(シナリオを用いたフロー確認)

委員会はおおむね3か月に1回以上開催する。

感染症対策委員会の開催は義務です。委員会は独立設置でなく、既存の会議体に議題を組み込む形でもかまいません。

委員会の議題例:

  • 地域の感染症流行状況の共有(インフルエンザ・ノロ等)
  • 利用者・職員の感染発生状況の確認
  • 消毒用品・マスクの在庫確認
  • 研修・訓練の実施状況と次回計画
  • 感染症発生時マニュアルの見直し

記録の保存期間は2年間。

研修・訓練・委員会の記録は完結から2年間の保存が義務です(第105条が第37条第2項を準用)。記録に含める項目:実施日時・参加者名・内容概要・課題・担当者名。

よく指摘される不備:感染症訓練が研修と合わせて同日に実施され「1回分」とカウントされている(訓練は研修とは別に計2回必要)・参加者のサインが集まっていない。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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